電話やネットの回線で使われるMDF? オフィス担当者なら抑えておくべき 【MDF】の基礎知識

オフィスの移転を検討する時に、移転先の建物の内装や物件の立地などに注目しがちですが、電話回線やインターネット回線も検討する必要があります。テナントが多数入っているビルなどの場合、電話回線やインターネット回線などがMDFと呼ばれる主配線盤までしか引き込まれていないことが多いからです。

移転先で、電話回線やインターネット回線を利用するには、MDFからさらに、各階の各フロアに電話回線やインターネット回線を引き込む工事が必要になり、その手続きは煩雑です。

ここでは、MDFとは何か、責任分界点とはどのような意味か、オフィス運用においてMDFに関わるリスクとその対策について解説していきます。

MDFとは

MDFとは「Main Distributing Frame」の頭文字を取った略称で、日本語でいうと、「主配線盤」を意味します。

集合住宅やテナントが入るビルなどで、外部に通じる回線を全て集積し、集中的に管理するための端子盤です。

ここでは、このMDFに焦点を絞って解説していきます。

MDFはテナントの配線をまとめている端子盤

一定以上の規模をもつマンションや、多数のテナントが入るオフィスビルなどを想定した場合、その建物の各占有スペースへ電話回線やインターネット回線を直接引き込むと、配線が煩雑になり配線効率が悪くなります。また、配線が煩雑になるため、外観も良くありません。

そこで、NTTからの配線を、その建物のMDFに結節し、そのMDFから各階の占有スペースへ回線を配線するように構成すると、電話回線やインターネット回線を綺麗に配線することができ、管理もしやすくなるというメリットが生まれます。

MDFはビルのオーナー側で管理される

MDFは各占有スペースに配線を行うための重要な配線設備であり、オーナーの資産として管理される端子盤です。

どこに配置されているかはその建物の形態や規模にもよりますが、1階の共用スペースや管理人室、またはMDF室と呼ばれるMDFが収納される部屋があったりと、その設置場所はさまざまです。

MDFは外部から不用意に操作されてしまうと、テナント全体に悪影響があるため、MDFあるいはMDFは施錠され管理されているケースがほとんどです。

そのため、各テナントが電話回線やインターネット回線の引き込みのため、MDFに関わる工事を行う場合、オーナー側に都度許可を得るのが一般的です。

IDFとMDFの関係

IDFとは「Intermediate Distribution Frame」の頭文字を取った略称で、日本語で言うと、中間配線盤と呼ばれます。

MDFの縮小版と考えると理解しやすいでしょう。

IDFは、多くの場合、各階に設置されており、そこから各テナントに配線が行き渡るような経路で電話回線やインターネット回線が配線されることが多いです。

特にオフィスビルの場合、1つのテナントで多くの電話回線を敷設することもあり、そのような場合は、MDFを利用しても、配線が煩雑になってしまいます。

そこで、IDFを置くことで、電話回線やインターネット回線を煩雑にならずに、比較的きれいに配線することが可能となります。

EPSとは

EPSとは「Electric Pipe Space」の略称で、IDFやMDFなどの電気通信設備を収納する専用スペースのことを意味します。

建物の規模やIDFの設置状態により、そもそもEPSが設置されているのかや、設置されている状況もよりますが、IDFやMDFがEPSに収納されている時には、配線工事を行う場合、IDFやMDFの鍵とEPSの鍵の2種類の鍵が必要になることに注意しなければなりません。

【オフィス担当者が知っておきたい】MDFの基礎知識

実際の配線工事には、回線の専門業者が携わるため、MDFやIDF、EPSの詳細な構造や役割を理解する必要はありません。

ただし、各々の設備は、オフィスのオーナーの資産であり、管理しているのはオーナー側なので、配線工事を業者にお願いする時には、同時に建物のオーナーにも許可や、MDF、IDF、EPSの鍵を入手する手続きを踏む必要があります。

また、MDFは基本的にはオフィスビルに設置されていますが、IDFやEPSなどはそもそも設置されているのか、どのように設置されているかなど、物件によりまちまちです。

このように、MDFやIDF、EPSの詳細な構造や役割を理解する必要はないのですが、その物件に、MDFやIDF、EPSがどこにあり、どのような配線過程を経ているかを把握しておくと、オフィス移転の時に、配線工事業者を手配する際の大きな手助けとなります。

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PBXとはオフィス内の電話交換機

オフィスに電話を設置する時の装置として重要なものに、「PBX」があります。

PBXは社内で利用する内線通話や、内線と外線を切り替える装置であり、あくまで社内通話を操作する役割を果たしています。

社内で利用したい電話の内線や、外線の設計図などによっては、大変利便性の高い装置ですが、オフィス外から建物内に線を引き込むMDFやあるいはIDFとは、根本的に異なる装置であることに注意して、PBX導入時に各業者との調整を行うと、手配をスムーズに行えることでしょう。

MDFによるキャリア・オーナー・入居者の責任分界点

MDFは 外部から占有スペースへ電話回線やインターネット回線を引き込むための重要な役割を果たしますが、それ以外にも、責任分界点を定めるための主要なポイントとなります。

ここでは、責任分界点について解説していきます。

責任分界点とは何か?

