オフィス移転のスケジュールを徹底解説!必要タスクと適正な実施時期

オフィス移転は少なくとも半年以上の期間を要する大きなプロジェクトです。その成否は企業のブランディングや従業員のエンゲージメント、新規採用などに影響を及ぼす重要な取り組みといえます。一方で、オフィス移転は頻繁に行われるものではないため、社内に十分なノウハウが蓄積されていないケースも少なくありません。

そこで今回は、オフィス移転に必要なタスクを新オフィスへの移転タイミングから起算し、どの時期に何を実施すれば良いのか、一般的なケースのスケジュールをまとめました。時期ごとのタスクや進捗確認、遅延時のリカバリー案策定などに活用ください。

また、下記記事ではオフィス移転の流れや用語、ポイント、注意点などを基礎から分かりやすく解説しています。初めてオフィス移転を担当する、具体的な進め方に不安を感じている担当者様は、ぜひご参考にしてみてください。

初心者必見!オフィス移転の流れやポイントを基礎から解説!

失敗しないオフィス移転|スケジュール管理の注意点と成功のコツ

オフィス移転は、企業の成長や働き方改革のチャンスである一方、膨大なタスクと関係者調整が求められる大規模プロジェクトです。ここでは、スケジュール管理のポイントと成功のコツを解説します。

見えないタスクを洗い出す

オフィス移転を成功させるには、「見えないタスク」をいかに管理するかがポイントです。電話・ネット回線の移設や住所変更などの細かな作業を後回しにすると、思わぬトラブルやコスト増につながります。

タスクを時系列で整理し、担当者と期限を明確にしたうえで、チェックリストで進捗を共有すれば、抜け漏れのないスムーズなオフィス移転につながるでしょう。

関係各所との調整を侮らない

オフィス移転を成功させるには、「関係各所との調整」を軽視しないことが重要です。IT・総務・人事などの社内部署に加え、不動産会社や施工業者、引っ越し業者、通信・電気のインフラ担当者、取引先など多くの関係者が関わります。

それぞれの役割とスケジュールを整理し、適切なタイミングで情報共有を行うことで、認識のズレや作業ミスを防げます。早い段階で調整体制を整え、全員が同じ目標に向かって動ける環境をつくることが、スムーズな移転の第一歩です。

「いつまでに」だけでなく「誰が」を明確にする

オフィス移転を円滑に進めるには、「いつまでに」だけでなく「誰が」担当するのかを明確にすることが重要です。担当者が曖昧なままではタスクが滞り、全体の進行にも影響します。

特に複数の部署が関わる場合は、業務範囲の重なりや責任の押し付け合いが起こりやすいため、早い段階で各タスクの責任者を設定し、進捗を共有することが大切です。プロジェクト管理ツールで担当者・期限・進行状況を見える化すれば、遅延を防ぎ、全員が同じ目標に向かって効率的に動けます。

オフィス移転の一般的なスケジュールと必要なタスク

ここでは、新オフィスへの移転時期を起点に、各時期に必要となる主なタスクを整理して解説します。
なお、今回記載している時期は新オフィスに移転するタイミングから起算しています。

ご紹介するスケジュールは100坪~300坪程度のオフィスを想定しており、実際は様々な要因により遅れる可能性が生じるため、余裕をもって計画を立てていただくことをおすすめします。

また、弊社の物件検索サイト『HATARABAオフィス』では、希望面積と営業開始日の入力だけで最適なスケジュールを自動作成できますので、こちらもぜひお試しください。(無料会員登録が必要です)

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10か月前】プロジェクトの立ち上げ、要件定義

オフィスの移転をスムーズに行うためには、まずはプロジェクトチームを立ち上げることが重要です

オフィス移転は「単なる引っ越し」ではなく、大きなコストや労力がかかるプロジェクトです。引っ越し作業や新オフィスへの適応、オフィスの場所が変わる場合は通勤への影響など従業員にも一定の負担がかかります。

