出社したくなるオフィスとは?最新トレンドから読み解くアイデア4選

働き方の多様化が進む一方で、改めてオフィスへの出社に価値を置く企業が増えています。この出社回帰の流れにより、オフィスには、出社して働きたくなるようなデザインや機能が求められるようになりました。本記事では、国内外のオフィスに関する潮流を解説しながら、これからのオフィスづくりに活かせるアイデアを紹介していきます。

働き方はどう変わった?日本と海外の今を比較

新型コロナウイルス感染拡大が収束してからしばらく経ち、世界各国における人々の働き方にはどのような変化が生まれているのでしょうか?ここではまず、日本と海外それぞれの働き方を比較してみましょう。

日本では働き方改革・DXが前進

2020年頃から数年間続いた外出や経済活動の制限は、奇しくも「働き方改革」を半ば強制的に進めるきっかけとなりました。リモートで業務を進めていくため、これまでアナログだった業務フローにおいて、判子レス・ペーパーレス化が進み、それぞれの従業員が働いている場所や時間にかかわらず、業務品質を適正に維持管理できる体制へと社内変革が進みました。また、勤怠・労務管理に関する社内規則や管理体制のDX化が加速したことで、現在は、従業員のワークライフバランスを重視した働き方を追求する企業が多く見られるようになっています。


一方で、働き方の違いは地域ごとで顕著に見られました。コロナ禍初期の都心部ではフルリモートやリモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークを採用する企業が増えましたが、地方ではリモートワークの普及は限定的で、出社が基本となる働き方が主流でした。


2023年に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置づけられて以降は、都心部でも出社を再び重視する動きが見られるようになり、フルリモートから出社が多めのハイブリッドワーク、あるいは従来型の出社中心の働き方へと回帰する企業も増加しています。

海外ではコラボレーション重視の働き方が普及

海外では、コロナ禍以降に定着したリモートワーク中心の働き方から、「原則オフィスへの出社」へと切り替える動きが加速しています。しかし、多くの企業では日本よりも早い段階でDXが進んでおり、社内規則や業務フローが多様な働き方に対応する形でコロナ禍以前にアップデートされていました。したがって、出社を促す理由は単なる業務効率化ではなく、対面でのコラボレーションや組織としての結束を高めることに主眼が置かれています。


特に、大手テック企業を中心にリモートワークの長期化に伴い、「従業員や組織全体の生産性低下」が課題となりました。リモート環境では個人や組織のパフォーマンスの低下や士気の緩みが顕著になり、それが企業全体のパフォーマンスにも影響を及ぼしたのです。アマゾンが「週5日出社」を義務付けるなどのように、対面での連携や創造的な問題解決を重視して、従業員をオフィスに呼び戻す動きが広がっています。


このように、DX化が進んだ企業においても、対面での協力や交流を再び活発化させるために、出社を促す意図が大きな要因となっています。

「出社回帰」が支持される3つの理由

オフィスへの出社にポジティブな効果を期待する動きは、国内においても顕著になりつつあり、サントリーHDやメルカリといった日本企業も、在宅勤務の廃止やオフィスへの出社を推奨するなどの取り組みを進めています。なぜ今、改めて出社回帰が支持されているのでしょうか?

1.ビジネススピードが加速する

オフィスへ出社することのメリットの一つに、スピード感を持って仕事を進めることができるという点があげられます。

対面でコミュニケーションができる環境であれば、組織内で素早い意思疎通・意思決定が可能となります。また、同じオフィス内で働くことにより、不明点・疑問点をすぐに上司や先輩に確認し解決することができるため、新入社員をはじめとする従業員の業務習熟のスピードが高まります。

事業環境の変化が激しい昨今においては、業務効率・品質の向上に加え、アイデアをいち早く実行する力が高まることで、企業の競争力強化を図ることができるのです。

2.多様なアイデアが生まれやすくなる

リモートワークが進む中でも、多くの経営者や専門家が指摘するのは、対面でのコミュニケーションが持つ独自の価値です。対面の場では、非言語的な要素やリアルタイムでの相互作用を通じて、共感や創造性が引き出されやすいとされています。

また、直接的なやりとりを通じて、迅速かつ深い情報交換が可能になり、チーム全体のエネルギーや結束感が高まる効果が期待できます。こうした要素が、革新的なアイデアを生み出すための重要な基盤となることが多くの場面で実感されています。

3.雑談を通じた生産性向上が期待される

職場における雑談は、職場の活気や従業員の生産性を向上させる効果があります。雑談を通じて、チーム間の信頼関係が深まり、職場の雰囲気が改善されるだけでなく、コミュニケーションの質も向上します。また、短時間の雑談はリフレッシュ効果をもたらし、集中力を回復させる役割も果たします。

そのため、職場での雑談は、単なるコミュニケーションではなく、職場環境の活性化や生産性向上に寄与する重要な要素として注目されています。

一方で、雑談の時間には注意が必要です。サントリー食品インターナショナルの研究によると、職場における雑談のちょうどよい時間は約3分。ついつい盛り上がって10分以上に及ぶ長い雑談になってしまうと業務への集中を妨げる可能性があるため、雑談の適切なバランスが求められます。

