ベンチャー企業やIT企業を中心に増えている「おしゃれ」なオフィス。
オフィスのデザインに意味や目的を持ち計画することにより、オフィスの印象が先進的になります。加えて従業員の満足度、生産性の向上や、コミュニケーションの活性化、IT化などといったさまざまな効果に期待できます。
オフィス移転はオフィスのデザインを一新する最大のチャンスです。本記事では、オフィスデザインの変更について、期待できる効果や具体的なデザイン案、デザインの費用相場、理想のオフィスづくりにあたって押さえるべきポイントなどを網羅しています。
オフィス移転に伴い新たなオフィスデザインを検討している担当者様に向けた、数多くのお役立ち情報も含まれていますので、ぜひご一読ください。
また、下記記事ではオフィス移転の流れや用語、ポイント、注意点などを基礎から分かりやすく解説しています。オフィス移転が初めてでよく分からないというご担当者様は参考にしてみてください。
初心者必見!オフィス移転の流れやポイントを基礎から解説!
オフィス移転で内装デザインをこだわる効果
オフィスのデザインにこだわりをもって設計することにより、オフィスとしての機能性の向上、従業員や来客からの満足度向上など様々な効果が期待できます。
社内コミュニケーションの活性化
現在はリモートワークの浸透や通信技術の発達により非対面でもコミュニケーションが取りやすい環境が整っていますが、対面でのコミュニケーションの大切さも実感されています。
オフィス内でも気軽に交流しやすい環境を整え、コミュニケーションを活性化させることは様々な効果をもたらします。
普段、仕事で関わることが多い関係者同士でも休憩スペースなどでコーヒー、時にはアルコールを片手にカジュアルな会話を重ねることで親交が深まり、これまで以上に業務が円滑になる可能性もあります。
また、業務上あまり関わらない部署同士でも自然とコミュニケーションが取りやすい場ができると社員間の交流が促進され、会社全体の空気が良くなることが期待できます。時には思わぬアイディアが生まれイノベーションが起こるかもしれません。
オフィスのIT化による生産性向上
AI(人工知能)スピーカーによる音声検索の標準化、顔認証による社内のセキュリティエリアへの往来など、一昔前の近未来映画にあったかのような光景は、いまや現実のものとなっています。
たとえば、オフィスのWi-Fiに高度なセキュリティ機能を備えることで安全性を維持しつつ従業員がセキュリティチェックにかけていた時間を減らすことができる、といった業務効率化に期待できます。
また、センサーで温度や人の有無を検知し、使用していないエリアの空調や照明を自動で調節する機能を備えることにより、オフィスの電気代を削減できるだけでなくSDGsの観点からも評価されやすくなります。
オフィス移転は新しいオフィスの要所でIT化を図り、オフィスの利便性を上げたり、ランニングコストを効率的に下げたりする絶好の機会でもあります。
動線見直しによる業務効率化
既存のオフィスの中で、レイアウトが原因で業務効率が下がっている場合、オフィス移転は改善する機会でもあります。
たとえば、本来綿密に連携しなければならない部署同士が直接コミュニケーションを取りにくい配置になっていたり、コピー機の利用が多い社員の席がコピー機から遠く往復に多くの時間がかかる、といった課題が挙げられます。
全体最適を考えるうえで、個々の社員の要望を全て実現することは現実的ではないかもしれません。しかし、現在のオフィスで明らかな課題となっている部分については新オフィスで解消することにより、業務の効率化や従業員の不満解消にも繋がります。
従業員満足度の向上
現代のオフィスワーカーは給与やキャリアだけでなく、労働環境や働きやすさを重視して会社選びをする傾向が高まっています。
見栄えの良いお洒落なオフィス
快適でストレスなく業務に取り組めるワークスペース
気分転換ができてほかの社員とのコミュニケーションが取りやすい休憩スペース
居心地の良いオフィス環境を提供することは従業員満足度に直結し、企業への定着率の向上、さらには企業文化の形成も見込めます。オフィスの風景や、そこでいきいきと働いている社員、和気あいあいと談笑している社員の様子をホームページを通して社外に発信していくことで、求職者からの印象を良くすることができるかもしれません。
来訪者からの自社の印象アップ
オフィスを居心地の良い空間にすることで最も恩恵を受けられるのは従業員ですが、オフィスに時折訪れる取引先や来訪者からの印象アップにも期待できます。
オフィスの印象は企業の印象に大きく影響するため、対外的なブランディングやイメージ戦略としても、オフィスデザインは重要な役割を果たします。