一方で移転が成功すれば、従業員のモチベーション向上、ブランディングや採用の強化などさまざまな効果が期待できます。
たとえ契約上の都合によるやむを得ない移転であっても、明確な目的を定め、自社にとってプラスとなる移転を目指しましょう。

まず取り組むべきは、オフィス移転の目的を明確にすることです。従業員数や必要な面積だけでなく、リモートワークの有無、出社率、フリーアドレスの導入といった働き方や、現在のオフィスでの課題などを把握します。

目的が明確になったら、コストや人員計画スケジュールなどを含めたシミュレーションを行いましょう。

9か月前~7か月前】物件選定・内見

次に重要なのは、移転先となる新オフィスの物件を選定することです。予算と照らし合わせながら、できる限り理想に近い物件を探しましょう。

広さや間取りといった基本条件に加え、建物の築年数やブランド力、立地、最寄り駅からの距離、周辺環境(飲食店やコンビニの有無など)も重要な判断要素となります。

自社で物件を探すことも可能ですが、オフィス物件の仲介・紹介を専門とする業者に依頼する方が効率的です。非公開物件の紹介や要件定義からサポートを受けられる場合もあるため、業者選びも重要なポイントといえます。

物件を選定したら内見をし、新オフィスの契約締結に進みます。オフィスの賃貸契約は締結時にしっかりと条件を把握し、合意していないと後々トラブルになるケースも少なくないため、不明瞭な点は事前に全て確認しておくと安心です。

新オフィスの契約を締結してから、現在のオフィスに解約予告を入れることが理想的です。

【7~6か月前】新オフィスの契約、内装・レイアウト設計

新オフィスの契約と同時期には、レイアウトや内装デザインをデザイン会社・内装業者と打ち合わせ、早めに確定させておくことが理想です。

一般的にオフィスの内装工事には1~2ヵ月ほどかかりますが、複雑なデザインの場合はさらに期間を要する場合もあります。スムーズに進めるためには、退去の4~5ヵ月前から準備を始めるのがおすすめです。

オフィスのレイアウト設計は、従業員の働きやすさや業務効率に直結します。動線が悪いと移動の無駄が増え、作業効率が下がる原因にもなります。

デスクの配置は、部課単位で島をつくる島型、フリーアドレス制を前提とした「オフィスランドスケープ」、その中間型など、働き方や業態に合わせて設計しましょう。

また、会議室の広さや数も重要なポイントです。また、会議室の広さや数も重要なポイントです。少なすぎると業務に支障が出ますが、多すぎても賃料に対してスペースを有効活用できているとはいえません。適切なバランスを見極めることが大切です。

なお、前の入居者のレイアウトを活用する「居抜き」での入居であれば、レイアウトの設計から施工にかかる期間やコストを大幅に抑えることが可能です。

【6か月前までに】既存オフィスの解約申し込み

一般的に、オフィス物件の賃貸契約では、解約の申し込みは引き渡しの6か月以上前に行う必要があります。

契約内容によっては、高額な違約金が発生する場合や途中解約が認められない場合もあります。あらかじめ契約書を確認し、予定しているスケジュールで解約が可能かをチェックしておきましょう。

また、引渡し前に必要となる「原状回復工事」について、貸主が業者を指定している場合もあります。契約書や貸主への確認を通じて、あらかじめ条件を把握しておくと安心です。

【4か月前~】移転前後:新オフィスの内装工事、社内外への移転の通知

入居契約を終えたら、契約開始日以降に新オフィスの内装工事を進めます。基本的には施工業者が中心となりますが、スケジュール通りに進んでいるか定期的に進捗を確認しておくことが大切です。また、内装工事を行う際は、「防火対象物工事等計画届出書」を工事開始の7日前に所轄の消防署へ提出する必要があります。

社内への移転告知は、引っ越し予定日の2か月前までに行ないましょう。オフィス移転は業務や通勤に影響を与えるため、メール連絡だけでなくプロジェクトチームによる説明会を開催し、目的や新オフィスの特徴を丁寧に伝えます。説明資料を用意して、従業員のタスクやスケジュールを明確に共有することで、混乱や不安を防げるでしょう。

