オフィス移転のスケジュールを徹底解説! 必要タスクと適正な実施時期

オフィス移転は少なくとも半年以上の期間を要するような大きなプロジェクト。その成否は企業としてのブランディングや従業員のエンゲージメント、新規採用等を左右する重要な事柄です。
一方で、オフィス移転は一般には頻度が低いため、社内にノウハウが蓄積されていないケースも多々見られます。

そこで今回はオフィス移転において必要なタスクを新オフィスへの移転タイミングから起算し、どの時期に何を実施すれば良いのか、一般的なケースのスケジュールをまとめました。
時期ごとのタスクや進捗確認、遅れている場合のリカバリー案の策定等に活用ください。

また、下記記事ではオフィス移転の流れや用語、ポイント、注意点などを基礎から分かりやすく解説しているので、オフィス移転が初めてでよく分からないというご担当者様は参考にされてください。
初心者必見!オフィス移転の流れやポイントを基礎から解説!

オフィス移転の一般的なスケジュールと必要なタスク

オフィス移転は最低限必要となるアクションを取るだけでも、少なくとも6か月以上を要するような一大プロジェクト。実際にどういった時期にどういったタスクが必要となってくるのかをおおよその時期ごとに分けながら解説していきます。

なお、今回記載している時期は新オフィスに移転するタイミングから起算しています。

ご紹介するスケジュールは100坪~300坪程度のオフィスを想定しており、実際は様々な事情により遅れる事も考えられますので、余裕をもって計画を立てていただくことをおすすめします。

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10か月前】プロジェクトの立ち上げ、要件定義

オフィスの移転をスムーズに行うためには、まずはプロジェクトチームを立ち上げる必要があります。

オフィス移転は「単なる引っ越し」ではありません。オフィスの移転には大きなコストがかかり、また、引っ越しの作業や新しいオフィスへの適応、オフィスの場所が変わる場合は通勤への影響など社員にも一定の負担がかかります。

一方でオフィス移転が成功することにより、社員のモチベーションUP、自社のブランディングや採用の強化など様々な効果が期待できます。

仮に既存契約の都合でのやむを得ない移転であったとしても、一つのプロジェクトとして要件定義を行い、自社にとってプラスとなる移転を目指して行きましょう。

プロジェクトを立ち上げてまず行うことは、オフィス移転の目的を明確にすることです。

オフィス移転によって何を実現するべきなのかを明確にすることが成功のカギと言えます。社員数や坪数だけでなく、リモートワークの有無、出社率、フリーアドレスの導入といった働き方や、現在のオフィスでの課題などを把握しましょう。

目的やオフィス移転で成しえたいことが明確になったら、事前にシュミレーションをしましょう。コストや人員計画のシュミレーション、移転プロジェクトのマスタースケジュールなども策定します。

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9か月前~7か月前】物件選定・内見

次に重要となってくるのは、移転先となる新オフィスの物件を選定すること。予算と相談しながら、できる限り理想に近い物件を探しましょう。

理想のオフィスづくりに必要な広さ・間取りがあるか、という点は特に重要ですが、それだけでなく入居する建物自体の評価(新しい建物・ネームバリューがある等)立地、最寄り駅からの距離、周辺環境(飲食店・コンビニ等の数)などの要素も判断材料となりえます。

公開されている物件の中から自社で物件を探すことも可能ですが、オフィス物件の仲介・紹介を得意とする業者に依頼するのが効率的です。独自のネットワークを駆使した非公開物件を持っていたり、オフィス移転の要件定義からサポートし、それを踏まえた上で最適な物件を紹介できるような業者もあるため、業者選びも重要なポイントと言えます。

気になる物件を選定したら内見をし、新オフィスの契約締結に進みましょう。オフィスの賃貸契約は締結時にしっかりと条件を把握し、合意していないと後々トラブルになるケースも少なくないため、不明瞭な点は事前に全て確認しておくと安心です。

新オフィスの契約を締結してから、現在のオフィスに解約予告を入れることが理想です。

【7~6か月前】新オフィスの契約、内装・レイアウト設計

新オフィスの契約と同時期には、新しく入居する物件をどのようなレイアウトでオフィスとして利用するか、どのような内装工事を施すかデザイン業者・内装業者等と打ち合わせ、確定させることが望ましいと言えます。

一般的にオフィスの内装工事にかかる期間は1~2ヵ月程度。凝ったデザインにする場合はさらに期間を要する場合もあります。打ち合わせを始めてから、実際の工事内容や什器の発注内容を余裕をもって確定させるためには退去の4~5ヵ月前には着手しておくと安心です。

オフィスのレイアウト設計は従業員の業務効率に直結します。例えば、オフィスの動線が良くないと、それだけで社員の無駄な動きが必要となり、業務に支障がでます。

デスクを従来型の部課単位でデスクを並べて島をつくる「オープンタイプ」に配置するのか、フリーアドレス形式を想定した「オフィスランドスケープ」を採用するのか、その折衷型にするのか等も、自社の業態や目指すワークスタイルを考慮しながら設計していく必要があります。

