“はたらく場所の最適化” を目指す株式会社HATARABAは2024年で設立20周年を迎えました。本企画では、周年を迎える企業の代表をお迎えし、これまでの歩みや、これから目指していく未来について対談形式でお話を伺っています。
第2回目は、ビッグデータとテクノロジーを駆使したデジタルマーケティングのSaaSツール・コンサルティングを提供する株式会社CINCの代表 石松友典さん(以下、敬称略)をお迎えしました。
今年、創業10周年を迎えながらその勢いは留まることなく、さらに成長が加速している同社。その根底にあるのが“社員起点で考える”事業構築力です。弊社代表 森村が、CINC社の成長要因に迫りました。
準備開始から“最短”3年で“黒字”上場
――創業10周年を迎えるCINCですが、非常に幅広く事業を展開されているように見えます。創業当初からの構想だったのでしょうか?
石松
もともと、私たちはマーケティングDXのコンサルティング事業からスタートしました。現在はエキスパートソーシング事業やM&A仲介事業も開始し、事業を多角化しています。
創業当初、私とナンバー2の平が一緒に事業を立ち上げ、多くの案件を抱えていました。私が獲得した案件を、すべて平が一人で調査し、夜中に全て処理しなければならないという、いわゆる創業時の“あるある”を経験しました。
これを1人で続けていくには限界があったため、ドメインを入力すると競合の流入状況や広告のキーワード、集客状況を可視化するSaaSを開発。当初は社内の品質向上と効率化を目的としていましたが、競合他社にも販売できると考えるようになり、「Keywordmap」として外販を開始しました。
当時、海外には2つ、国内にも少し前に開発された同様のツールがありました。しかし、英語に比べて日本語は、文章の意味や文節を機械的に把握しづらいという特徴があり、解析する手法を体系化するのが難しいとされていました。海外のツールは英語をメインにしているので、日本語対応の開発では私たちの方が優位にありました。
森村
その勢いに乗って、上場を進めたのですね。
石松
おっしゃる通りです。創業2~3年目で「Keywordmap」の開発・販売を開始、手ごたえを感じていた3~4年目のタイミングに準備をはじめました。それまでは、上場を目指すことはあまり考えていませんでした。
森村
上場時にはかなり注目されていましたよね?
石松
準備を始めてからの期間としては、「最短」と言われる3年で上場しました。当時はSaaS業界で「黒字上場」は非常に珍しく、市場からも注目していただきました。
社員と会社のビジョンを合致させることがエンゲージメントの根底に
――お二人とも“社員を大切にしている経営者というイメージ”がありますが、社員のエンゲージメントを保つために意識されているようなことはありますか。
石松
私は、会社と社員が対等にコミュニケーションをとり、会社の目標と社員一人ひとりの夢が共存できるフェアな関係を築きたいと考えています。
石松
CINCは『マーケティングソリューションで日本を代表する企業へ』というビジョンを掲げ、そのビジョンに共感し、マーケティングの力を信じてマーケティングを極めたいという仲間を集めています。プロのマーケターとして、自立し自走できる力を持ち、優れたサービスや商品を生み出す企業を支援することが役割だと考えています。そういった意味で私は社員にCMOになれるような人材に育っていってほしいんです。
CINCにきてベストパフォーマンスを出し続け、それが集合体となってブランディング化され、社外の方から”CINCの社員と一緒に仕事をしたい”と思われる世界を目指しています。“共にその世界を目指して頑張りましょう”というのが、もっとも重要なエンゲージメントの根底部分だと思っています。
森村
社員と会社のビジョンを合致させるというのは、大きなエネルギーになるのは間違いないですね。組織運営にとって、もっとも重要な考えだと思います。私も設立当初から“社員のための会社をつくろう”ということを目指していました。
森村
弊社のメインビジネスである「オフィス移転コンサルティング」は、企業のはたらく場所の最適化を通じて事業の成長や課題解決をサポートします。お客様の人員計画やオフィスに関する課題を把握し適切なタイミングでアドバイスをします。その為、お客様と長く信頼関係を構築する必要があるので、社員の定着率が大きなKSF(キーサクセスファクター)となります。