共有が不十分であると、日常業務に支障が出てトラブルの元になるだけでなく、従業員満足度の低下を招きかねません。また、スムーズに移転が行えずスケジュールに遅延が生じると思わぬ追加コスト発生を招く恐れもあるため、十分な情報共有と社内連携を心がけましょう。

また、移転日の1カ月前(現オフィスの解約日から換算して約2カ月前)には、取引先への移転案内をします。現在はメールでの通知が一般的ですが、慣習を重んじる取引先には、ハガキなどで知らせるのが無難です。

1か月前】社内の引っ越し、各種法務手続き

既存オフィスの契約終了日から逆算し、原状回復工事が間に合うスケジュールで新オフィスへの引っ越しを実施します。

業務への影響を最小限に抑えるため、週末を利用したり、フロア・部署ごとに搬出時間を分けたり、事前にスケジュールを設定・共有しておきましょう。

また、新オフィスでの業務開始前後には、各種の届出や登記などの手続きが必要です。以下に必要な手続きの流れを時系列でまとめました。

新管轄の消防署
利用開始の7日前までに防火対象物使用開始届出書
50名以上で利用する場合、利用開始の前日までに防火管理者選任届出書

新管轄の労働基準監督署
労働保険名称・所在地等変更届を移転から10日以内に

旧管轄の年金事務所
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届を移転から5日以内に

税務署(管轄が変わる場合変更前後両方に)
異動届出書を移転後ただちに
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書を移転して1か月以内に

法務局(管轄が変わる場合変更前後両方に)
本店移転の場合、本店移転登記申請書を移転から2週間以内に
支店の移転の場合、支店移転登記申請書を移転から3週間以内に

都道府県税事務所(管轄が変わる場合変更前後両方に)
事業開始等申告書を移転後速やかに

新管轄のハローワーク
雇用保険事業主事業所各種変更届を移転から10日以内に

スケジュール届出先届出書備考
移転7日前まで消防署
(新管轄)
防火対象物使用開始届出書50名以上で利用する場合、利用開始の前日までに防火管理者選任届出書も必要
移転後ただちに税務署
(管轄が変わる場合変更前後両方)
異動届出書
移転後ただちに都道府県税事務所
(管轄が変わる場合変更前後両方に)
事業開始等申告書
移転後5日以内年金事務所
(旧管轄)
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届
移転後10日以内労働基準監督署
(新管轄)
労働保険名称・所在地等変更届
移転後10日以内ハローワーク
(新管轄)
雇用保険事業主事業所各種変更届
移転後2週間以内法務局
(管轄が変わる場合変更前後両方に)
本店移転の場合、本店移転登記申請書支店の移転の場合、移転から3週間以内に支店移転登記申請書を提出
移転後1カ月以内税務署
(管轄が変わる場合変更前後両方)
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

移転後1~3ヶ月】原状回復工事~引き渡し

新オフィスでの業務が始まっても、移転プロジェクトはまだ終わりではありません。引っ越し後に残る大きなタスクが「原状回復工事」です。

オフィスの賃貸契約では、入居時に施工した内装や配線を全て撤去し、入居前の状態に戻す必要があります。住居とは異なり、オフィスでは経年劣化した部分も含め入居者側で負担するケースが一般的です。

原状回復工事の期間は1カ月程度ですが、特殊な施工をしている場合はさらに時間を要することもあります。引き渡しが遅れて次の入居者に影響が出ると、高額なペナルティが発生する可能性もあるため、余裕をもったスケジュールで進めましょう。

なお、現在の内装を次の入居者がそのまま使用する「居抜き退去」が認められた場合は、原状回復工事の一部または全部を省略できることもあります。

オフィス移転のスケジュールを大幅に簡略できる「居抜き」オフィス

時期ごとのオフィス移転のスケジュールを解説しましたが、「居抜き」物件では例外となるタスクもあります。「居抜き」とは前の利用者が行った内装工事を原状回復せずに新たな入居者へ引き継ぐことです

