オフィス移転におけるコンセプトの重要性とは? メリットや手順・事例をご紹介

オフィスの移転・リニューアルに伴い、新しいオフィスのデザインに迷われるご担当者様は多くいらっしゃいます。確かに近年のオフィスは千差万別で、どのようなデザインを採用すべきかの意思決定が難しいのも無理はありません。

こういった課題を解決し、かつ新しいオフィスの価値を最大化する上で最も重要なのは、新オフィスに「コンセプト」を持たせることです。コンセプトが明確であれば、デザイン決定などの工程がスムーズになるだけでなく、社内外に向けて様々な恩恵をもたらすことが期待できます。

本記事ではオフィスの「コンセプト」について、そもそもの考え方から、取り入れるべき要素、具体的にコンセプトを形にする手順、事例を解説しています。

・新オフィスのデザインに悩んでいる
・オフィス移転の効果を最大化したい
・従業員にとって本当に良いオフィスとはどんなものか悩んでいる

上記の課題をお持ちの場合、本記事が指針を明確にする参考となりますのでぜひご一読ください。

また、下記記事ではオフィス移転の流れや用語、ポイント、注意点などを基礎から分かりやすく解説しているので、オフィス移転が初めてで流れを把握しておきたいというご担当者様は、あわせてご参考にしてください。

オフィス移転の全体像がわかる!移転担当者が理解しておきたい4つのステップ【マニュアル付き】

オフィスのコンセプトとは?

オフィスにおける「コンセプト」について基本的な考え方を解説します。

オフィスのコンセプトは、会社がオフィスを用いて表す「メッセージ」

「コンセプト」を日本語訳すると「概念」「(企画・広告などで)全体を貫く基本的な観点・考え方」。

つまり、オフィスにコンセプトを持たせるというのは「何らかの概念や考え方をもってオフィスをつくる」ことを意味します。そしてオフィスに持たせたコンセプトは、オフィスで働く社員やオフィスに訪れる取引先などの来訪者に感じ取られます。

つまり、オフィスのコンセプトとは、会社が社内外に打ち出したい何らかのメッセージであると考えられます。

「オフィスデザインのコンセプト」は「オフィスのコンセプト」ありき

「オフィスのコンセプト」と「オフィスデザインのコンセプト」は混合されがちですが、オフィス自体のコンセプトはオフィスデザインを考える上での前提条件です。

近年、トレンドを取り入れたお洒落なオフィスも増えています。いわゆる「お洒落なオフィスのデザインコンセプト」としては

南国のカフェのような~
高級ホテルのロビーのような~
ヨーロピアンテイストの~

といったものが挙げられます。

しかし、「こういったデザインにしたい」という「空間のコンセプト」を先行させても実現するのは「単なるお洒落な空間」であり、会社として何らかのコンセプトをもって設計したオフィスとは呼べません。

あくまで「オフィスのコンセプト」があり、それを具体的に空間に落とし込む上で設計されるのが「オフィスデザインのコンセプト」です。

オフィスのコンセプトを決める要素

オフィスのコンセプトを決定する要素の一例として、以下のようなものが挙げられます。

会社の理念
事業内容
会社の次の目標(中長期的な経営計画)
会社の目指す働き方
会社が社員に目指してほしい方向(従業員に対するインナーブランディング)

どのようなメッセージを誰に対して打ち出したいのかによってコンセプトは大きく変わってきます。

どういった要素を取り入れてオフィスのコンセプトを設計するのかは、オフィスづくりにおいて最も重要な要素といっても過言ではありません。

オフィス移転でコンセプトを明確にするメリット

オフィスのコンセプトを明確化することは、対外的にも対内的にも明確にメッセージを打ち出せるだけでなく、オフィスづくりや拡張の指針になるなど様々なメリットがあります。

社員に会社のメッセージを伝えられる

オフィスのコンセプト、すなわちオフィスが打ち出す会社からのメッセージを最も強く受け取るのは、日頃オフィスで働く社員です。

コンセプトが明確なオフィスのもとでは、日々業務に取り組む中で会社の理念を感じ取れたり、会社の中長期的な目標に向けて自発的に動けるような効果が期待できるかもしれません。

