さまざまな働き方を選べるようになり、働く場所も選択できるようになったいま、オフィスの在り方を再定義し、ブランドの価値を高める要素としてオフィスを重視する企業が増えています。
社外の方へのブランディングはもちろん、従業員のみなさんに対するインナーブランディングの役割としても機能すると考えられているオフィス。
本記事では、注目しておきたいオフィスブランディングのポイントと、集いたくなるオフィスづくりの事例を解説します。さまざまな角度からオフィスを検討し、ブランディングにつなげたい方はぜひご一読ください。
集いたくなるオフィスとは?
オフィスブランディングを進めるにあたり、まず「内装デザイン」が思い浮かんだ方も多いのではないでしょうか。
おしゃれな内装に仕上げることで、企業価値を高めるとともに、そこで働きたくなるような環境づくりをする――。
もちろん、それも1つのブランディング要素になり得ます。
しかし、そもそも従業員のみなさんがその空間で業務を行うことに積極的でなければ、オフィスにおけるブランディングの効果が薄れてしまいますよね。
Microsoft Work Trend Index(マイクロソフトが全社で実施している働き方に関する年次調査報告書)によると、オフィスで働く動機について、次のように回答しています。
このことから、オフィスは単に仕事をする場所ではなく、対面だからできるコミュニケーションや、チームビルディングに必要なやりとりをする場所へと役割を変え、オフィスに集まることに価値を見出していることがわかります。
しかし、コミュニケーションを取るために出社する場合でも、駅から遠かったり騒音がひどかったりして環境が整っていないと、出社したくなくなることもあります。
オフィスブランディングに必要な7つのポイント
出社したくなるオフィスに必要な要素はなんでしょうか。実は、オフィスブランディング成功のためには内装以外にも重視すべきポイントが7つあります。
1.明確な企業理念とビジョン
オフィス構築の土台となるのが、企業理念とビジョンです。まずはどのような企業でありたいか、理念やビジョンを明確に定め、内装デザインの方向性にも取り入れましょう。
スタートアップ企業などの場合、その後の成長とともに会社の価値観が変わっていくこともあります。その場合は、オフィスの改装や移転と合わせて企業理念やビジョンを再定義していくことも大切です。
2.従業員の働き方
従業員に求める働き方を明確にすることは、オフィスブランディングに効果的です。働き方に応じて必要な空間や動線設計が変わり、それが作業効率や生産性に影響を与えます。
働きやすい環境を整えることで、オフィスの改善、企業文化の醸成、組織力強化が期待できます。また、そんな従業員の働き方を発信することで、外部の関係者にも好印象を与えることができるでしょう。
3.立地
ビルのエリアや立地は、ブランドイメージに大きな影響を与えます。これにより、企業やその製品・サービスの印象が直結して変わることがあります。
例)・銀座:洗練されたイメージ、高級感
・渋谷:高い創造性、スピード感、若者のトレンドへの敏感さ
・丸の内:信頼性の高さ、重厚感、長い歴史と伝統
また、交通の便の良さや最寄り駅からの距離、周辺環境などは出社のハードルを下げ、出社する際のモチベーションの向上やインナーブランディングにも寄与します。
4.ビルグレード
オフィスビルのグレードは、企業イメージや訪問者への印象はもちろん、従業員のモチベーションにも大きく影響を与えます。
ビルグレードの高いオフィスを選ぶことで企業イメージを外部へアピールしやすくなったり、知名度のあるビルに入居していることで信頼を獲得しやすくなるケースもあります。
5.設備
設備の快適性を考慮したオフィス選びも重要です。
例えば、空調設備。主にセントラル空調と個別空調の二つのタイプがあり、オフィスのサイズや予算、環境への影響など、さまざまな要素を考慮して、最適なシステムを選ぶことが大切です。
また、最新のオフィスビルは共用部が充実しているビルも増えており、商談ができるラウンジや会議室、オフィスで働く人たちが利用できるジムなどを共有スペースにも力を入れているビルを選ぶことでブランディングを高めることもできます。
6.窓からの景色
視覚から入ってくる景色は、従業員のモチベーションにも関わります。例えば、ビルの上層階で大きな窓から臨める開放感ある景色や、低層階でも木々に囲まれた自然の風景はストレス軽減に有効だと言われています。
階や方角によって見晴らしや自然光の入り方が大きく変わるため、オフィス選びの際はぜひ注目しましょう。
7.外部の騒音
オフィスの快適性を確保し、従業員の集中力を高めるためには、外部の騒音を考慮することも重要です。騒音が多い場所では従業員のストレスを増幅させ、作業効率や生産性が低下する恐れがあります。
そのため、従業員が働きやすい環境を実現するために、オフィスの騒音レベルが適切かどうかを確認することが必要です。
実例から見るオフィスブランディング4選
