オフィス移転業者の選び方|ポイントや注意点を解説

オフィスの移転を検討する際に「オフィス移転では業者に依頼すべきなのか」「どのような点に気を付けて選べば良いのか」などは、気になる方も多いのではないでしょうか?オフィスの移転を検討されているのなら、すべての作業をワンストップで依頼できて分からないことまで詳しく教えてくれる業者へ依頼することをおすすめします。

オフィスの移転はタスクや確認事項が多岐に渡り、期限も限られていることから、自社スタッフだけでは対応できなかったり本来の業務に支障が出たりする恐れがあります。個別に業者へ依頼したとしても、対応する手間がかかるでしょう。

本記事では、オフィス移転における業者選びのポイントと注意点について、オフィス移転を初めて任されたご担当者様に向けて分かりやすく解説します。

また、以下の記事ではオフィス移転全体の流れを4つのステップに分けてご紹介していますので、あわせてご一読ください。

オフィス移転業者の種類

本記事で解説するオフィス移転業者とは、オフィス移転に関するさまざまな作業のすべて、もしくは大部分をまとめて任せることができる業者です。

大きく分けると、オフィス移転引っ越し業者とオフィス移転コンサルタントの2つに分類できます。

オフィス移転引っ越しサービス

オフィス移転引っ越しサービスとは、一般消費者向けに引っ越しや商品の配送をおこなっている企業が、法人のオフィス移転・引っ越しをサポートするサービスです。大規模なオフィス移転にも対応できる大手の引っ越し会社と、地域に密着した中小企業向けの引っ越し会社がサービスを提供しています。

対応可能な業務は企業によって異なりますが、オフィスの引っ越し作業を中心に対応できます。引っ越し業務を専門としている企業が多いため、設備や機材の運搬については安心して任せることができるでしょう。

主に、オフィス移転の方針や移転先が決まっている状況で利用されることが多いようです。

オフィス移転コンサルタント

オフィス移転コンサルタントとは、オフィスの移転に伴う工程で発生する作業に対し、必要なサポートや業務の代行、専門業者の選定、手配などをおこなうコンサルタントです。

主に、以下のような会社がオフィス移転コンサルタントをおこなっています。

不動産仲介会社
デザイン会社
建築・施工会社
倉庫・配送会社
引っ越し会社
システム会社
コンサルタント会社

対応業務を大きく分けると以下の3つになります。

コンサルタントとしてオフィス移転のアドバイス
専門分野の業務
専門外業務の業者選定・手配

オフィス移転を業者に依頼する必要性

オフィス移転で業者に依頼すべき理由は以下の3つです。

オフィス移転には複数の工程が発生する
半年以上の期間を要するプロジェクト
個別に業者へ依頼すると時間と手間がかかる

オフィス移転には複数の工程が発生する

オフィス移転で業者に依頼すべき理由は、オフィス移転に必要なタスクやチェックポイントを教えてもらったり、重要な手続きの見落としを防ぐことができたりするからです。

オフィスを移転するためには、一般家庭のような引っ越しと異なり、以下のような複数の工程が発生します。

オフィスを移転する物件選び
オフィス什器の運搬や不用品の処分
原状回復工事
移転先のレイアウト作成・内装工事
通信インフラの確保

オフィスの移転を体験する機会は非常に少ないため、どこから手を付ければ良いのか、どこの業者へ連絡すれば良いのか分からない場合がほとんどです。取引先への案内や法的な手続きが遅れてしまったり、うっかり忘れてしまうこともあるでしょう。

オフィス移転の経験が豊富な業者へ依頼することで、見落としがちな項目のチェックや面倒な作業を任せることができます。

オフィス移転は半年以上の期間を要するプロジェクト

オフィス移転で業者に依頼すべき理由は、半年以上の期間を要するプロジェクトを円滑に進めるためです。

たとえば、100坪から300坪程度のオフィスを移転する場合、以下のようなスケジュールでタスクが進行します。

時期 タスク
10か月前時期 オフィス移転の目的を明確にする
9か月前~7か月前 移転先となる新オフィスの物件を選定する
7~6か月前 新オフィスの内装・レイアウト設計
6か月前までに 既存オフィスの解約申し込み
引っ越し日の2か月前 社内に対してのオフィス移転の告知
4か月前 新オフィスの契約・内装工事
既存オフィスの契約1か月前 新オフィスへの引っ越し
移転後1~3ヶ月 原状回復工事と引き渡し

オフィス利用物件の賃貸契約においては、引き渡しの6か月以上前に解約手続きをおこなうのが一般的です。平均的な原状回復工事にかかる期間は一か月程度ですが、計画通りにオフィスの移転ができなければ高額な違約金が発生するかもしれません。

そもそも既存オフィスの引き渡し前に新オフィスの内装工事が完了しなければ移転できないので、スケジュール通りに移転できるように計画を立て、進捗状況を確認する必要があります。