責任分界点とはインフラにおいて、 どの部分を誰が管理するかというポイントになる分界点を意味します。

例えば、回線のトラブルが発生した時に、そのトラブルの原因が占有スペースでの不具合なのか、 その建物のMDFを中心としたトラブルなのか、そもそも通信キャリア側の不具合なのかによって、修理の責任や、場合によっては、損害賠償の発生の有無にも関わってきます。

責任分界点をきちんと理解した上で、オフィスの運用をすることが、オフィス担当者側には求められます。

電話回線の場合

電話回線の場合の責任分界点は、IDFがあるかどうかで、テナント側にも影響があります。

基本的な考え方としては、電柱からMDFまでが通信キャリア側の守備範囲、MDFより内側が物件オーナーの守備範囲となります。

ただ、IDFがある場合は、IDF以降はテナント側の責任となるので、IDFがあるかどうかによって、その責任の所在がテナントまで及ぶかどうか変わってくることに留意する必要があるでしょう。

光回線の場合

光回線の場合、電柱からONUまでが通信キャリア側の守備範囲、それ以降の個々の端子盤への接続がテナント側の管理範囲となります。

電柱からルータまでの配電盤や配電管の修理についても、通信キャリア側の守備範囲となります。

オーナー側には、明確な責任分界点は存在しませんが、個々のケースにあわせて注意を払う必要があります。

「MDF」引込済の意味について

オフィス物件を探していると、よく「MDFまで引込済」という記載がある場合があります。

この記載の意味は、その建物のMDFまでの回線の引込が終わっているという意味であり、そのオフィスビルに入居して、すぐに回線を利用することができる訳では無いことを理解しておきましょう。

実際には、そのオフィスに入居して、占有スペースまでの配線工事を通信キャリア業者に依頼する必要があります。

オフィス運用においてMDFに関わるリスクと対策

ここでは、オフィスの通信機器を整えるにあたって、MDFが起因となり発生するトラブルについて解説します。

MDFは物件オーナー側の所有物であるため、オーナー起因によるトラブルが発生する他、事前の必要な手続きを踏まなかったために、重要な工事を行えないといった事態も発生することも考えられます。

MDFに空きがなく、配線工事ができないケース

他のテナントの利用状況においては、MDFに空きがなく、配線工事が行えないケースもあります。

実際のオフィスにおいては、各テナントに均等にMDFが利用できるように配分がなされているのが一般的ですが、他のテナントが過剰に利用していたり、もしくは自社の通信回線を多く手配する必要がある場合など、MDFの手配にイレギュラーな事態が発生することも考えられないことではありません。

このようなトラブルを避けるためには、入居前にMDFの空き状況を予め確認しておくことが重要です。

そのためには、オフィスビルに入居した後の実際に利用する回線量を事前に把握しておく必要があります。

調整不足によりMDF室に工事業者が入室できないケース

MDFは施錠されているのが一般的であり、通常はテナントであっても、その設備に触れさせないように管理されています。

配線工事などが必要な場合には、事前にMDFを管理しているオーナー側から許可を取り、MDFに関わる工事を行う旨を連絡し、鍵を確保しておくことがポイントとなります。

テナント側でその手配をしておかないと、工事当日になって、MDFを利用できない、あるいは、管理会社にも連絡が取れないといった事態に発展しかねません。

この場合、後日再工事の手配を行う必要がありますが、追加の費用がかかることや、業務計画を遅らせる原因になることは明らかでしょう。

そうならない為にも、事前にオーナーや管理会社への連絡と、鍵の取得を確実に実行することが大切です。

オフィス移転の場合は、物件オーナー側にいつどんな業者がどのような工事を実施するのか事前に出来うる限り、情報提供をしておくことが重要です。

IDFから占有スペースまでの配管ができないケース

工事当日になって、いざ引き込み作業を行うとなった段階で、IDFから占有スペースへの配線用配管がなかったり、配線用配管があっても老朽化していて、実際は利用できないために、工事が実行できないケースもあります。

このような場合、付帯業務による追加費用が発生することは避けられません。

また、回線の引き込み工事が行えなかった場合でも、そのコストは発生してしまいます。

そして、別の日に工事日程を切り替えるため、重複して工事費用を支払うことになります。

無駄な費用をかけないためにも、事前の現地調査をきちんと実施することが重要です。

オフィス移転のサポートなら当社へ!

ここまで説明してきたように、オフィス移転には、必ず電話回線やインターネット回線の引き込み工事がセットになります。

オフィス移転に伴う回線の引き込み工事をきちんと計画しておかないと、オフィスの移転作業が終わっても、固定電話が使えない、あるいはパソコンをインターネット回線に繋ぐことができないといったトラブルに発展してしまいます。

ただ、MDFから占有スペースへの回線引き込み工事の手配などについては、煩雑な手続きが多くあります。

当社ではオフィス移転に関わる物件選定だけではなく、要件定義から移転後のアフターフォローまで、幅広くサポートします。

もちろん、移転時に必要な回線工事の手配についてのご相談に応じています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまでMDFやIDFにまつわる基礎知識や、オフィス移転時のリスクやその対処方法について解説してきました。

この記事のポイントを整理すると以下の通りとなります。

MDFとは「Main Distributing Frame」の頭文字を取った略称で、日本語でいうと、「主配線盤」を意味する。
MDFはテナントの電話回線やインターネット回線をまとめている端子盤。
MDFにまつわるトラブルはさまざまな事例があるが、物件オーナーや管理会社への報連相、事前の現地調査などを重点的に行うことで防げる可能性が高い。

MDFから占有スペースへの回線引き込み工事の手配などについては、煩雑な手続きが多く複雑です。当社ではオフィスのご移転時のトータルサポートが可能です。

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。

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