オフィス移転の内装デザインにおすすめのオフィススペース4選
現在オフィスデザインに取り入れられているトレンドのオフィススペースについて、4つ例を挙げて紹介します。
どのようなスペースが自社にとって望ましいかは企業や業種によっても異なりますが、自社のオフィスデザインを考える参考にしてみてください。
カフェ・バースペース
一般的に「社員食堂(社食)」は従業員が外出することなく安価で昼食がとれることを目的に設置されています。近年、外資系企業やベンチャー企業を中心に取り入れられているカフェ・バースペースは食事を提供するだけの場ではありません。小休止・リフレッシュやカジュアルな打ち合わせ・コミュニケーションの場、さらにはデスクを離れて気分転換しながら仕事をしたいといった需要にも活用できます。
モーニングやランチなどの食事メニューを充実させるだけでなく、小休止のコーヒーのお供になるような軽食メニューを用意したり、就業時間後にアルコール類を提供したりする企業も存在します。時間帯ごとのニーズに併せて柔軟に活用することによって社員の憩いの場としての存在意義がさらに高まり、従業員満足度の向上に貢献します。
フリースペース
フリースペースはあえてスペースの利用用途を定めず、多岐にわたって柔軟に活用できるように設置されている空間です。動かしやすいデスクや椅子を設置することでレイアウトの変更が容易だと、活用の幅がさらに広がります。
例えば、
複数の部署の社員が集まって行うカジュアルなミーティング
新たな商品や技術などの社内勉強会の開催
社外から人を招いてイベントを開催
新商品やサービスを世間に発信していくための記者会見
外部に解放する場合、フリースペースが会社の「顔」としての機能をもつので、自社をどうブランディングしたいのかを明確にし、それを体現するデザインにすると効果的です。
従来の会議室と比べて活用の幅が広いためデッドスペースになりにくく、空間の有効活用にも繋がります。
マグネットスペース
マグネットスペースとは、磁石に吸い寄せられるように人が集まってくるスペースのことを指します。近年、オフィスデザインを考える上で、意識的にこのマグネットスペースを取り入れるようなコンセプトも増えてきています。
例えば、近くに飲み物やお菓子の自動販売機を設置し、休憩用の椅子を置いたスペースのようなイメージです。
自然と人が集まり、部署やチームの枠を超えて社内のコミュニケーションが取れる場所として、社内活性化に大きな影響を与えます。先述のカフェスペースもマグネットスペースとして機能を持たせることができるかもしれません。
マグネットスペースという概念自体は比較的新しいものですが、発想の原点は従来型のオフィス内で女性社員の井戸端会議の場所となっていた、給湯室やコピー機周辺のような空間です。こういった交流しやすい空間を意図的に設けることで、社内のコミュニケーション活性化に期待できます。
ブーススペース
気軽にコミュニケーションを取りやすい環境は業務の円滑化や社内交流の促進に大きな効果をもたらします。一方で、タスクの締め切りが迫っている時や集中したい時など、むしろ外部との接触を極力控えて黙々と作業したいニーズも存在します。
そういった時に活用できるのがブーススペースです。ブースで周りと仕切ることで作業に集中することができます。ブーススペースで仕事をしていることは「今は忙しい」「集中したい仕事に取り組んでいる」という周りに対するサインにもなります。
気軽に周囲とコミュニケーションを取れるワークスペース、1人で集中して作業に取り組めるワークスペース。状況に応じて使い分けることで仕事にもメリハリを出すことができます。
オフィス移転に伴う内装デザイン・施工にかかる費用相場
オフィス移転に伴い新しいオフィスをデザインし、施工するためには大きく4つの費用が発生します。
1.デザイン費
2.内装工事費
3.設備工事費用
4.什器購入費
それぞれの項目について、目安料金と費用を抑えるポイントをご紹介します。
また、以下の記事では内装デザイン・施行のほか、オフィス移転にかかるコストを削減する方法をご紹介していますので、あわせてご一読ください。
デザイン費
オフィスのデザイン費用はオフィスレイアウトのコンセプトを設定し、実際にデザインに落とし込む費用です。
オフィスの広さ、レイアウトの複雑さなどにもよりますが、約30万円~50万円程度の費用が発生します。見積金額が極端に安いデザイン会社を選べばコストを削減することは可能ですが、必要なスペースや動線など十分に考慮していない、使いにくいオフィスが完成してしまうかもしれません。