良い人材が定着し長く活躍してもらうには”どうしたらよいか?”と考えた結果、“社員のため”の会社という考えにたどり着きました。
今年は創業20周年ということで、社員の家族を招待し”20周年記念パーティ”を開催しました。日頃から支えてくれる家族に感謝を伝え、これまでの20年の間、会社と社員がどのように歩んできたのかを伝える場になりました。
石松
素晴らしいですね。私たちも今回、”感謝”をテーマに10周年記念パーティを行いました。社員の子どももたくさん来てくれました。それぞれのフェーズでCINCを支えてくれたご家族にも感謝を伝えたいと思い開催しました。
――パーティー実施後、社員の方の反応はいかがでしたか
石松
ものすごく喜んでくれました。社員や家族と一緒の時間を過ごし、非日常を味わってもらえたことが良かったのだと思います。特に長く働いているメンバーは、“自分たちがやってきたことがこの場で表現されている”と、ものすごく喜んでくれていました。
長く勤めてくれている人たちに対して、しっかり感謝をし、チャレンジしながらも、長く居続けたいと思ってもらえる会社を作るのはすごく重要なことだと改めて感じました。
森村
開催後、たくさんの社員から経営陣や運営スタッフに対して、会を開催したことへの感謝の言葉をもらいました。こういった言葉をもらうと”社員のための会社”が少しづつ実現できているなと感じますね。
重要なのは社員の想いと事業成長のリンク
――これまでの10年を踏まえて、次の10年はどのように会社を成長させたいと考えていますか?
石松
今後10年で、社内のマーケターに様々な事業会社で経営に携わる機会を提供したいと考えています。マーケティングソリューションで日本を代表する企業を目指す中、成功するCMOや事業責任者には、多様な事業に挑戦し、経験を積む機会が必要です。
――クライアントも大切ですが、社員起点で事業を考えていらっしゃる印象です。
石松
その先にクライアントがいらっしゃるのは当然ですが、まずはクライアントに選ばれる会社になっている必要があると思っています。例えば素晴しいサービスを作るという想いをもって立ち上げた経営者はいても、そこから事業を伸ばすのはまた別の話です。素晴しいサービスを作った経営者が、その事業を一緒に伸ばしてくれるパートナーは誰かと考えたときに、CINCやCINCの仲間が第一に想起されるようにしていきたいのです。そのためにはもっと自分たちが成長しなくてはなりません。
石松
「地方創生の力になりたい」「そのためのマーケティングに携わりたい」という社員もいるのですが、まずは「圧倒的に力をつけなければならない」と、だから「その力をつけて求められる会社になろう」と話しています。
企業として社会に貢献するのは当たり前の話で、それ以前に、社員ひとり一人がどうありたいか、どういう人材になっていきたいかという思いがベースにあることが重要だし、言うなれば、私が関心を持っているのは、社員の思いと事業成長のリンクです。
――ありがとうございます。最後に、皆さんにメッセージをお願いします。
石松
“マーケティングの力”を信じている仲間だけが集まっているので、そのパフォーマンスを最大限発揮したいです。その上で10年後は会社が大きくなっているだけでなく、サポートした会社が世界に進出、「そのサポートをしたのがCINC」という未来を目指しています。
我々は、“マーケティングソリューションで日本を代表する企業へ”というビジョンに向かって突き進んでいます。マーケティングファネルを全体で取り扱っていきながら、BtoB、BtoCのお客様も含めて、“我々の人材がこの会社に入ればしっかり業績を伸ばせる”という世界観を強固なものにしていきます。
森村
これまでの20年よりもこれからの20年のほうがより加速度をあげて成長させることができると思っています。そのための良い人材もそろっていると自負しています。
「HATARABAオフィス」というAIレコメンド機能付きの物件検索サイトを構築するなど、これまで手がけてこなかったWEBマーケティングといった新たな領域にも積極的に挑戦していきたいです。
メインのオフィス移転コンサルティングの事業領域で突き進みながら、他の事業の多角化も進め、事業会社を増やしていけば、人材の新陳代謝も進みます。頑張っている社員が、これからもやりがいと誇りをもって活躍できるグループ企業を、この不動産の領域のなかで構築していきたいです。そして”はたらく場所の最適化”を通じて企業の成長や課題解決をサポートし理想的な未来の実現に貢献していきます。