また、会議室の広さや個数といった点も悩みの種です。会議室の数が慢性的に足りない状態は業務に支障をきたし、さらに会議室の予約に気を取られることによる社員のストレスも無視することはできません。

一方で、会議室が過剰にあるのも月々賃料が発生している中でスペースの有効利用とは言い難いです。適切な席数、個数の会議室を設計することもオフィス移転において重要な要素です。

なお、以前の入居者が施工したレイアウトをそのまま、もしくは軽微な施工を加えて新たなオフィスのレイアウトとする「居抜き」での入居の場合、レイアウトの設計から施工にかかる期間やコストを大幅に省略することが可能です。

【6か月前までに】既存オフィスの解約申し込み

一般的に、オフィス利用物件の賃貸契約においては解約は引き渡しから6か月以上前に申し込みを行う必要があります。

利用期間や契約の内容によっては、高額の違約金が発生するケースやそもそも契約を解除できないケースなども考えられます。契約内容を改めて見直した上で、想定しているスケジュールでの解約が可能かを改めて確認しておく必要があります。

また、引渡し前に必要となる「原状回復工事」について、貸主側が業者を指定しているケースがありますが、そういった指定の有無についても契約内容や貸主に直接聞き、確認しておいた方が安心です。

【4か月前~】移転前後:新オフィスの内装工事、社内外への移転の通知

入居の契約を終えたら契約開始日以降に、新しいオフィスの内装工事に取り掛かります。基本的には施工業者任せの工程ではありますが、スケジュール通りに移転のプロジェクトを進めて問題ないか、適宜施工の進捗は把握しておくことが望ましいです。

なお、内装工事を行う場合、防火対象物工事等計画届出書を内装工事開始の7日前に最寄りの消防署に対して届け出る必要があります。

社内に対してのオフィス移転の告知は社員の引っ越し日の2か月前には行うことが望ましいと言えます。

オフィスの移転は引っ越し日前後の業務に支障をきたすだけでなく、通勤や転居など長期的な影響が出る可能性があります。できれば社内メールや各部署の上長から通達してもらうだけでなく、プロジェクトチームから社内説明会を開き、社員からの質疑応答にも対応することが奨励されます。

オフィスの移転の目的や新たなオフィスの特徴についてしっかりと説明を行い、オフィス移転に理解を示してもらいつつ前向きになって協力を得ることが重要です。

説明資料を作成・配布し、現場社員に求められるタスクやスケジュールを明確にする等の配慮が求められます。

この点の共有が不十分であると、日常業務に支障が出てトラブルの元になるだけでなく、従業員満足度の低下を招きかねません。また、スムーズに移転が行えずスケジュールに遅延が生じると思わぬ追加コスト発生を招く可能性すらあるため、注意が必要です。

既存の取引先などにオフィスの移転の旨を通知するのは通常オフィス移転日の1か月前(既存オフィス解約日換算で2か月前)くらいが一般的です。

現在の商習慣からすれば基本的にはメール等での通知で失礼には当たりませんが、旧来の慣習を重視するような取引先に対しては葉書などを使って知らせる方が無難でしょう。

1か月前】社内の引っ越し、各種法務手続き

既存オフィスの契約終了日から逆算して十分に原状回復工事が間に合うスケジュールを取って、新オフィスへの引っ越しを実施します。

なるべく業務に支障が出ないよう、週末を利用したり、フロアや部署ごとに搬出の時間帯を分ける等、スムーズな搬出作業が行えるよう事前にスケジュールを設定、共有しておくことが奨励されます。

新たなオフィスで業務を開始する前後には、各種の届出や登記などの手続きを行う必要があります。申請を怠ったり期限を超過するとペナルティとして費用が発生する場合もあるため、抜け漏れのないように確認しましょう。

新管轄の消防署
利用開始の7日前までに防火対象物使用開始届出書
50名以上で利用する場合、利用開始の前日までに防火管理者選任届出書

新管轄の労働基準監督署
労働保険名称・所在地等変更届を移転から10日以内に

旧管轄の年金事務所
適用事業所所在地・名称変更(訂正)届を移転から5日以内に

税務署(管轄が変わる場合変更前後両方に)
異動届出書を移転後ただちに
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書を移転して1か月以内に

法務局(管轄が変わる場合変更前後両方に)
本店移転の場合、本店移転登記申請書を移転から2週間以内に
支店の移転の場合、支店移転登記申請書を移転から3週間以内に

都道府県税事務所(管轄が変わる場合変更前後両方に)
事業開始等申告書を移転後速やかに

新管轄のハローワーク
雇用保険事業主事業所各種変更届を移転から10日以内に

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移転後1~3ヶ月】原状回復工事~引き渡し

無事新しいオフィスでの業務がスタートすれば、社員にとってのイベントはひと段落ですが、プロジェクトとしてはまだ終わりではありません。

社員の引っ越し後、最も大きなタスクとして残っているのが「原状回復工事」。

オフィスの解約においては、入居する際に借り手の側で行った施工や配線等を全て撤去し、元の状態に戻す原状回復工事が求められます。

住居の賃貸契約の場合は経年劣化等の部分については原状回復の範囲内に含まれず、貸主側の負担となるのが一般的ですが、オフィスの賃貸借契約については経年劣化も含めて全て入居者が負担するケースが大半です。

