2024年の固定電話サービス廃止に関して 企業はどう動くべきか

2024年に固定電話サービスが廃止予定になることはご存知でしょうか。知らなかったという方も、少なくはないでしょう。

固定電話サービスが廃止された後、固定電話が使えなくなるわけではありませんが、企業として対応しなければならないことがいくつかあります。ここではそもそも固定電話サービスとは何か、固定電話サービスが廃止された場合、企業として何をしなければならないかを解説します。

この記事を読めば、2024年の固定電話サービス廃止に関する概要を理解することができるでしょう。ぜひ、最後までご覧いただければと思います。

固定電話の廃止に向けて企業がすべきこととは?

固定電話が廃止される理由

まず、「固定電話」とは、基地局の中継交換機を電話線で結線した電話回路網を利用した電話のことです。電話加入権と呼ばれる設置負担金を支払う必要があった電話なので別名加入電話とも呼ばれています。固定電話の回線には、アナログ信号と呼ばれる、音声を波形として電話線で送信するアナログ回線と、0と1のみのデジタル信号として音声を電話線で送信するISDN回線に分けられます

2024年に固定電話が廃止される理由は以下のことがあげられます。

固定電話サービスの加入者が減少している

固定電話が廃止される理由の1つは、固定電話サービスへの加入者が年々減っていることがあげられます。

(出典)総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和2年度第4四半期(3月末))」により作成 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000187.htm

総務省の調べでは、NTTの固定電話サービスの契約数は、2010年時点では3957万件であったのが、2020年には1716万件に減少しております。その後もなおも減少傾向にあります。

固定電話サービスの加入者が減少している原因として考えられるのは、IP電話サービスの加入者に利用が切り替わっていることがあげられます。

このような背景から、NTTは固定電話サービスを廃止し、IP電話サービスへのシフトを加速させようとする狙いがあります。

中継・信号交換機の維持が困難であるため

固定電話サービスが廃止される理由として2つめにあげられるのは、固定電話サービスに利用されている中継・信号交換機を維持管理することが難しくなってきていることがあげられます。

固定電話サービスの利用者が減少したことにより、固定電話回線網で使用されている中継・信号交換機の製造は2015年で中止されているようです。

この理由から現在使用されている固定電話の中継・信号交換機の老朽化により2025年頃には、その維持管理が難しくなることが懸念されています。

今ある固定電話はどうなるか?

固定電話サービスの利用が廃止されるというと、固定電話が利用できなくなるイメージを持ってしまいがちですが、そうではありません。

アナログ回線とISDN回線を利用している固定電話網は、NTTにより内部構造が再構築され、IP電話として利用が継続できるようになります。

現在使用している固定電話機はどうなる?

  • 工事不要でそのままIP電話として利用できる

  • 電話料金も安くなる

電話回線の種類について

ここで、電話回線の種類について整理しておきましょう。電話回線には、アナログ回線、ISDN回線、IP回線の3種類があります。

アナログ回線

アナログ回線は一番昔からある銅線を利用した電話回線です。メタル回線とも呼ばれます。特徴としては、1回線で1電話の通話に対応しており、電話番号は1契約につき1つのみ配分されます。

また、アナログ信号は、ケーブルが長くなるほど、信号が減衰しやすくなるという大きな欠点があるため、長距離の電話には向いていません。

ISDN回線

ISDN回線は、アナログ回線の後に開設された回線で、デジタル回線の一種です。この回線にも、銅線が利用されているため、アナログ回線とまとめてメタル回線と呼ばれることがあります。

しかし、その特徴はアナログ回線と異なり、1回線の契約で2通話まで同時に行うことができます。

また、ISDN回線で利用されているデジタル信号は、ケーブルの長さによって信号が減衰することがなく、常に元の信号の状態に近い形態で、信号を送受信することができます。

しかし、アナログ回線同様、長距離電話の場合、料金が高くなるという欠点があります。

IP回線

現在主流となっているIP回線も、ISDN回線と同様、デジタル回線の一種です。

IPとはInternet Protocolの略で、音声データをデジタルデータとしてパケットに変換して、インターネット回線を利用することで、通話が可能になる仕組みです。

インターネット回線を利用していることから、長距離や短距離通話に関係無く、電話料金は一律で変化しません。

そのため、携帯電話や国際電話への料金がアナログ回線やISDN回線よりも安いことが、IP回線の大きな特徴です。

地域番号が利用できるOAB-J型や、各プロバイダーやケーブルテレビが提供している050で始まる電話番号の050型、LINE電話やSKYPEなどの電話番号の無いものも、IP電話に分類されます。

固定電話とIP電話の違い

固定電話とIP電話の違いは以下の通りです。

電話回線の違い

使用する電話回線が異なります。固定電話では、信号交換機で伝送路を結び、通話を行います。

他方、IP電話では、インターネット回線を利用して通話を行います。そのため電話発信地の特定は困難です。

昔は、IP電話の音声品質の低さや、通話の不安定さが問題視されていましたが、5G回線の普及により、通信品質が大幅に改善されたため、IP電話が加速的に普及している要因にもなっています。