オフィス移転業者に依頼することで、無駄のない計画立案とスケジュール管理まで任せることが可能です。

オフィス移転に関連する事項を個別業者へ依頼すると時間と手間がかかる

オフィス移転で業者に依頼すべき理由は、個別に業者へ依頼すると余計な時間と手間がかかるからです。

新オフィスのレイアウト作成をデザイン会社へ、内装工事を施工会社へ、オフィス什器の手配を家具メーカーへ依頼するといったように、オフィスの移転に関わるさまざまな作業に対して個別に業者へ依頼すると、それぞれの業者と打ち合わせや作業内容の確認などをおこなうことになります。

オフィス移転のご担当者様が業者とのやり取りに時間を取られ、本来の業務に集中できなくなるかもしれません。

オフィス移転を業者に依頼することで、業者とやり取りをするご担当者様の負担を軽減できます。

オフィス移転業者に依頼する前に検討しておくこと

依頼する業者を選ぶ前に、下記の3点について社内で確認・検討しておきましょう。

移転する目的・解決したい課題
オフィス移転で発生するタスク
居抜き物件への移転・居抜きでの退去

オフィス移転の目的・解決したい課題

オフィス移転業者に依頼する前に検討しておくことは、オフィスを移転する目的や移転することで解決したい課題です。

業者とのヒアリングで具体的に伝えられなければ、物件の選定や内装デザインといった意思決定がスムーズに進まず、不必要な作業が発生したり、高額すぎる設備を提案されたりするかもしれません。

依頼する前に社内でオフィスを移転する目的や課題を明確にしておけば、自社にとって最適な提案を受けることができます。

オフィス移転で発生するタスク

オフィス移転業者に依頼する前に確認しておくことは、オフィス移転で発生するタスクです。

オフィス移転では、以下のように複数のタスクが発生します。

オフィス移転プロジェクト立ち上げ
新オフィス入居
既存オフィス解約・退去
オフィスの引っ越し
各種官公庁への手続き

居抜き物件への移転・居抜きでの退去

オフィス移転業者に依頼する前に検討しておくことは、居抜き物件への移転・居抜きでの退去の可能性です。

居抜きとは、旧利用者が原状回復工事をおこなわずに、新入居者が以前の内装のまま利用することです。

居抜きには以下のようなメリット・デメリットがあります。

居抜き物件への移転

メリット デメリット
・内装工事費用を抑えられる

・移転の期間を短縮できる

・移転に関する手間を抑えられる
・内装、レイアウトの自由度が低い

・物件が少ない

オフィス移転業者選びのポイント

オフィス移転業者選びのポイントは以下の5つです。

オフィス移転の実績がどのくらい豊富か
どこまで対応できる業者なのか
内容に見合った料金か
提案・アドバイスをしてくれるのか
書類の作成・手続きのサポートに対応しているか
アフターフォローもしてくれるか

オフィス移転の実績がどのくらい豊富か

オフィス移転業者選びでは、オフィス移転の実績がどのくらいあるのかを確認することが重要です。

個人向けの引っ越し業者が法人向けにオフィス移転サービスを提供している場合などのように、オフィス移転を専門におこなっていない業者だと実際に移転した経験が少なかったり、十分なノウハウがなかったりする恐れがあります。

得意分野以外の作業については、知見が浅く、専門業者とのコネクションが少ないかもしれません。

オフィス移転の実績数だけでなく、業者のホームページでオフィス移転の事例が紹介されていないか、利用した企業がどのくらい満足しているのかも確認しておきましょう。

どこまで対応できる業者なのか

オフィス移転業者選びでは、どこまで対応できる業者なのかを確認することが重要です。

前述したようにオフィス移転業者はそれぞれ強みが異なるため、新オフィスを選定する際に優先する項目に合わせた業者を選ぶ必要があります。

優先したいこと・課題 依頼するオフィス移転業者のタイプ
社員数が増えてきたので広い物件を探している 不動産仲介会社
スタートアップ企業なので内装デザインにこだわりたい デザイン会社
複雑なシステムを利用している システム会社
要件定義から任せたい コンサルタント会社

上記のように自社が優先したいこととオフィス移転業者の強みをマッチさせることを意識して業者を絞り込めば、自社にとって最適な業者を選定でき、スムーズにオフィス移転を進めることができるでしょう。

また、オフィス移転コンサルタントに依頼すれば、業界間のコネクションから最適な業者を提案してもらうこともできます。

内容に見合った料金か

オフィス移転の業者選びでは、内容に見合った料金かを確認することが重要です。オフィス移転の費用はオフィスの面積や立地、作業内容次第で大きく変動します。

オフィス移転費用の目安

作業内容 費用目安
原状回復工事 小規模オフィス:3万〜5万/坪
100坪以上のオフィス:5〜10万/坪
不用品廃棄 運搬費(4トン車2台):50,000円
作業費(4名程度):60,000〜70,000円
社員一人当たりにかかる引越し費用 2〜3万円
引越し業者にかかる費用 2tトラック1台:約8万円
4tトラック1台:約12万円
2〜3万円