オフィスブランディングの事例を紹介します。交通の便の良さや景色、拠点の使い分け、空間設計など、参考になるポイントばかりです。オフィスブランディングの計画にお役立てください。
素晴らしいオフィスで働くことで得られる自覚が、社員一人ひとりの成長を後押し。駅直結・新築オフィスビルへの移転はブランディングや社員のモチベーション向上につながる|アルサーガパートナーズ株式会社 様
アルサーガパートナーズ株式会社様はコンサルティングから開発までを一気通貫で行っている企業様です。
駅から直結、渋谷最大級のオフィスビル、『渋谷サクラステージ(2023年11月30日竣工)』にご移転をされました。
開発されたばかりの新しいビルというブランディングに加え、オフィス出社を推奨しているため、渋谷駅直結というアクセスの良さは従業員の出社ストレスを大きく軽減する要素です。
リモートワークが可能な時代において、駅から徒歩10分のオフィスではリモートの方が効率的だと判断されることが多いため、あえて出社にこだわるのであれば、通いやすさを確保することが重要です。そのため、福岡支社も天神駅直結のオフィスに入居しています。
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新時代のビジネスに信用力をプラス ブランディングにもつながるオフィス移転戦略|株式会社メディアエイド 様
株式会社メディアエイド様は、SNSアカウント運用代行やインフルエンサーマーケティング、広告運用を通じて企業の課題解決をサポートしています。
ネームバリューの大きさが決め手の一つとなり、『恵比寿ガーデンプレイス』に移転されました。
「ビジョナリーカンパニー」を目指すメディアエイドにとって、コミュニケーションの活性化は不可欠で、仕切りのないオープンスペースとガラス張りの会議室を採用し、従業員が出社したくなる内装を目指しました。
また、高台に位置し周囲に遮るものがないため、窓から広がる広々とした眺望は開放感があります。
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前オフィスと同じ渋谷道元坂エリアに絞った移転を希望。オフィスを訪れるすべてのひとの印象に残る「普通ではないオフィス」を実現|株式会社KITEN 様
株式会社KITEN様は顧客企業の成長を支援する広告事業の他、企業の成長を後押しするコンサルティングに近い事業、ECメーカー業から不動産仲介サービスなど多種多様な新規事業と、多様な事業を展開しています。
渋谷駅からアクセスしやすい渋谷道玄坂エリアにある『寿パークビル』に入居されています。駅からアクセスしやすいため、クライアントが来てくださることが多いようです。
また、いくら内装を綺麗にできたとしても、外観があまりにも古びていたら出社時に気持ちが萎えてしまうだろうと従業員のモチベーションも考慮されビルを選定されました。
オフィスは誰のものかを考えた際に、従業員が快適に働ける場所であり、採用候補者に「ここで働きたい」と思わせる魅力的な場所であり、クライアントに良い印象を与える空間であることの3軸を大切にされていました。
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従業員増や働き方の多様化を受けて、オフィスの最適解を探る。 企業の中長期を見据えた、未竣工ビルへの移転計画|株式会社サンワカンパニー 様
株式会社サンワカンパニー様は住宅設備機器・建築資材のEC販売を手がけています。
梅田の一等地に建設中の、高いグレードを誇る2025年竣工の未竣工ビル『グラングリーン大阪 ゲートタワー』への移転が決定しています。人員増加により、入居しているアプローズタワー21階の3区画のほか、4年前(2019年)に同ビル内の別フロアに1区画増床こうした環境では、コミュニケーションに影響が出て、統一感を持って働くことが難しく、移転を決められました。
経営理念「くらしを楽しく、美しく。」と絡めて、「働く」も含めた「くらし」をオフィスから発信すること新オフィスにコンセプトとし、「楽しく」働けるオフィスにシフトさせ、まずは私たちが「楽しく働く」を体現していきたいとオフィスの構想を練られています。
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まとめ
オフィスブランディングに取り入れたいポイントと、実際のオフィスブランディングの事例を紹介しました。
従業員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮する環境の整備、コスト削減が実現するなど、目指すものや解決すべき課題はさまざまです。
どの企業においてもコミュニケーションを重要視されており、集いたくなるオフィスの実現のために、ビルのグレードや立地、眺望などもオフィスブランディングには欠かせません。
紹介した事例も参考にしつつ、自社のオフィスづくりを進めてみてください。