単にお洒落なオフィス、居心地の良いオフィスを用意するだけでも従業員満足度を一定レベル上げる効果はあるでしょう。

しかし、オフィスのリニューアルや移転はそれほど頻繁に行われるイベントではないうえに、予算や手間といったコストもかかります。その効果を最大化するためには、やはり単なるトレンドのオフィスに反映するだけではなく、オフィスのコンセプトを明確化し、デザインに落とし込むことが必須です。

オフィス移転の場合、立地や物件の選定もコンセプトに沿って行うことにより、さらに有効なメッセージを打ち出せる可能性が高まります。

来訪者に会社のメッセージを伝えられる

オフィスのコンセプトが明確であると、取引先や求職者といった来訪者に対しても会社が印象づけたい方向へのイメージ戦略を取りやすくなります。

来訪者にとって会社のイメージを最も印象付けるのは対応する社員ですが、オフィスが与える印象も無視できるものではありません。

コンセプトのしっかりしたオフィスであれば来訪者にとって印象深いものとなり、取引の拡大や就業への志望度の向上といった効果につながる可能性もあります。

来訪者は常にオフィスに滞在しているわけではないので、オフィス内部だけでなくオフィスへの往来の行程も含めて一つの体験という印象が高まります。

立地
物件
エントランス
会議室や応接室などの応対スペース
エントランスから応接までの動線

といったポイントを意識してオフィスのデザインに落とし込むのが効果的です。オフィスの移転を伴う場合、対外的なイメージ戦略としても移転先の立地や物件をコンセプトに沿って選定することが重要と言えるでしょう。

物件選びの軸が定まる(移転を伴う場合)

リニューアルの場合は「既存物件(オフィス)」という前提条件の中で、いかにコンセプトを実現させるかが問われますが、移転を伴う場合は立地や物件選びもコンセプトにおける重要な要素です。

物件選定はオフィスの移転において重要な要素の一つですが、数ある候補物件の中から自社にとって望ましい物件を選択することは容易ではありません。

しかし、コンセプトが定まっていれば、重視する点も必然的に明確になります。物件の立地や建物の条件も自然と絞り込まれてくるため、ミスマッチの少ない物件選びが実現する可能性が高まります。

デザインの指針が明確になる

オフィスづくりにおいて最も重要なことはオフィスそのもののコンセプトですが、最終的にコンセプトを形に落とし込むのはデザインです。

オフィスデザインはデザイン会社や設計事務所に外注するケースも多いですが、その際に依頼するコンセプトが明確に言語化されていると、デザイナーの視点からも設計すべき指針が明確になります。

そのため、デザイン案がオフィスのコンセプトと乖離することが避けられ、打ち合わせや修正にかかる時間の削減が期待できるほか、施行完了後に「コンセプトを実現しきれなかった」と後悔する可能性も下げることができます。

オフィスのコンセプトを明確化していると、複数の事業者にデザインを依頼し、各社のデザイン案の中から好ましいものを採用して報酬を支払う「オフィスデザインコンペ」といった選択を取ることも可能です。

オフィスの機能の導入・拡張の指針が明確になる

オフィスのコンセプトが明確であると、オフィスへの導入が必要な機能も明確化できます。

近年のオフィストレンドとしていわゆる「スマートオフィス」や「オフィスのIT化」が挙げられます。IoTやAIを活用し、セキュリティの強化や業務効率の向上、空調や照明の効率化によるコスト削減などを図る、スマートオフィス化にもオフィスの移転やリニューアルは絶好の機会です。

しかし、スマートオフィス化といっても無作為に実行していると逆に利用する側の負担になったり、相反する機能がぶつかることでむしろ逆効果になってしまう可能性すらあります。

オフィスのコンセプトが明確であれば、どの部分にどういった機能を持たせるか、また将来的に拡張していくかといった指針が明確になります。

コンセプトを明確にしたオフィス移転を実現させる手順

オフィスのコンセプトづくりは、最初の要件定義から始まりますが、オフィスが完成すれば終わりというわけではなく、その効果検証まで含めて初めて価値が最大化します。

オフィス移転・リニューアルの要件定義を行う

最も重要なのがオフィスの移転ないしはリニューアルにあたり、プロジェクトの要件定義を行うことです。

オフィスの移転・リニューアルに伴い何を実現したいのか、現在解決したい課題は何か、今後会社としてどういった方向に進みたいのか、といった要素を盛り込みながら要件定義を行います。

