近年、自席を固定しない「フリーアドレス制」を導入するオフィスが増えてきました。しかし、仲良しメンバーで固まったり、私物を置きっぱなしにしたりするなど、実質的に固定席化することもあります。こうした固定席化を防ぐために、フリーアドレスでの席決めはどのようにすればよいのでしょうか。
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フリーアドレス制を導入する前に
そもそもフリーアドレス制を導入する前に検討しておきたいことから見ていきましょう。
導入の意味や目的を明確にする
フリーアドレス制は、明確な意味や目的をもって導入しなくてはなりません。とくに、慣れない制度に変わることへの不安などから「自分の席がなくなってしまう」と、ネガティブな思考でとらえてしまう社員は必ず登場します。
そこで、「実際に自分のデスクにどのくらいの時間、日数着席しているのか」という在席率調査を行い、フリーアドレス制に適しているかどうかを判断することや、匿名アンケートを実施して社員の意識を調査することで、フリーアドレス制への理解度を確認しておきましょう。もし理解が少ないようなら説明や対話をする必要があります。
ルール作りを徹底化する
せっかくフリーアドレス制にしても、固定席化しては意味がありません。その原因となるのは主に「誰かがいつも同じ席に座ること」「席に自分の荷物を置いたまま移動や退社すること」です。そこで以下のようなルール作りを徹底しましょう。
- 長時間席を離れるときや、退社するときには私物を置きっぱなしにしない
- PCや書類をまとめて移動できるよう、会社側でバッグを用意しておく
- 重要なデータは電子ファイル化し、共有フォルダへのアクセス方法を周知徹底する
マナー意識の研修を行う
また、フリーアドレス制デスクにおけるマナーを社員全員で一律にしておく必要があります。
- 仮眠は専用スペースで行いデスクでは仮眠をとってはいけない
- デスクでは電話をせず、電話をする場合には電話用スペースに移動する
メールでのやり取りが当たり前になった現代では電話をかけることも少なくなってきましたが、それでも相手企業やお客様から電話がかかってくることはあります。上記のようなマナーは固定席オフィスでは見られない光景ですから、「デスクでは電話を受けず、他の場所に移動すること」をとくに徹底しておきましょう。
フリーアドレス制での席決め方法
実際にフリーアドレス制のオフィスで席を決めるには、どんな方法があるのでしょうか。
Webシステム
まず、代表的な3つのWebシステムをご紹介します。
○らくーざ
参考サイト:座席抽選サービス らくーざ
座席は抽選制を採っていますが、どこの座席に誰が座っているのかを「見える化」でき、座席表から直接メールで簡単にコンタクトをとることができます。2週間の無料トライアル期間もありますので、「とりあえず1週間程度使ってみてから決める」という形でも構いません。
○Mamoru Biz
参考サイト:Mamoru Biz
座席抽選機能のほか、座席に設置されたQRコードを読み取ることで「今私はこの座席を使っています」と登録することができます。この機能により、それぞれが今どこにいるのかが可視化され、どこにいるのかわからないという事態は発生しません。60日という長期間のトライアルがあるのも嬉しいポイントです。
○オフィスダーツ
参考サイト:オフィスダーツ・クラウド
業務目的に合ったタイプ別の席を簡単な項目選択で選べます。チームメンバーやプロジェクトメンバーを集めた座席選択もできますので、打ち合わせもしやすくなります。利用料金の詳細は問い合わせてみましょう。
その他の工夫
座席の利用時間に制限をかけ、そのたびに抽選するという工夫をすれば「固定席化」を防げます。社員数が少なければ、アプリなどの特殊なサービスを導入しなくても、くじとホワイトボードといった簡単な仕組みを用意するだけでも十分対応が可能です。
フリーアドレス制を形骸化させないために
フリーアドレス制が形骸化しやすい問題点と、その解決方法をご紹介します。
仲が良い人どうしで固まりがち
席替えのシステムやくじを導入し、座っている場所にいるメンバーの固定化を防ぎましょう。それぞれの社員がフリーアドレス制の良さを理解し積極的に動けるよう、研修などの意識改革も必要かもしれません。
フリーアドレス制がデメリットになる部署も
1日を通じて集中して作業を行うべき部署では、フリーアドレス制がデメリットになる可能性もあります。集中したい部署は個人デスク、アイデアが必要な部署はフリーアドレス制など、業務内容に応じて使い分けると良いでしょう。
収納スペースをどう確保するか
フリーアドレス制ではデスクに書類や私物を長時間置いておけません。個人用のロッカーや共用ロッカー、可動式ワゴンなどをオフィスに設置すると良いでしょう。個人用のロッカーはプライバシーに配慮した鍵つきのものを導入するようにし、最低でも書類やノートパソコンなど、業務に必要なものが一通り収納できる大きさのものを用意します。また、カタログやマニュアルなど、共有して使うための書類は共用ロッカーに入れるようにしましょう。
内線を取り次ぎにくい
フリーアドレス制のデメリットの1つでもありますが、個人に携帯電話を支給することで解決できます。在席掲示板も作成し、それぞれの携帯電話番号や在席情報を共有しておくと良いでしょう。上記で紹介したWebサービスによる「見える化」も1つの方法です。また、エントランスでの来客対応にはタッチパネル式の受付を利用し、そこから直接社員を呼び出してもらう形にすればコストと手間を削減できます。
上司が隣に座るとプレッシャーになる
これは意識改革するしかありませんが、プレッシャーではなく、聞きたいことがあるときにすぐ確認できると考えて業務を行っていましょう。逆に、上司がフリーアドレス制に慣れておらず、私物を置いて固定席化してしまうようなら、紹介したくじや座席抽選システムを導入するのがおすすめです。
まとめ
オフィス改革としてフリーアドレス制を導入しても、結果的にデメリットの負担が増えたり、固定席化したりしては意味がありません。せっかくフリーアドレス制を導入するなら、そのメリットを十分に活かすようにしましょう。