予算を抑えつつ理想のオフィスを形にする方法として「オフィス内装コンペ」をおすすめしています。複数社からデザインを提案してもらい、その中から最も適したデザインを採用します。詳しくは後述していますので、ご参考ください。
内装工事費用
内装工事は天井や壁、床に対する装飾や貼り替え作業です。例えば壁にはクロス(壁紙)を、床にはタイルを貼るなど、オフィスとしての機能性と快適性を備えた空間に仕上げます。
内装工事の費用は工事内容・工期にもよりますが、1坪あたり約5万円〜8万円が目安です。この中には、
仮設工事
軽鉄工事
ボード工事
パーティション(間仕切り)工事
など様々な項目が含まれます。
内装工事費用に大きく影響する要素が、素材の質です。コスト削減を目指す場合は、素材のグレードを見直しましょう。しかし、訪問者に見える部分の内装素材の質も落としてしまうと企業のイメージを損ないます。見える部分と見えない部分で素材を使い分けるといいでしょう。
設備工事費用
設備工事費用は電気や水道、空調、配線などのオフィスの機能的な部分の工事費用です。具体的には、以下のような工事が該当します。
照明、コンセント
LAN配線、電話回線
換気扇
水回り(給湯室、キッチン、トイレ)
消火設備、火災報知器
一般的な相場としては1坪あたり約20万円~30万円ですが、オフィスのデザイン性を重視するために配線や機器を目立ちにくくするような施工を加える場合は高額になる傾向があります。
設備工事費用を節約する一つの方法として、ポータブルバッテリーを推奨します。ポータブルバッテリーは持ち運び可能なため、レイアウト変更のたびに工事をしなくて済むというメリットがあります。最初に購入費用はかかりますが、レイアウトの調整時や退去時の配線関連工事が不要となるため、長期的に見ればコスト削減につながります。
什器の購入費用
オフィスに設置する什器(家具)の購入費用です。
デスク
椅子
インテリア
パーティション
ワゴン、収納庫
カウンター
什器の購入費用は従業員1人あたり10万円が目安ですが、凝ったデザインを実現するにあたってこだわりの什器を購入する場合は高額になりがちです。サブスクリプションや、レンタル、リースなどを活用することで初期費用を抑えることも可能です。
また、オフィス移転のタイミングでソフトウェアやクラウドサービスを購入・利用する場合、補助金・助成金の対象となる可能性があります。移転の時期や会社の規模など要件が定められているため、詳しくは以下の記事をご確認ください。
オフィス移転で理想の内装デザインを実現させる手順
オフィス移転にあたり、後悔なく理想のオフィスレイアウトをデザインし、実際に施工して実現するまでの手順は以下の通りです。
1.物件を探す
2.オフィスのレイアウト・デザインを確定させる
3.什器の購入・内装工事
デザイン費用を抑えつつ、デザイン案を妥協なく吟味する手法についても解説していますので、参考にしてみてください。
物件を探す
移転先候補となる物件を探します。細かい内装のデザインは物件を選定し、オーナーから入居の内諾を得てから行うのが一般的ですが、新オフィスの要件定義の中で移転後のオフィスで実現したいことが具体的であれば物件の絞り込みもスムーズです。
要件定義から物件の提案までワンストップで支援できるような業者に相談するのも、手間を軽減しながら理想のオフィス移転を実現させる近道になります。
物件を見学する際は「室内(専有部分)」「共有部分」「外観・周辺環境」の3パートに注目すると、大きな失敗を回避することができます。以下の記事では具体的なチェックポイントを解説していますので、ぜひ内見前にご確認ください。
オフィスのレイアウト・デザインを確定させる
物件を選定したら、実際のその物件をどのようにレイアウト・デザインして新オフィスとして活用するか、デザインを確定させます。
デザインを外注する場合、予め予算を伝えておくとその予算内に収まるような提案を得られるためスムーズです。
内装コンペで効率的にデザイン選択を
オフィスをどう活用したいか、新オフィスのコンセプトが決まっていても、実際にそれをデザインに落とし込んだ時
「イメージと違う」
といった感想を抱かれることもあるかもしれません。オフィスのコンセプトは言語化できても、それを視覚的なデザインに落とし込む上で個々がもつイメージの差異はどうしても現れてしまいます。
解決策の一つがオフィスデザインをコンペ形式で複数の事業者から募ることです。集まったオフィスのデザイン案の中からイメージと近いもの、もしくは最も気に入ったものなど一つだけを採用し、採用した応募に対してデザイン費用を支払います。