経営陣で理念や今後の目標を明確にする

オフィスのコンセプトの要素として企業の理念は最も重要なものの一つです。しかし、企業理念は長期にわたって一貫したものであるため、「企業理念のみをコンセプトとしたオフィス」はリニューアルや移転しても代り映えしない可能性もあります。

そこで新たに加えたい要素として挙げられるのが、中長期的なビジョンや経営計画です。これらの要素は時代や状況により柔軟に変化するのが当然であることから、オフィスを一新するにあたっても要素として反映しやすいと言えるでしょう。

理念や中長期の経営計画はオフィスのコンセプトのために定めるものではありませんが、そういったビジョンを体現させる空間としてオフィスは最適な選択肢です。

オフィスのコンセプトを決める上でも理念、中長期の目標は明文化し社内に浸透していることが望ましいと言えるでしょう。

現場社員目線で今のオフィスの課題を抽出する

現状のオフィスの課題、生産性向上を妨げているポイントの抽出は、実際にオフィスで業務にいそしむ社員の声を集めるのが最も効果的です。

現在のオフィスにおいて不便に感じている点や改善の要望、オフィスに新しく欲しい機能などヒヤリングを行い、収集した意見をオフィスのコンセプトに反映することで、現場目線でも理想とするオフィスの実現に近づきます。

社員のすべての要望を反映することは現実的ではありませんが、ヒアリングを行いその内容を可能な限り反映させた方針などを資料で共有することも従業員満足度の向上に繋がります。

外部からプロの視点も交える

オフィスのコンセプトを定めるにあたり、可能な限り活用したいのが外部からの専門家の視点。

理念や経営計画を定めるのは経営陣の仕事ですが、それをオフィスのコンセプトに落としこむのは経営と別の知見が求められます。

また、既存のオフィスの課題抽出において現場社員の意見は最も重要ですが、環境に慣れてしまった社員では既存オフィスの課題に気づかない可能性も考えられます。現場目線で見えない課題の抽出においては、やはり外部からの専門的な視点を交えるのが最も有効です。

そして、オフィスの移転を伴う場合、立地や物件の選定もコンセプトを構成する重要な要素です。

エリアの特色や周辺の先々の開発の展望、市況の状況など、専門家ならではの視点を加えることにより、コンセプト設計に相乗効果が得られます。

経営目線、現場目線、そして不動産事情の視点から、適宜コンサルティングや調査を行い意思決定のサポートもできるプロを交えることにより、より良いオフィスコンセプトの策定が期待できます。

オフィス市況データをもらう

物件の選定を行う(移転を伴う場合)

移転を伴う場合、新しいオフィスの立地やどのようなオフィスビルに入居するかもコンセプトにおいて非常に重要です。

例えば、歴史ある企業が立ち並ぶビジネス街にオフィスを移すのか、新興のベンチャー企業が好む立地に移転するのかによって会社の印象は変わります。

物件についても、例えば新しい物件に入居することで「革新」を表す、逆に築年数は経っているけれど内装はリニューアルされているような物件を選択することで「価値の再発見」を体現する、といったメッセージを込めることが可能です。

決定したコンセプトをデザインに落とし込む

「オフィスのコンセプト」を表すレイアウト」を設計するには、コンセプトを実現させるための「オフィスデザインのコンセプト」を定めるのが効果的です。

新しいオフィスで実現したいこと、それを実現するために必要なオフィスの機能・空間・什器・配色のイメージなどを明確化したうえで、具体的なオフィスデザインに落とし込みます。

オフィスのコンセプトが明確でありながらも落とし込むデザインが曖昧な場合は、トータルでサポート可能な事業者に依頼することもおすすめです。

複数のデザイン案を見比べて決定したい場合は、複数の業者に依頼し、採用したデザイン案に対して費用を支払う「オフィスデザインコンペ」も有効な選択肢の一つです。

施行・什器の購入を行う

デザイン案が確定すると、実際に施工に入るとともに必要な什器の購入を行い、物件をコンセプトを実現させたオフィスへと形に仕上げていきます。

オフィスの施工には通常1~2か月程度の工期がかかりますが、凝ったオフィスデザインでの施工を行う場合、それ以上の期間を要する可能性があります。

空調工事、電気工事、回線工事なども含め、新しいオフィスで業務を開始する期日にあわせてスケジュールを調整する必要があります。

導入後の効果検証を行う

無事に新オフィスでの業務を開始した後、オフィスのコンセプトを実現できたのかは効果検証を行うことが望ましいです。

従来のオフィスで抱えていた課題は解決したか、業務効率は向上したか、従業員満足度は向上したか、従業員の会社に対する意識に変化はあったか、など多角的な観点から数値を用いた定量的な分析と、従業員へのヒヤリングなどによる定性的な分析を行うことで、より効果的な検証が期待できます。

