オフィス移転やオフィス移転に伴う内装デザインを変更することは、企業にとって何度もあることではなく、社内にノウハウが蓄積されていないため大きな負担となっている担当者の方も多いのではないでしょうか。提案依頼書(RFP)を作成することで、オフィス移転の目的や要件を明確にすることができます。特に、オフィスデザインの内装パートナー選定や自社の希望に沿ったオフィス作りをスムーズに行うためにも、オフィスデザインの内装構築に必要な事項や要望をRFPにまとめることは非常に大切です。そこで本記事では、オフィスの内装デザインにおけるRFP作成の目的とメリットを明らかにし、RFPに記載するべき項目を解説していきます。
オフィス移転前の目的・要件はどう作る?現状課題の分析方法から条件設定まで丁寧に解説
オフィスの内装デザインにおける提案依頼書(RFP)とは
オフィスの内装デザインにおける提案依頼書(RFP)とは、「Request for Proposal」の頭文字をとったもので、日本語では「提案依頼書」とも言われています。本章では、オフィス移転の際にRFPを作成する目的とメリットを具体的に解説していきます。
目的
オフィス内装におけるRFPは、限られたスケジュールと予算のなかでオフィス移転の目的に沿ったオフィスデザインやレイアウトを実現するために作成します。また、自社がオフィスに求める要望を整理し明確化することで、内装パートナーを選定する際にどれだけ自社の要望を理解しているかの評価基準や、コンペ実施時の比較基準を設定しやすくすることもRFPを作成する目的の一つです。
メリット
オフィス内装を構築する際にRFPを作成することには以下のようなメリットがあります。
内装パートナーの選定をスムーズに行うことができる
自社で作成したRFPを元に提案を受けることによって、評価基準が明確になり内装パートナーの選定をスムーズに行いやすくなります。特に、コンペを実施して内装パートナーを選定する際には、公平な比較・判断ができるため、より効率的に自社に合った内装パートナーを選ぶことができるでしょう。
オフィス移転の目的を明確にすることができる
RFPの作成時には「なぜオフィスを移転するのか」や「オフィス移転によって実現したいこと」といった項目があります。オフィス移転を成功させるためには現状課題の把握や目的を明確化することが重要であるため、RFP作成をきっかけに改めてオフィス移転の目的や要件を整理することができます。
関係者との共通認識を持ちやすくなる
オフィス移転では社内の経営層や各部門の理解を得るだけでなく、社外においてもさまざまな関係者との連携をとる必要があります。オフィス移転の目的や課題をRFPに文章として記載し共有することで、社内での合意を得られやすく、社外の関係者との共通認識を持ってスムーズに内装デザインの構築を進めることができます。
ベストな提案をもらうために必要な情報
RFP作成に必要な項目は多岐に渡ります。本章では、内装パートナーからベストな提案を受けるために、RFPに記載するべき項目を解説していきます。
プロジェクトメンバー
オフィス移転のプロジェクトメンバーの氏名、部署や部門、連絡先を記載します。また、社内での本来の役職だけでなく、「窓口担当」などオフィス移転プロジェクトにおけるポジションも記載しておくと各関係者とのやりとりがスムーズになります。
ビル概要(現オフィス・移転先オフィス)
現状どのような建物で、どの程度の広さ(坪数)でオフィスを利用しているのか記載し、移転先の建物についても同様の項目を記載します。現オフィスと移転先のオフィスの物件を比較することで、内装デザインやレイアウトを決定する際の検討材料となります。
移転概要
オフィス移転の理由、移転先のオフィス契約日や業務開始日、引越し希望日などスケジュールに関わる項目を記載します。契約日については新しい物件の契約書を確認して正確に記載をするようにしましょう。
コンペ要綱
内装パートナーを決めるコンペの実施に必要な情報や提出資料、支払い条件などを記載します。予算に関しては目安だけでなく、「予算厳守」や「提案内容によっては追加予算の検討有」などの旨も記載すると、内装デザイン業者からより柔軟な提案を受けることできます。また、プレゼンの場所や形式、モニターへの接続状況といった細かい内容まで記載しておくと、後々のトラブルが少なくスムーズにコンペを進めることができるでしょう。
組織構成
社内の各部署における所属人数、出社率、必要席数を記載します。可能であれば部署ごとの特徴や働き方、要望なども記載すると、内装パートナーがより希望に沿ったデザインであったりレイアウトであったりを提案しやすくなります。
必要な個室・エリア要望
エントランスや執務室、リフレッシュスペースなど各エリアごとにイメージやコンセプトといった要望があれば記載します。また、会議室やロッカールームなど必要な個室の数が決まっていれば具体的な数まで記載しましょう。特に、会議室は小会議室、中会議室、大会議室と分ける企業も多く、多ければ費用が増加し少なければ取り合いになる可能性もあるため、社内の各関係者からしっかりと意見を聞いて慎重に検討することが推奨されます。
LAN/固定電話の使用状況、要望
オフィスの内装を新しく構築するうえで、現在のインターネット回線や固定電話の使用状況を伝えることも重要です。インターネット回線に関しては有線LAN接続なのか無線LAN接続なのかによって通信速度も大幅に変わる場合があり、現在のオフィスで不満はないかやオフィス移転によって業務内容の変更はあるかなどを確認して、要望があればまとめてRFPに記載します。
その他要望
上述のRFP作成項目以外に要望などがあれば全て記載しておくと、後で従業員から不満の声が出にくかったり、後悔することも少なくなります。また、セキュリティは企業にとって情報の漏えいといったリスクを回避するための非常に重要な事項です。
企業の特徴
自社が掲げるビジョンやコンセプトであったり、自社で大事にしている考え方や企業風土は、社外の関係者に言葉では伝わりにくいため、文章化してRFPに記載します。
設計・デザイン
現状のオフィスにおいての問題点や課題点を明確にして、オフィス移転によってどのように解決していきたいか、次のオフィスに求めることを伝えましょう。また、たとえば「カフェ風のオフィスにしたい」「シックで落ち着きのあるオフィスにしたい」といったデザインのイメージも記載し、具体的な希望がなくても色や素材などのイメージだけでも明記しておくと、自社の嗜好に合わせた提案を受けやすくなります。
まとめ
提案依頼書(RFP)を作成することで、オフィス移転をスムーズに行えるようになるだけでなく、オフィス移転の目的や要件を明確に社内、社外の関係者と共有することができます。記載項目が多く面倒に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、企業にとって重要なイベントであるオフィスの移転プロジェクトを成功させるためにも、RFPを作成して内装デザインの構築に活用しましょう。
本記事でご紹介した項目をまとめたRFPのフォーマットを以下にご用意しましたので、オフィス移転の内装構築にぜひお役立てください。
HATARABAが提供する「オフィス移転コンサルティング」では、オフィスの現状分析、物件選定から内装構築やアフターフォローまで、オフィス移転に関わるプロジェクト全体をトータルサポートいたします。また、お客様の状況に合わせてRFPの作成や内装パートナーを選ぶためのコンペの実施など、個別のサービスのみをご利用することも可能です。
オフィス移転にお悩みなら、まずはお気軽にご相談ください。