オフィス移転を検討している時、移転先のオフィスの資料を見るとオフィスビル自体の構造が表記されていることがあります。実際にオフィスビルがどのような構造で作られているかを知るために今回はS造、SRC構造についてご紹介いたします。
本記事ではS造やSRC造のオフィスビルのメリット・デメリット、向いている業態などお伝えしていきます。
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S造・SRC造ってなに?
S造のSは「Steel」の頭文字で、鉄骨造のことを指します。
S造では鉄製の柱や梁をボルトや溶接で固定し、通常は鉄骨の周りに耐火被覆を施します。
なおS造には鋼材の厚さによって軽量鉄骨造(6mm未満)と重量鉄骨造(6mm以上)がありますが、オフィスで採用されるのは基本的に重量鉄骨造です。
また、SRC造とは「Steel Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもので、日本語では鉄筋鉄骨コンクリート造と呼ばれます。
コンクリートの中に鉄筋が入った仕様を鉄筋コンクリート造(RC造)と呼びますが、SRC造ではコンクリートの中に鉄筋と鉄骨が入っています。
RC造よりもさらに高い強度を持ち、さらに鉄骨をボルトや溶接で接合するためさまざまな方向から衝撃が加えられても力をうまく分散することが可能で、強いだけでなくしなやかな構造となっています。
木造、RC造、ALCと比較して地震に強い?火災に強い?
鉄やコンクリートと聞くと熱に強そうなイメージを持つかもしれませんが、鉄においては550℃を超えると変形が始まるとされています。
S造の建物は、木造と比べると火の回りが遅い分、火災が長引くと温度は1,000℃を超えるため、倒壊の危険性があります。
一方、SRC造で利用されるコンクリートは不燃性の素材なので火災の際にも燃えることがありません。
ちなみに木造は可燃性のためS造やSRC造と比べて燃えやすいですが、一度炭化してしまうとそれ以上燃えないという特徴があります。
また、RC造やALCはそれぞれコンクリートのため基本的には燃えず、火に強い構造です。
なお、S造は火災が長引くと変形して倒壊してしまう可能性があるとお伝えしましたが、最近建てられた建物はこうした弱点を補うために防火剤や防火シートが使用されていることが多いため、比較的火事に強くなっています。
S造のオフィスビルを選ぶ際には築年数を見るとともに、耐火性についてどのような対策をしているのか確認してみるとよいでしょう。
S造・SRC造のメリット・デメリットとは?
S造とSRC造を他の構造と比べたときの耐火性について見てみましたが、それ以外にS造やSRC造にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
S造・SRC造のメリット
S造やSRC造のメリットとしては以下のようなことが挙げられます。
・空間を広く取ることができる
・高層階のビルが建築できる
S造やSRC造は空間を広く取ることができ、また高階層のビルも建築できるためオフィスビルの建築に適していると言えます。
特にS造はコンクリートがRC造やSRC造と比べて軽くなることもあり、超高層の建物に採用されることが多いです。
なお、以前は強度の問題で高層階の建物にはSRC造が採用されることが多かったのですが、最近では技術の進歩によりS造やRC造が利用されることが増え、SRC造の建物が少なくなってきています。
S造・SRC造のデメリット
一方、S造やSRC造のデメリットとしては建設費用が高くなりやすく、結果としてオフィスの賃料も高くなる傾向にあることが挙げられるでしょう。
一般的にS造(重量鉄骨造)のオフィスビルよりSRC造のオフィスビルの方が耐久性等に秀でる一方で、オフィス賃料は高い傾向にあります。
なお、SRC造のオフィスビルについては、RC造と比較すると設計の自由度がやや低くなってしまいます。
コンクリートの中に鉄骨と鉄筋の両方を入れるため、あまり特殊な形に変形させることができないからです。
ただし、鋼材を大量に配置する分、柱や梁の太さを細くできることもあり、間取りによってはSRC造の方が設計の自由度が高いといった場合もあります。
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S造・SRC造のオフィスビルはどんな業態に適している?
S造やSRC造のオフィスビルはそれぞれどんな業態に適しているのでしょうか?
まず、S造のオフィスビルについてはRC造やSRC造のものと比べると賃料が安い傾向にあるため、業態というわけではありませんが、少しでも賃料を安く抑えたいと考えている場合に選ばれやすいといえるでしょう。
ただし、S造はRC造やSRC造と比べると防音性に劣る傾向にあるため、大きな音が出るような業態のオフィスには向いていないといえます。
SRC造のオフィスは、とにかく安全性を求めたい業種や業態の事業の場合に向いているといえるでしょう。
まとめ
S造とSRC造のオフィスビルについてメリット・デメリットや、向いている業態などお伝えしました。
S造とSRC造は基本的に似た特徴を持ちながら、より高い耐久性や耐火性、防音性を持つものがSRC造だと言うことができます。
その分、賃料が高くなってしまう傾向にあるため、自社の業態との相性を見ながら、オフィスビルの構造の選択基準の一つと考えるとよいでしょう。
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