オフィスの移転を検討している企業にとって、賃貸オフィスとレンタルオフィスの違いは、コストや業務効率に影響する重要なポイントです。
本記事では、両者のコストや契約条件、柔軟性などを徹底比較します。さらに、年間の利用シミュレーションを通じてどれだけ費用が変わるかをまとめました。オフィス移転を成功させるための判断材料として、ぜひご活用ください。
オフィス移転の選択肢は1つじゃない!「一般賃貸」と「レンタルオフィス」
これまでオフィスといえば賃貸オフィスが一般的でしたが、近年はレンタルオフィスもオフィス移転の有力な選択肢です。ここでは、それぞれの特徴を比較しました。
改めて注目される「レンタルオフィス」という選択肢とは?
賃貸オフィスとレンタルオフィス。両者の違いは、賃貸オフィスが「場所を借りる契約」に対し、レンタルオフィスが「オフィス機能をサービスとして利用する契約」である点です。
レンタルオフィスは敷金・礼金が不要なケースが多く、オフィス家具やネット環境なども整っているため、初期費用を抑えられます。状況によっては、賃貸オフィスよりレンタルオフィスの方が効率的な選択肢となる場合も少なくありません。
【比較表】一般賃貸とレンタルオフィスの主な特徴
賃貸オフィスとレンタルオフィスは、契約形態や管理体制、提供されるサービス内容に違いがあります。ここでは、両者の主な特徴を表で比較してみましょう。
項目 | 一般賃貸オフィス | レンタルオフィス |
契約形態 | ・賃貸借契約が主流(主に2年契約) | ・サービス利用契約が主流(1ヶ月〜短期OK) |
初期費用 | ・敷金・礼金・仲介手数料などがかかる | ・入会金や保証金のみのケースが多い |
月額費用 | ・坪単価に換算すると割安 | ・坪単価に換算すると割高になりがち ・長期利用では総コストが逆転することも |
広さ | ・比較的自由に面積を確保できる | ・少人数向けが中心だが、数十名以上に対応した施設も増えている |
設備・内装 | ・オフィス家具、インターネットなど自社で準備 ・レイアウト・デザインなどの自由度が高い | ・オフィス家具・インターネット・共用部分が標準装備されていることが多い ・既存のデザインを使用するため、自由度は比較的低い |
セキュリティ | ・専用空間のため、セキュリティ対策を自社でコントロールしやすい | ・共用部があるため、情報管理により一層の注意が必要な場合も |
解約 | ・中途解約には違約金が発生することも ・退去時に原状回復義務を負うのが一般的 | ・比較的柔軟に拠点変更・解約可 ・原状回復義務がないケースが多い |
対応スピード | ・内装工事含め1〜3ヶ月かかるのが一般的 | ・最短で即日入居が可能な施設もある |
賃貸オフィスは自由度が高く長期的な利用に適している一方、レンタルオフィスは初期費用の安さや契約の柔軟性、充実したサービス面などのメリットがあります。
オフィス形態で変わる!移転にかかるコストを比較
オフィス移転にかかる費用は、選ぶオフィスの形態によって変わります。ここでは、賃貸オフィスとレンタルオフィスにかかるコストを比較します。
初期費用
まずは、移転時に発生する初期コストの違いを比較してみましょう。
【賃貸オフィス】
賃貸オフィスは、契約時に敷金・礼金・仲介手数料などが必要です。これらの初期費用は賃料の半年〜1年分が相場で、10名規模のオフィスでも100万〜150万円程度の費用が発生します。また、内装工事やネット環境の整備なども自社の負担です。
資金に不安がある場合や連帯保証人を立てられない場合は、保証会社を利用することで契約の審査に通りやすくなります。ただし、保証会社の保証料は解約時に返金されないため注意しましょう。
【レンタルオフィス】
レンタルオフィスは「サービス利用契約」のため、初期費用が抑えられるのが特徴です。敷金・礼金が必要な場合でも、賃貸オフィスに比べて額が低く、物件によっては不要なケースもあります。
多くの場合、初期費用の相場は数十万円程度です。内装工事や設備設置も不要で、パソコンを持ち込むだけで利用できます。
また、都心部などアクセスの良い立地にオフィスを構えやすいため、初期投資を抑えたい事業者におすすめです。
月額費用
月々のランニングコストは、オフィスの運用に直結する重要なポイントです。サービスや追加費用の有無により、月額費用に大きな差が生まれます。
【賃貸オフィス】
賃貸オフィスの月額賃料は、一般的に「坪単価 × 坪数」で算出されます。東京都の主要5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)で100坪以上のオフィスの場合、1坪あたりの賃料は2万円〜3万円が相場です(参考:2025年6月時点の市況データ)。100坪のオフィスで換算すると、月額200万円〜300万円と想定されます。さらに、入居時にはインターネットや電話回線の工事、セキュリティ設備などのインフラを整備する費用も必要です。
また一般的に、オフィスの階数が上がるほど賃料も上がります。これに加えて、水道光熱費、通信費なども別途かかります。
【レンタルオフィス】
レンタルオフィスの月額賃料は、利用人数や面積に応じて柔軟に選べる点が特徴です。東京都の主要5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)では、1人用のオフィスが月額5万円程度で利用できる場合も。10名規模(30坪前後)では、月額約70万円が目安です。
レンタルオフィスは、立地や面積によって月額賃料が変動します。主要5区を離れたエリアでは賃料が低くなる傾向ですが、立地によっては賃貸オフィスより割高になるケースもあります。
水道光熱費、通信費、オフィス家具などが含まれたオールイン価格の賃料は、コストの見通しが立てやすいため安心感のある選択肢となるでしょう。
退去費用
ここでは、オフィスを退去する際にかかる退去費用を比較しました。契約形態によって必要な費用や手続きが異なります。
【賃貸オフィス】
賃貸オフィスを退去する際には、原状回復義務が生じます。内装の解体や設備の撤去、壁紙・床材の張り替えなどの工事が必要です。
原状回復工事は、坪あたり3〜10万円程度を見込んでおく必要があります。例えば30坪のオフィスなら、数百万円の退去費用が必要です。さらに、原状回復の業者手配、管理会社との調整、解約手続きなど、退去までに時間と労力がかかる点もデメリットといえるでしょう。
オフィスの原状回復工事とは? 工事の流れから内容、費用目安まで解説!