これからのオフィスに求められるもの

リモートワークを経験したことにより、オフィスに出社し、物理的に人が集まって働くことの重要性を多くの企業が再認識しました。出社回帰への支持が高まる中、オフィスには新たな役割や機能が求められるようになっています。ここからは、これからのオフィスが提供していくことが期待されている3つの価値について解説していきます。

柔軟性・機動性

テクノロジーの変化により、企業は遠隔地の優秀な人材や様々なライフスタイル・ライフステージにある人材を雇用できるようになりました。多様な人材によって構成された組織は、より刺激的で革新的なアイデアが生まれやすくなるとされていることから、多くの企業が多様性溢れる従業員それぞれに最適な職場空間を提供することに、積極的に取り組んでいます。

オフィスに常駐している人、週に数回出社する人、半日だけオフィスで勤務する人など、様々な働き方の人が入り混じっても業務品質やスピードが落ちることなく、有機的な組織編成・コラボレーションを可能とするオフィスには、高い機動性・柔軟性が求められます。そのため、昨今大きなトレンドとなっているABW(Activity Based Working)に代表されるオフィスへのニーズは、今後益々高まっていくでしょう。

ウェルビーイング

パンデミックを経て、世界各国の企業の間では、従業員の心身の安全や健康を重視する機運が高まりました。そして昨今、SDGsの広がりにも後押しされる形で、従業員の心身の健康に加え、社会的・経済的にも良好で満たされた状態にあることを指す「ウェルビーイング」という概念を取り入れる企業が増えています。

その中で、従業員がより良い精神状態で仕事に集中できるように配慮した設計のオフィスは、出社回帰の流れが強まる今日においても、出社率向上に対し大きな効果を生むとして注目されています。

サステナビリティ

新型コロナウイルスの感染拡大期に低迷した都心部のオフィスビルにも活気が戻る中、賃料や広さだけでなく、より付加価値の高いオフィスに注目が集まっています。

オフィスでのサステナビリティ推進は、地球環境に優しいだけでなく、そこで働く従業員のモチベーションを高め、企業の成長や価値の向上にもつながります。

出社したくなるオフィスデザインのアイデア3選

出社による様々な効果が謳われる中、企業には、従業員が「オフィスで働くっていいな」「オフィスで仕事したい」と思うような魅力的なオフィスづくりに取り組むことが求められています。ここからは、出社率が上がり、オフィスでの対面コミュニケーションが活性化するようなオフィスアイデアを紹介していきますので、参考にしてください。

1.カフェ一体型受付

カウンター型のカフェステーションを併設したエントランスホールは、社内外の人々のソーシャルハブとして機能することが期待できます。

美味しいコーヒーとともに気軽に利用できるオープンスペースは、外回りの多い営業担当や内勤がメインの従業員など、社内の様々な部署や役職の人々が自然と交われるネットワーキングスポットとなります。さらに、取引先の担当者や来客も、アポイントまでの時間に仕事をするなど、有効活用することができ、ホスピタリティの高い企業イメージを演出することができます。

2.ハイブリッドワーク対応のレイアウト

リモートワークとオフィスワークが融合したハイブリッドフレンドリーなオフィスデザインは、すでに多くの海外企業のオフィスにおけるニュースタンダードとなっています。

多様なコラボレーションを促しながら、社内の様々なリソースへ柔軟かつ迅速にアクセスできる空間が基本設計となっており、以下のようなスペースによって構成されるケースが一般的です。

・グループワークのためのスペース
・個人作業に集中するためのスペース
・瞑想や昼寝・フィットネスなどのバランススペース

どのような働き方であっても、それぞれの従業員がしっかりとパフォーマンスを発揮したり、リフレッシュできるような高い柔軟性・機能性・機動性を持ったオフィスづくりを意識することが重要となっています。

3.バイオフィリックデザイン

従業員の健康とウェルビーイング向上、そして地球環境への配慮の両方を叶える「バイオフィリックデザイン(Biophilic Design)」は、インテリアデザインのトレンドとして高い関心を集めています。

自然的要素に接することで従業員の心身の健康の向上を図ることができるというこの概念は、以下のような形で、オフィス空間に取り込むことができます。

・グリーンウォール(壁を観葉植物などで飾る演出)
・森や海など自然を想像させるオフィスデザイン
・杉や檜などを用いた和テイストのインテリアや家具

自然とのつながりを感じられる空間設計は、そこで働く従業員の心身にポジティブな影響を与えるだけでなく、サステナブルな社会づくりに対する意識向上にも貢献します。

まとめ

リモートワークの普及や多様な働き方が広がったことで、オフィスに期待される役割や価値提供にも大きな変化が生まれました。オフィスの存在意義が再定義されたことで、企業と従業員の関係性を再考したというケースも少なくないのではないでしょうか。

今回紹介したアイデアは、従業員満足度や生産性向上に貢献するといった付加価値を新たにオフィスに生み出すきっかけとなる取り組みです。自社に最適な形にアレンジすることで、企業価値や業績の向上といった大きな結果にもつながっていくでしょう。

HATARABAでは、これまで培ってきた豊富な実績と経験を踏まえた確かなコンサルティング力で、お客様にとっての最適なオフィスづくりをサポートします。ぜひ、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

HATARABAコラム編集部

HATARABAコラム編集部によるコラムです。オフィス移転やオフィスづくりなど、『はたらく場所を、もっとよくする。』ためのお役立ち情報を発信しています。

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