電話料金の違い

固定電話よりもIP電話の方が、電話料金が安くなることも大きな違いです。固定電話の場合、長距離の電話であるほど、信号交換機を中継しなければならず、その分、電話料金が加算されます。

しかし、IP電話の場合、インターネット回線を利用して通話を行うため、電話の距離に関係無く、通話料金が一律となります。

このような理由から、IP電話の方が、リーズナブルに通話を楽しむことができます。

使用する電話番号の違い

次の固定電話とIP電話の違いは、電話番号の違いです。固定電話の場合、市外局番+市内局番+加入番号という電話番号の形態をとっています。

一方、IP電話の場合、一般的に050から始まる電話番号を利用しています。この場合、電話番号から、発信地域を推定することはできません。

しかし、ビジネスの場面では、発信地域を特定できる電話番号を持っていた方が、利害関係者に信頼感を持っていただくことができます。

そういった場合は、市外局番を用いるOAB-J型の電話番号を利用することができるIP電話サービスもあるので、必要に応じてIP回線サービスを選択するようにしましょう。

通話できる電話番号の違い

固定電話の場合、通話先の電話番号に制限はありません。しかし、IP電話の場合は、フリーダイヤルを利用できなくなることがあります。

また、発信地を特定できないIP電話では、警察署や消防署などへの緊急通話ができない場合もあるので、利用する時には注意を伴います。

近年固定電話を解約する企業が増加中

近年固定電話の廃止という理由だけではなく、固定電話を解約する企業が増加しています。

その背景には、企業のDX化や働き方改革などといった課題があることがあげられます。

固定電話の代替として、ビジネスフォンやクラウドPBXなどを導入し、必要な場合には社員一人ひとりに対して、スマートフォンを配布する企業も少なくありません。

ここで、クラウドPBXとは、従来オフィスに設置する必要があったPBX(電話交換機)をインターネット経由で活用できるサービスを指します。

ここでは、企業が固定電話に加入しなくなった理由について解説していきます。

場所に囚われず電話を受けられるようになった

スマホが社員に普及したことにより、場所に囚われず電話によるコミュニケーションを取れるようになりました。近年では、リモートワークを積極的に取り入れている企業も多くあり、固定席ではないフリーアドレスやABWを導入するケースも。

そうなると、必然的にオフィスの固定電話で電話を取ることが難しくなります。

スマホの普及により、フレキシブルに電話対応ができることが、固定電話を解約する企業が増えている1つの要因と言えるでしょう。

電話の取次や電話受付のための出社が不要になった

次に固定電話の解約が進んでいる理由として、電話の取次や電話対応のための出社が不要になったことがあげられます。

固定電話の場合だと、電話を受け付けた社員が、用件の担当者に取り次ぐという無駄な作業が発生します。

また、社内、社外からかかって来る電話に対して、固定電話の場合だと、電話を受け付ける担当者がかならず必要になります。そのため、電話対応を行うためにわざわざ出社するということも避けることはできません。

これはリモートワークの推進とは逆行してしまうデメリットになります。また、スマホの普及により、これらの問題は解決することができます。これらのことから、固定電話サービスを解約する企業が増えていることに繋がっています。

固定電話の維持コストを抑制できるようになった

固定電話の場合、電話導入のコストや、それを運用、管理するためのランニングコストが負担となります。

IP電話やクラウドPBXへ移行した場合、固定電話と比較して、導入コストやランニングコストを大幅に抑えることができます。

働きやすい職場にするため

株式会社ワークの「オフィスに関する調査」によると、オフィスの環境に求めることの第一位として、「仕事に集中できる環境」があがりました。

固定電話があると、社内、社外問わずひっきりなしに電話がなり続けるということも珍しいことではありません。

そうなると、自分とは関係の無い電話の対応に追われて、本来やるべき仕事に集中できない環境が生み出されてしまいます。

働きやすい職場環境を整えるためにも、固定電話は撤廃されていく定めにあります。

クラウドによるコールセンターの在宅化が可能になってきた

最後に固定電話サービスの解約が進んでいる理由として、コールセンターの在宅化が可能になってきたことがあげられます。

お客様センターを運営していたり、テレアポ業務を行う会社では、専属のコールセンターを抱えている企業も少なくないでしょう。

コールセンターは一般的に、PBXやCTI(コールセンターシステム)を利用していたり、個人情報などのセキュリティ面において細心の注意を払わなければならないため、在宅化が難しい業務に分類されていました。