検証の結果、期待していたほどの効果が得られていなかった場合、システムの導入や軽微なレイアウト変更などで改善が期待できる場合もあります。検証は早いうちから定期的に行うことが望ましいと言えるでしょう。

「オフィスのコンセプト」をデザインに落とし込んだ事例

本章では、「オフィスのコンセプト」を形として実際にオフィスデザインへ落とし込んだ事例をご紹介します。

会社のロゴやコーポレートカラーをデザインに取り入れ、ブランディングに寄与するオフィスを実現|AIQ株式会社様

AIQ株式会社様は、AIを活用した事業を展開しています。同社はシェアオフィスからの拡張移転に伴い、初めてゼロからの内装構築を行いました。コーポレートブランディングに繋げられるようなオフィスを作りたいという想いから、会社のロゴやパーパス、サービス名が自然と目につくような場所に設置し、コーポレートカラーを多用することで統一感のあるオフィスを実現しています。

また、以前のオフィスでは執務エリアとリフレッシュエリアの境界線が曖昧で、執務エリアで電話をしている人に気を遣いながらリフレッシュエリアを利用する、といった状況でした。新しいオフィスではエリア分けをしっかりと行い、場所にコンセプトを持たせることで働きやすいオフィスデザインも構築しています。

「共創」「熱」「象徴」。3つのコンセプトをオフィスに体現|株式会社ユーザベース様

株式会社ユーザベース様は「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」をパーパスに掲げ、さまざまなビジネス情報のインフラサービスを展開しています。

創業から会社の成長とともにオフィスを変化させてきた同社ですが、2022年7月に移転した新オフィスでは「共創」「熱」「象徴」の3つのコンセプトをオフィスで体現することを目指しました。

創業者様の「オフィスで多様性を表したい」という想いから、多様性=いろいろな人がいる街というイメージが出来上がり、オフィスではなく街を作るというところからスタートしたのが今回のオフィス作りの特徴です。

また、ディスカッションや共創してクリエイティブな仕事をする、コミュニケーションの場所としてオフィスを位置付けるというイメージも、3つのコンセプトに繋がっています。

オフィス移転のコンセプト決めから効果検証までのサポートはHATARABAにお任せください

オフィスづくりにおいて重要なオフィスの「コンセプト」について、基本的な考え方からコンセプト決定に重要な要素、定めたコンセプトを形にする具体的な手順について解説しました。

オフィスのコンセプトは、会社がオフィスという場を通じて社内外に打ち出すメッセージとも言い換えられます。

どのようなメッセージを込めるか、そのメッセージをどう形にするかなどの重要な意思決定を多く伴いますが、効果的に実現できた際に期待できる効果は計り知れません。

オフィスをリニューアルや移転に伴い一新するにあたり、重要となってくるのは要件定義を行い、新オフィスのコンセプトを定めることです。コンセプトが決まった後もそれを反映したデザインの確定と実現させるための施工、什器の調達など、重要な意思決定から細かい実務まで数多くのタスクが存在します。

新オフィスでの業務開始後に、定めたオフィスの要件定義を実現できているかの効果検証も実施できるのが理想的ですが、それら全てを自社でスムーズに遂行するのは困難なケースも多いと思われます。

HATARABAならオフィスに関するトータルサポートが可能です

HATARABAでは既存のオフィスにおける課題の洗い出しや、経営陣の打ち出したい方向を交えながら新しいオフィスの要件定義ご支援いたします。

移転を伴う場合は、コンセプトを実現させるための物件の仲介から、具体的なオフィスデザインの選定、オフィスデザインコンペのサポートなど、施工から導入後の効果検証までワンストップでのご支援が可能です。

導入後の効果検証として「HATARABAサーベイ」のご提供も可能です。オフィスの移転・リニューアル前後の利用状況を数値化し、比較することでコンセプトを実現できたか、定量的な把握が可能です。

全行程のトータルでのコンサルティングから必要な部分のみのスポットでのご支援までご要望にあわせて柔軟に対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください

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