色が与える心理的効果を意識して、オフィスの配色に取り入れる企業が増えてきました。色によってオフィスの雰囲気は大きく変わり、業務効率や社員のモチベーションにも影響を与えます。働きやすいオフィスになるのか、居心地の悪いオフィスになるのかは、色の使い方次第です。
そこでこの記事では、オフィスの配色について、具体例を出しながら配色のコツや注意点について解説します。さらに、オフィスの配色を考えるにあたって大切なコーポレートカラーについて触れます。
オフィスのカラーコーディネートにお悩みの方や、オフィスの配色で業務効率アップを目指す方に、この記事がお役に立てば幸いです。
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オフィスの配色で業務効率が変わる?
私たちは無意識で色の影響を受けています。色によって気分やその場の雰囲気が変わるだけではなく、色は仕事の生産性にも影響を与えているのです。
米テキサス大学が行った色が生産性に与える影響の調査によると、壁の色によって生産性が妨げられる傾向が見られました。赤、白、水色それぞれの部屋で、与えられた作業を同じように完成させる実験を行った結果、ほかの色の部屋に比べて白色の部屋では作業ミスが多く発生していたのです。
オフィスの配色で業務効率が変わる例を2つ、ご紹介します。
- パワフルでエネルギーを生み出す赤色には、血圧を上げる効果があります。カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究によると、赤は細かい作業での業務効率アップに効果があることがわかっています。
- 心を落ち着かせる青色は、創造力を高めて新たなアイデアを生み出しやすくすると言われています。さらに青色はコミュニケーションを高めるとも言われているので、1つのテーマに対して複数人が自由に意見交換を行う、ブレインストーミングを行う場合には適しています。
出典・参照 :Hackleter「オフィスの壁に白を塗ってはいけない?」
職種・スペースごとの配色
では、職種やオフィススペースごとに最適な配色とは、どのようなものでしょうか。
職種ごとの配色
まずは職種ごと、内勤中心のデスクワークの場合と営業など外勤が多い場合、それぞれに適した配色をお伝えします。
①デスクワーク
内勤が多いデスクワークの場合、デスクにいる時間が長く、作業ストレスを受けやすい環境です。長時間過ごす場所として快適になるように、安らぎや癒やし効果の高い緑色を効果的に配置するといいでしょう。
また夏場はエアコンの影響が強いため、暖かみのある色を使うことで、体感温度を下げないような工夫も効果的です。
②営業
営業など外回りが多く出入りが多いスペースの場合、短時間で平静を取り戻し、次の仕事への切り替えが行えるような配色にします。青や青緑など、寒さや冷たさを感じる寒色系は心を落ち着かせ、集中力を高める効果があると言われています。
とはいえ、青や白ばかりだと意欲が下がる可能性もあるので、元気を取り戻すために、赤や黄色など活発さを感じさせる色を差し色として使うといいでしょう。
スペースごとの配色
次に、オフィスのスペースごとに適した配色をご紹介します。
①受付・応接スペース
オフィスエントランスは企業の顔です。社内外を問わず多くの人が出入りする場所であり、特に来訪者に自社のイメージを印象づける重要なエリアとなります。エントランス部分にコーポレートカラーを取り入れれば、訪れた人に自社のイメージをアピールすることができます。
例えばコーポレートカラーが赤の場合、壁全体が赤では刺激が強いので長時間過ごすには落ち着きませんが、長居しないエントランスであれば、インパクトを与えることができ、来訪者の印象に残るでしょう。
また、コーポレートカラーを大胆に使った受付から、徐々にその色の面積を縮小しながらコーポレートカラーを応接スペースまで流すようにすると、会社の印象をより強く残すことができます。
このようにコーポレートカラーを用いて自社のイメージを前面に出す方法のほかに、室内スペースに応じて色を使い分ける方法も効果的です。
例えば、同じ広さでも後退色である寒色系中心のスペースの場合、引っ込んで見えるので広く感じます。一方で進出色の暖色系は、壁や床など広い面積に使うと狭く感じます。
また、暖かみのある照明を使ったり、自然光を取り入れたりすることができれば、健康的な顔色や自然な表情で来訪者を迎えることができるので、訪れた人に好印象を与えることができるでしょう。
②会議室
会議室の配色は、目的に合わせて考えます。
参加者の意見をまとめたり、会議の調和を図ったりしたい場合は、グレーや茶系でまとめるといいでしょう。グレーや茶色は調和を表す色と言われており、「落ち着いた雰囲気を与える」「物事を受け入れやすい」色です。そのため、会議室で使われることが多い配色です。
ただしグレーはエネルギーに欠ける色なので、使いすぎるとやる気を削いでしまいます。グレーを使うのは最小限にとどめ、赤やオレンジなどの明るい色を補うようにします。
一方、独創的なアイデアを求める場合は、部分的に赤やオレンジなどの暖色系を使うといいでしょう。色の強い暖色は「興奮」や「エネルギー」を生み出す色と言われています。
ただし、黄色の部屋では正気を失いやすくなるという研究もあるので、刺激が強くなりすぎないように注意します。広い面積に暖色系を使うと落ち着きがなくなるので、部分的に少スペースで効果的に配置させるのがポイントです。
③休憩室
短時間で効率よくリフレッシュ効果を狙うなら、元気の出る黄色やピンクを使うといいでしょう。癒やし効果の高い緑色を取り入れるのも有効な方法です。観葉植物の緑色や魚の水槽の青色など自然の色を取り入れ、デスクワークで疲れた目を休めるのも効果的です。
④コーポレートカラーを忘れずに
オフィスの配色を考えるにあたって、自社のコーポレートカラーを取り入れることも大切です。
コーポレートカラーは自社のイメージを象徴する色であり、社員の一体感を高めるためにも有効です。コーポレートカラーを無視した配色にすると、統一感が図れず、ちぐはぐな印象を与えてしまいます。さまざまな色合いが存在すると気持ちも落ち着きません。
コーポレートカラーに沿うような配色や色味を意識し、使う色数を抑えるとオフィス全体に統一感が生まれます。オフィスに統一感を持たせることで、洗練された印象を与え、来訪者にも好印象を残すことができるでしょう。
オフィスの配色を簡単に変えるには?
壁や床など面積が大きい場所の配色を変えれば雰囲気を大きく変えることができますが、もっと手軽に、オフィス内に置かれている什器に色を取り入れるのも有効な方法です。
簡単な方法では、机やイスなどを替える、観葉植物の緑を取り入れる、照明の色温度を変えるなどが挙げられます。観葉植物は鉢植えのオーソドックスなタイプのものでも充分な視覚的効果がありますが、壁に取り付けるタイプのものであったり、天井に取り付けられるタイプのものもあるため、ただ置くよりは手間はかかりますが、壁紙の変更とは比べ物にならないくらい簡単に壁の雰囲気を変えることができます。
また、壁に関してはシールを貼るなども有効で、DIY感も出るため、よりオフィスに愛着が湧くのではないでしょうか。
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色が持つイメージを利用して快適なオフィスを作ろう
私たちは無意識で色の影響を受けています。色によって気分やその場の雰囲気が変わるだけではなく、オフィスの配色次第で業務効率も変わります。
色が持つイメージや性質を上手に利用して、働きやすい快適なオフィス空間を目指しましょう。
オフィスにおける効果的な配色を知りたい方や、オフィスの配色で業務効率アップや社員のモチベーションアップに繋げたい方に、この記事がお役に立てば幸いです。