しかし、近年では、クラウドシステムの堅牢化が進んでいて、コールセンタースタッフの在宅化が進んでいます。

クラウド型PBXやクラウド型CTIなどのシステムを駆使すれば、コールセンター業務の在宅化も可能になってきました。

固定電話廃止に伴い検討すべき電話サービス

固定電話を廃止する場合、社外、社内のコミュニケーションの取り方を変化させる必要があります。

ここでは、固定電話の廃止に伴い企業が検討すべきことを解説します。

外線電話の場合

オフィスへかかって来る外線電話については、クラウドPBXの導入がオススメです。

スマホやPCを利用して、電話を担当者にダイレクトに繋げることができるので、無駄な電話の取次業務がなくなります。

クラウドPBXを導入することにより、テレワークの推進につながります。

受付電話の場合

固定電話を廃止した場合、内線電話も利用できなくなります。

そのため、受付に来客が来た場合の社内間のコミュニケーションに課題があります。

会社から配布されたスマホあてに電話をかけたいところですが、受付担当者からすると、無数にある配布スマホから、特定のスマホ番号を探すことは若干煩雑な作業になります。

そこで、オフィスの受付にiPadを設置して、クラウド受付システムを導入することをオススメします。

これにより、来客の通知をスマホの社内チャットやプッシュ通知、着信音通知で担当者にダイレクトに知らせることができます。

このシステムをオススメできる点は、来客の記録を自動で行ったり管理できることや、来客の種類により、ボタンや通知をカスタマイズしたりできることです。

受付業務に関する様々な業務の効率化を期待できるでしょう。

IP・IP-PBXを利用する

インターネット回線を利用して通話が可能なIP電話や企業内のネットワーク上にIP回線を繋げ、外線電話や内線電話を制御できるIP-PBXを利用することも企業として検討する必要があるでしょう。

IP電話は基本的には050から始まる電話番号を利用しますが、場合によっては、市外局番の番号を利用することができるため、企業の代表電話として050を利用したくない場合でも対応できます。

コールセンターシステムを利用する

前述した通り、クラウドによるコールセンターシステムを導入することも検討する必要があります。

コールセンターシステムとは、PCなどのコンピュータと電話、FAXを連携させるシステムのことを指します。

コールセンターを在宅化したい、固定電話を廃止したい場合に導入を検討すべきシステムの1つとなります。

問い合わせ業務のシステム化を図る

最後に固定電話廃止に伴い検討すべきことは、問い合わせ業務をシステム化することです。

この場合、電話で顧客対応をしなければならないという固定観念を打破することで、問い合わせ業務のシステム化を図ることができるでしょう。

チャット形式で顧客の疑問に自動で回答するチャットボットや、自動音声システムやボイスチャットを利用することで、 顧客自身が問題を自己解決するシステムを整えることができれば、そもそも直接の電話でのやり取りを激減させることができます。

企業で固定電話を解約する際の注意点について

固定電話を解約することに関しては、メリットもいろいろありますが、注意点もあります。

ここでは、その注意点を解説します。

代表電話番号が廃止されてしまう

1つめの注意点として、何も手を打たず、会社の代表電話番号を解約してしまうと、外部からその会社に問い合わせる手段がなくなってしまうことです。

この場合、クラウドPBXを導入することで、課題を解決しましょう。

クラウドPBXはインターネット上で設定すれば利用できるようになるので、物理的な工事を実施する必要がありません。

会社代表電話番号を維持しながら、電話機本体を撤廃したいのであれば、クラウドPBXを導入することをオススメします。

企業の社会的信用度が下がる

日本社会においては、固定電話番号があることは1つのステータスであり、利害関係者に信用感を感じさせる側面もあります。

固定電話を廃止する場合、その会社への信用度が少なからず下がってしまうことは避けられないでしょう。

しかし、現在のIP電話では、市外局番から始まる電話番号を取得することも可能なので、やり方次第で大きなイメージダウンを回避することも期待できます。

固定電話の廃止に伴うサービスの変更はお早めに

2024年1月に固定電話は廃止になり、順次IP電話へと切り替わります。

その切り替えにより、業務上発生する課題がここで解説したこと以外も発生することも考えられますので、固定電話サービスの切り替え作業は早めに行うことを強くオススメします。

サービスの切り替えを早めに行うことで、業務上の課題を早急に洗い出すことができるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ここまで、固定電話サービス廃止に伴う企業の課題などについて解説してきました。

この記事のポイントを整理すると以下の通りとなります。

2024年1月で従来の固定電話サービスの提供は廃止になる。
固定電話廃止の背景には、固定電話サービスへの加入者数の減少や、テレワークなどの働き方改革などの影響がある。
固定電話サービス廃止後は、自動的にIP電話へと順次切り替わる。
電話業務の効率化とシステム化にはクラウドPBXの導入がポイントとなる。

固定電話の廃止を良い機会と受け止め、これまでのオフィスのあり方や、機能の見直し、またはオフィス縮小による移転やリニューアルなども検討すると、より良いオフィスの構築に繋がると思われます。

お気軽にお問い合わせください。最善のサポートをご提供致します。

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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