複数の業者へ見積もりを取り、各項目の料金が妥当なのかを確認しておきましょう。

提案・アドバイスをしてくれるのか

オフィス移転の業者選びでは、提案やアドバイスがもらえるか、質問が気軽にできる業者なのかを確認することが重要です。

オフィス移転は什器や備品を運ぶ引っ越し作業だけでなく、物件の選定から契約、レイアウト作成、関係官庁への届け出など多岐に渡る作業が発生します。オフィス移転を初めておこなうご担当者様だと「必須の作業はなにか」「どの作業なら省略しても問題がないか」分からないこともあるでしょう。

不明な点について分かりやすく説明をしてくれる業者に依頼すれば、オフィス移転に伴うトラブルが発生した場合でも、安心して任せることができます。

書類の作成・手続きのサポートに対応しているか

オフィス移転業者選びでは、書類の作成・手続きのサポートに対応している業者を選ぶことが重要です。

オフィス移転では、下記のような書類を関係官庁へ提出する必要があります。

転居届
防火・防災管理者解任届出書
消防計画作成(変更)届出書
防火対象物工事等計画届出書
防火対象物使用開始届出書
労働基準法に関する適用事業報告
安全管理者責任報告

書類の作成や手続きに対応していない業者だと、どの書類を用意をすれば良いのか、何を書けば良いのかを確認し、書類を提出しなければいけません。

書類の作成・手続きのサポートに対応している業者に依頼することで、ご担当者様の負担を軽減でき、書類の提出を忘れて慌てることもなくなります。

アフターフォローもしてくれるか

オフィス移転の業者選びでは、アフターフォローもしてくれる業者を選ぶことが重要です。

オフィス移転が完了した後で実際に仕事をしていると、移転の計画時には気付かなかった問題が見つかったり、使い勝手が悪かったりすることもあります。

オフィスの移転が完了したら終わりではなく、長期的なパートナーとして支援してくれる業者を選びましょう。

オフィス移転業者を選ぶ際の注意点

オフィス移転業者を選ぶ際、特に注意したい点は以下の3点です。

  • 自社の課題を理解しているかを確認する

  • 補償の内容(条件・金額・期間)を確認する

  • なるべく早く業者探しを始める

それでは詳しく見ていきましょう。

自社の課題を理解しているかを確認する

移転業者を選定する際には、過去の実績だけでなく「自社の課題や目的・企業理念を踏まえて提案を行うことが出来るか」も厳しく評価しましょう。たとえ評価が高く、実績が豊富な業者であっても、求めるオフィス環境を実現することが出来なければ「選定は失敗」といえます。

具体的には、業者がどれだけ丁寧にヒアリングを行い、自社の課題の本質を理解しようと努力しているかを見極めます。

自社のニーズを正確に捉え、それに基づいた効果的な解決策を提示する業者であれば、オフィス移転プロジェクトは成功へと導かれるでしょう。

補償の内容(条件・金額・期間)を確認する

オフィス移転中、予期せぬトラブルにより、重大な損害や法的責任が発生する可能性があります。

  • 電気配線の誤操作によるショートで設備が故障した

  • 資材の搬入中、壁にぶつけてしまい破損した

  • 機材が適切に管理できておらず、従業員がけがをした

  • 工事現場からの落下物により、訪問者の衣服や所持品が汚れた

  • 配管工事後の水漏れ、下のテナントまで水浸しになった

このような事故に対応するため、業者がどのような保険に加入しているかを確認することが重要です。

主な保険には、施工中に壁・床などが破損した際にカバーする「工事保険」、従業員や訪問者が事故に遭遇した場合に適用される「賠償責任保険」があります。

万が一の事態が発生した際にも安心して移転プロジェクトを進めることができるよう、補償金額や期間をチェックしましょう。

なるべく早く業者探しを始める【H3】

オフィス移転は、さまざまなタスクが連動して進行する複雑なプロジェクトです。特に、大規模なオフィスの移転ではより細かい調整が必要とされるため、可能な限り早く業者に相談しましょう。

業者選定プロセスには、候補のピックアップから見積もりの依頼、ヒアリング・プランニング、そして最終契約まで通常1〜2ヶ月を要します。

業者の決定が遅れれば、全体のスケジュールに遅延が発生し、予定された移転日が後ろにずれてしまいます。結果的に、必要書類の提出が滞ってしまったり各種インフラ使用できなかったりなどのトラブルが生じ、通常業務や企業活動に支障をきたすだけでなく、顧客からの信頼を失うリスクも高まります。

移転の計画を立てる際は、業者に依頼するタイミングも考慮し、無理のないスケジュールを組みましょう。

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まとめ

今回は、オフィス移転を業者に依頼する必要性、自社にとって最適な業者の選び方や注意点について解説しました。

オフィス移転に伴う作業は複数の業者がかかわるため、現状分析・要件定義からアフターフォローまでトータルサポートができる業者を選ぶことが重要です。

「オフィス移転をスムーズに進行したい」「オフィス移転で失敗したくない」というご担当者様は、いつでもお気軽にご相談下さい。

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この記事を書いた人

HATARABAコラム編集部

HATARABAコラム編集部によるコラムです。オフィス移転やオフィスづくりなど、『はたらく場所を、もっとよくする。』ためのお役立ち情報を発信しています。

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