【レンタルオフィス】
レンタルオフィスでは、サービス利用契約が一般的です。そのため、通常の賃貸オフィスのように原状回復義務が適用されることはほとんどありません。クリーニング費用のみでスムーズに退去できます。また、解約手続きもシンプルで、複雑な手続きや中途解約による違約金を求められることもありません。
事業の状況に応じて拠点を移したり、解約したり柔軟に対応できる点がレンタルオフィスの魅力といえるでしょう。
コストだけじゃない!契約期間とスピードで見るオフィス移転
オフィスの移転では、コストだけでなく契約期間や入居までのスピードも重要な判断材料です。賃貸オフィスとレンタルオフィスでは、契約条件や柔軟性に大きな違いがあります。
賃貸オフィス特有の「契約期間」と「解約」に注意
賃貸オフィスは、一般的に申し込みから実際の業務開始まで早くても1ヶ月以上はかかります。というのも、物件の状況に応じた内装工事やインフラ整備が必要になるためです。
また、賃貸オフィスの契約期間は2年が主流で、入居審査にも時間がかかります。途中解約には違約金や3〜6ヶ月前の予告が必要なケースもあるため注意しましょう。こうした契約上の制約は、事業の拡大や縮小に応じた柔軟な対応を難しくするといえます。
初心者必見!オフィス移転の流れやポイントを基礎から解説!
レンタルオフィスは短時間で入居が可能
レンタルオフィスは多くの場合、審査にかかる時間が短く、最短では申し込み当日から入居が可能です。契約期間も1ヶ月単位が主流のため、短期利用や一時的なオフィス開設にも適しています。
さらに、ネット環境やオフィス家具があらかじめ整っているため、入居後すぐに業務を開始できるのも大きな魅力です。レンタルオフィスは、スピードと柔軟性を求める企業にとって理想的な選択肢といえるでしょう。
縮小も転換も自在。経営に寄り添うオフィスの新常識
変化の激しい現代のビジネス環境では、事業の方向転換が必要になった場合に柔軟な対応が求められます。
レンタルオフィスは、契約期間や規模の選択が柔軟です。事業の戦略的判断にもスピーディに対応できることから、経営の意思決定を支える要素として注目されています。特にスタートアップや不確実性の高い事業を展開する企業にとっては、心強い選択肢になるでしょう。
【最終チェック】あなたの会社はどっち?レンタルオフィスが最適な企業の3つの条件
賃貸オフィスとレンタルオフィス、どちらを選ぶかは事業内容によって最適解が異なります。ここでは、レンタルオフィスが最適か見極めるヒントをまとめました。
1. スタートアップ企業
スタートアップ企業にとっては、スピード感とコスト削減が成功の鍵です。レンタルオフィスなら初期費用を大幅に抑えつつ、ネット環境・オフィス家具など必要な設備が揃った環境で業務を開始できます。
レンタルオフィスは初期費用や月額賃料の負担も少ないため、少人数でスタートする事業には特におすすめです。事業の方針変更や撤退といった予期せぬ事態にも柔軟に対応できる形態は、変化の激しい初期フェーズに最適なオフィスの選択肢といえるでしょう。
2. 1〜2年の短期プロジェクトが決まっている企業(部署)
プロジェクトに合わせて短期間のオフィスが必要な場合、レンタルオフィスがおすすめです。賃貸オフィス契約では契約期間に制約があり、短期間の利用では不要なコストが発生します。
一方、レンタルオフィスは1ヶ月単位で契約可能です。違約金が発生することもなく短期間で契約を終了できるため、プロジェクト終了後の移転もスムーズにできます。柔軟なチーム運営やサテライトオフィスとしても、効率的といえるでしょう。
サービスオフィス徹底解説!選び方、比較ポイントやおすすめ事業者一覧
3. 地方開設などでコストを抑えながら素早く事業を始めたい企業
地方拠点の立ち上げやテスト開設では、限られた予算内でオフィスの確保が求められます。レンタルオフィスであれば、内装工事や設備投資が不要なため、初期費用を削減することが可能です。
レンタルオフィスは時間とコストの両方を効率的に節約でき、地方拠点のテスト展開や小規模運営でも無駄がありません。経営資源を本業に集中させられます。
まとめ
オフィス移転の最適解は、何よりも会社の未来像に左右されます。コストと労力を伴う移転だからこそ、本当に必要な投資かを慎重に見極めることが重要です。
レンタルオフィスを活用すれば、目的や期間に応じて初期費用やランニングコストを削減でき、柔軟性とスピードを兼ね備えた環境を実現できます。スタートアップの段階ではレンタルオフィスを活用し、事業が定着したフェーズで賃貸オフィスに移行するのも合理的な方法です。ビジネススタイルに合った選択で、賢くオフィス移転を進めましょう。