オフィスの原状回復工事にかかる期間は平均的には一か月程度ですが、スケルトン天井などの特殊な施工を施している場合、一般的な工事よりも長い期間がかかる可能性があります。

引き渡しが遅れ、次の入居者に対して影響が出た場合は高額なペナルティが発生する場合もあるため、事前にどの程度の工期がかかるのか、施工業者と打ち合わせの上、想定外の工事が発生しても対応できるよう余裕をもったスケジュールで工事を実施することが求められます。

なお、現在利用している内装を次の入居者がそのまま使う「居抜き」での退去が合意できている場合、原状回復工事の一部、もしくは全部を省略して退去することが可能です。

オフィス移転のスケジュールを大幅に簡略できる「居抜き」オフィス

時期ごとのオフィス移転のスケジュールを解説しましたが、「居抜き」物件では例外となるタスクもあります。

「居抜き」とは旧利用者が行った内装工事をあえて原状回復せずに新入居者に引き継いで利用を開始することを言います。

つまり、自社のオフィス移転という観点で見ると、

1.入居時の居抜き:移転先のオフィスの内装をそのまま利用して入居すること
2.退去時の居抜き:現在のオフィスの内装を新たな入居者に引き継ぎ原状回復せずに退去すること、を指します。

居抜きのメリットとデメリット

居抜きの最大のメリットは内装工事、原状回復工事にかかる費用や什器の購入費・処分費を大幅に削減できることが挙げられます。

条件が合えばスムーズかつ予算、時間のかからない入退去が実現し、旧入居者、新入居者、オーナーにとって三方良しの居抜きですが、実態としては難しい面も多く、居抜きを嫌がるオーナーも多いのが現状です。また、いざ移転していると思ったような物件の活用ができず、オフィス移転の目的が達成されないというケースも。

スムーズで便利ですが、「そのまま引き渡される」ことそのものがリスクとなることもあるため、注意が必要です。

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余裕のあるスケジュールでオフィスを移転できる「オフィス移転コンサルティング」

オフィス移転を行うにあたって必要なタスクをスケジュールごとにまとめました。

オフィス移転は社内外の関係者を大きく巻き込むことになる一大プロジェクト。大小の様々なタスクが発生しますが、抜け漏れがないよう確認しながらプロジェクトを進めていきましょう。

また、オフィス移転の成否はその後の会社の業績や社運を左右するといっても過言ではありません。しっかりとオフィス移転の目的を明確にし、その目的が実現できるよう計画した上で、移転完了後は効果検証を行っていくことが大切です。

「オフィス移転コンサルティング」では、自社にとってオフィス移転の効果を最大にするため、要件定義から実際の物件とのマッチング、契約周りやアフターフォローまで、細かなタスクまでプロジェクト全体を手厚くサポートします

自社で適切に実施するのが困難な場合、プロの視点からのコンサルティングを受けるだけの価値が十分にあるプロジェクトなので、必要に応じてご検討ください。

あらゆる意思決定をプロの視点からサポート

オフィス移転の目的が明確であっても、それを実現するためにはどのような物件を選べばよいのか、どのようなレイアウト・内装を取り入れればよいのか、といった部分を自社で決定するのは難しい部分もあると思います。

当社では様々な規模、業種の企業様のオフィス移転を支援してきたノウハウと、独自のネットワークによる物件の候補や、プロジェクトに関わる業者の手配が可能です。

プロの目線から適切な提案を行うことで、プロジェクトの意思決定にミスマッチがないよう徹底してサポートいたします。

細かいタスクの見落とし対策も万全に

オフィス移転には大小の様々なタスクが求められ、タスクを見落とすことによってプロジェクト全体に支障が出たり、追加コストが発生してしまうようなものもあります。

オフィス移転専門の会社なら確認漏れの多い事柄や、段取り、必要な手続きについて適宜サポートできます。

遅延や問題を抱えているプロジェクトもご相談ください

「自社でオフィス移転を進めていたが問題が発生した。」
「スケジュールが遅延しており、移転が間に合わないかもしれない。」

など、既に動いているプロジェクトにおいて課題を抱えており、至急の対応が求められているケースもあるかと思いますが、そういったケースもオフィス移転コンサルティングにお任せください。

様々なトラブルにも対処してきた豊富なノウハウの中から、状況に応じた最善策をご提案し問題の解決をサポートしながらプロジェクトの完了をご支援します。

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