コンペ形式にすることで複数の選択肢を同時に吟味することができるため、予算や手間を抑えながら理想の内装デザインを実現したいケースに向いています。
弊社が実施しているサービスの中にも「オフィス内装コンペ」があり、実績あるいくつかの提案の中から気に入った一つのオフィスデザインを選ぶことができます。
什器の購入・内装工事
新オフィスのレイアウトやデザインが決まったら実際に内装工事に取り掛かり、思い描いた新オフィスを形にしていきます。
内装工事は通常1〜2か月程度で完了しますが、こだわり抜いたデザインを細部まで反映するためには通常よりも期間を要する可能性があります。
旧オフィスから社員が引っ越し、新オフィスでの業務開始がスムーズに行われるよう、しっかりとスケジュールを把握してプロジェクトを進めていきましょう。以下の記事では、オフィス移転全体の具体的なタスクと必要な期間について詳しく解説しています。スケジュールに遅れが出ないよう、準備段階から従来オフィスの原状回復工事まで、オフィス移転の流れをご確認ください。
内装デザインを意識したオフィス移転の事例紹介
ワンルームでも気分を切り替えられるゾーニング | 株式会社カオナビ様
弊社がご協力させていただいた株式会社カオナビ様のオフィス移転では、「執務エリア」「カウンター席エリア」「BOXエリア」「リフレッシュエリア」といったように複数のエリアに分かれた内装デザインを取り入れました。ワンルームでも気分を切り替えられるゾーニングを実現しています。
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西日本での認知拡大を目指したオフィス移転。社会変化にも対応できる柔軟なオフィスづくりとは
リモートワークが進むなかでコンセプトや内装にこだわり抜いた理由 | 株式会社Legaseed様
新卒採用のコンサルティングや採用代行などの事業を展開している株式会社Legaseed様は、コロナ禍の当時においても売上前年比135%の増加、従業員数42名にもかかわらず翌年には新卒採用40名という成長を遂げています。前オフィスの立て壊しに伴いオフィス移転を検討するうえで、全従業員がリモートワークの状態であったこともあり役員からは「オフィスのグレードを落としても良いのではないか」という議論がありました。
しかし、通常では客先に出向いて提案を行うところ、新卒で入社した新人が多かった同社は、契約の成功確率をあげるためにもまずはお客様が来たくなるオフィスにする必要があったといいます。そのためオフィス移転では、オフィスのグレードを落とさずに、雰囲気に共感や興味を抱いてもらえる内装デザインにこだわったそうです。コンサルティングという目に見えないサービスでも、社内の雰囲気を目に見える形にすることで、「こういう人材を採りたい」「こんな雰囲気の会社にしたい」という表現を感じられるオフィスを実現しています。
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内装デザインにこだわるなら「オフィス移転コンサルティング」にお任せ!
ここまでオフィス移転の費用を押さえつつ、理想のレイアウト・デザインを実現するコツをまとめました。
近年は一昔前のオフィスイメージとは異なるおしゃれなオフィスも増えてきています。
オフィス移転はオフィスのデザインを一新し、業務効率化や従業員の満足度向上を図る大きなチャンスです。予算、工数の面から大きなコストがかかり、それほど頻繁に実施されるものではないため、一度の移転の機会で可能な限りの効果を目指すことが求められます。
そのためには既存オフィスの課題の洗い出し、新オフィスに求める要件の定義、適切な物件の選定契約、物件を最大限活用し要件を実現するためのオフィスのデザインなど、綿密に行う必要があります。しかし、これを全て自社のリソースで賄うのは簡単ではありません。
そこでぜひ活用していただきたいのが「オフィス移転コンサルティング」です。オフィス移転プロジェクトの根幹となる要件定義から、最適な物件の契約の仲介、さらには理想のオフィスデザインを実現させるための内装コンペなど、理想のオフィスづくりに必要な様々なサポートをワンストップで提供します。
もちろん、デザイン面だけでなく、プロジェクトをやり遂げるにあたって求められる様々なタスクについても適宜サポートを行います。オフィス移転のプロジェクトを負担を減らしながら最大の効果を出せるようご支援します。
当社ではオフィスの課題洗い出しからオフィス移転後のアフターフォローまで、トータルでサポートいたしますのでお気軽にお問合せ下さい。
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