オフィス移転では次の2つのケースがあります。

1.入居時の居抜き:移転先の内装をそのまま利用して入居するケース
2.退去時の居抜き:自社の内装を次の入居者に引き継ぎ、原状回復を省略して退去するケース

居抜きの最大のメリットは内装工事、原状回復工事にかかる費用や什器の購入費・処分費を大幅に削減できることが挙げられます。

条件が合えばスムーズかつ予算、時間のかからない入退去が実現し、旧入居者、新入居者、オーナーにとって三方良しの居抜きですが、実態としては難しい面も多く、居抜きを嫌がるオーナーも多いのが現状です。また、いざ移転してみると思ったような物件の活用ができず、オフィス移転の目的が達成されないというケースも見受けられます。

居抜きはスムーズで便利ですが、「そのまま引き渡される」ことそのものがリスクとなることもあるため、注意が必要です。

HATARABA居抜き

余裕のあるスケジュールでオフィスを移転できる「オフィス移転コンサルティング」

「オフィス移転コンサルティング」では、自社にとってオフィス移転の効果を最大にするため、要件定義から実際の物件とのマッチング、契約周りやアフターフォローまで、細かなタスクまでプロジェクト全体を手厚くサポートします。

自社で適切に実施するのが困難な場合、プロの視点からのコンサルティングを受けるだけの価値が十分にあるプロジェクトなので、必要に応じてご検討ください。

あらゆる意思決定をプロの視点からサポート

オフィス移転の目的が明確であっても、「どんな物件を選ぶべきか」「どのようなレイアウト・内装にすればその目的を達成できるか」は、自社だけで決めるのは簡単ではありません。

HATARABAでは様々な規模、業種の企業様のオフィス移転を支援してきた豊富なノウハウと、独自のネットワークによる物件の候補や、プロジェクトに関わる業者の手配が可能です。

「移転プロジェクトの意思決定にミスマッチを生じさせない」ことを大切にしながら、目的を実現するための最適な提案をお届けします。

自社だけでの実施が難しいと感じられる場合は、ぜひプロの視点によるコンサルティングをご検討ください。

細かいタスクの見落とし対策も万全に

オフィス移転には大小のさまざまなタスクが求められ、1つの見落としが全体の進行やコストに影響することもあります。

HATARABAは、移転専門チームが要件定義から物件選定、レイアウト設計、手続き、アフターフォローまでを一括でサポートできることが強みです。独自のノウハウとネットワークを活かし、確認漏れや段取りミスを防ぎながら、プロジェクト全体をスムーズに進行させます。

さらに、「HATARABAオフィス」を活用することで、物件探しやスケジュール設計を効率化できます。
例えば、希望条件(面積・エリア・入居希望日など)を入力するだけで、AIレコメンド機能が最適な物件候補を自動で提示します。また、スケジュール管理機能では希望面積と営業開始日の入力だけで、移転に最適なスケジュールをサイト上で自動作成可能です。

これにより、「いつ・何をすればよいか」のタスクが明確になり、移転準備の手間を大幅に削減できます。

遅延や問題を抱えているプロジェクトもご相談ください

「自社でオフィス移転を進めていたが、思うように進まない」
「スケジュールが遅延しており、移転が間に合わないかもしれない」

そのようなお悩みもお任せください。

HATARABAは、スケジュール遅延やコスト超過、レイアウト調整の行き詰まりなど、状況に応じて最適な打開策をスピーディーにご提案します。

プロジェクトの停滞に不安を感じたら、まずはHATARABAにご相談ください。最短ルートで、確実な移転完了まで伴走いたします。

物件選定から賃貸借契約サポートはもちろん、
移転先の要件定義や内装パートナー選定まで一括サポート

この記事を書いた人

HATARABAコラム編集部

HATARABAコラム編集部によるコラムです。オフィス移転やオフィスづくりなど、『はたらく場所を、もっとよくする。』ためのお役立ち情報を発信しています。

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