オフィスコミュニティの事例と施策|出社促進・ウェルビーイングを実現する空間づくり

働き方が多様化する中で、多くの企業が抱える課題のひとつが、従業員の出社意欲や組織への帰属意識をいかに高めるか、という点です。

単に働く場所としてのオフィスづくりでは、こうした課題の解決は困難です。そこで重要になるのが、従業員同士の交流や学び、創造性を自然に生み出す「オフィスコミュニティ」という考え方です。オフィスコミュニティを活性化させることは、出社の価値を高めるだけでなく、従業員のウェルビーイング向上にも直結します。

本記事では、実際に成果を上げている最新のオフィス事例を取り上げながら、働きがいを育む空間づくりの具体的な施策を紹介します。

なぜ今、「オフィスコミュニティ」が重要なのか?

オフィスコミュニティとは、従業員同士がつながり、学び合い、「人中心」の関係性や企業文化を育む環境を指します。リモートと出社を組み合わせたハイブリッド勤務が広がったなか、改めてこのオフィスコミュニティの重要性が高まっています。

その理由として、柔軟な働き方は従業員に時間や場所の自由を提供できる一方で、同僚との偶発的な会話が減り、孤独感や帰属意識の低下といった新たな課題が生じてしまうことが挙げられます。

こうした課題を解決し、身体的・精神的・社会的に満たされた状態、すなわち「ウェルビーイング」を実現することが今のオフィスには求められています。そのために、リアルな場で育まれるコミュニティの価値を再認識する企業が増えているのです。

その基盤となるのが、心身の健やかさを支え、出社意欲を高める「オフィスコミュニティ」の存在です。単に建物や設備を整えただけのオフィスでは、従業員の出社意欲や組織文化を育むことは難しいでしょう。オフィスの価値向上に欠かせないのが、従業員同士で自然に対話が生まれるような仕掛けを取り入れた空間づくりです。こうした工夫が、オフィスの魅力とコミュニティの活性化を両立させます

総じて、オフィスコミュニティはつながりや自由に意見を交わせる環境を重視し、出社の意味そのものを再定義する点で大きな意義を持っているといえるでしょう。

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オフィスコミュニティを醸成する3つの具体的施策

オフィスコミュニティを根付かせるには、空間デザインだけでなく、日常的に人と人がつながり、信頼関係を深める仕組みが欠かせません。ここでは、前向きな出社を促し、ウェルビーイングを高める3つの具体的な施策を紹介します。

施策① 偶発的な会話を生む「マグネットスペース」を設計する

マグネットスペースとは、備品置き場やロッカーのような多くの従業員が立ち寄るであろう「磁石」のようなスペースを指します。そのほか、カフェ風のカウンターや共有ライブラリ、リフレッシュスペースなど、従業員が思わず立ち寄りたくなる魅力を持つ場所もマグネットスペースです。これらのスペースは、業務に直接結びつかなくても、部署や世代を越えた自然な交流を生み出し、偶発的な会話や新たなアイデアのきっかけになるでしょう。

こうした仕掛けをオフィスに組み込むことで、リモート勤務では得にくい人と人とのつながりが醸成され、組織全体の活性化につながります。

施策② 出社の“目的”となる社内イベントを企画・運営する

オフィスコミュニティを育むには、「そのイベントがあるから出社したい」と思える明確な動機づけが欠かせません。部署横断のランチ会や社内運動会など、楽しさ・学び・交流を融合したイベントを企画することで、オフィスに集まること自体に新たな価値が生まれます。

普段あまり関わる機会のない従業員同士のつながりを生み出し、発言や行動がしやすい職場環境を作ることで、継続的なコミュニティ形成の後押しとなるでしょう。

施策③ 空間を活かしきるための「利用ルール」を設計

施策①で紹介したような、「マグネットスペースを設計する」だけでは、オフィスコミュニティは十分に機能しません。その場を活かすためには、明確な「利用ルール」の設計が不可欠です。せっかくのスペースも使い方が分からなければ活用されず、交流や学びの機会を逃す可能性もあります。

例えば「共有スペースでの会話マナー」「予約システムの活用」「清掃や整頓の責任分担」などを定めておくと、空間の魅力が一層引き出されます。共通のマナーや行動指針が整うことで、人が自然に集まり交流が生まれやすい環境が醸成されるでしょう。

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失敗しない!オフィスコミュニティ導入の5ステップ

オフィスコミュニティの導入は、空間を用意するだけでは不十分です。目的の整理から設計、運用、定着化まで段階的なプロセスを踏むことで失敗を防ぎ、持続的な効果を生み出せます。ここでは、実践に役立つ5つのステップを紹介します。

Step1: 現状把握と課題の可視化

オフィスコミュニティ導入を成功させる第一歩は、現状を正しく理解することです。現在の働き方や出社状況、従業員同士のコミュニケーションの実態を、アンケートやヒアリングを通じて丁寧に把握します。そのなかで「出社への消極姿勢」「部署間交流の不足」「共用スペースの未活用」といった課題を具体的に洗い出し、可視化することが重要です。

課題を明確にすることで、今後の施策設計や空間づくりの方向性が定まり、関係者間で共通の認識を持つ土台を築けるでしょう。

Step2: “理想とする姿”の定義

課題を踏まえ「どんなコミュニケーションが日常的に生まれてほしいか」「従業員がどのように空間を活用してほしいか」といった未来像を明確に描くことが重要です。例えば「部署を越えた自然な対話が起こる職場」「出社が楽しみになる場所づくり」といった”理想とする姿”を、組織の文化や働き方の方向性に合わせて定義します。

“理想とする姿”を共有すれば施策や空間設計がブレることなく進められ、オフィスコミュニティ導入の効果を最大化することにつながるでしょう。

Step3: ハードとソフト両面からの施策立案

オフィスコミュニティを根付かせるには、空間(ハード)と仕組み(ソフト)の両面からバランスよく施策を設計することが欠かせません。

ハード面では、偶発的な会話を生むマグネットスペースの導入や、多様な働き方に対応するゾーニング設計など、物理的な環境整備が求められます。一方、ソフト面では出社が楽しみになる社内イベントの企画、利用ルールの明確化、部署を越えた交流を促す制度設計などが効果的です。どちらか一方に偏ると成果が限定的になるため、ハードとソフトを相互に補完し合う形で計画を立てることが、持続的なコミュニティ形成の成功の鍵となります。

Step4: スモールスタートと効果測定

オフィスコミュニティ施策は、最初から全社導入を目指すのではなく、一部の部署やフロアなど限定的な範囲でスモールスタートすることが効果的です。小規模で始めて実行のハードルを下げ、現場の反応や意見を取り入れて計画を見直し、柔軟に実行へとつなげます。その後は、出社率や空間利用状況などを測定して効果を検証し、結果をもとに改善を重ねることでより効果を発揮するでしょう。

このPDCAで成果の高い施策の横展開や改善判断が容易になり、効率的かつ持続可能なオフィスコミュニティの構築につながります。

Step5: 専門パートナーとの連携

オフィスコミュニティの構築・運用では、空間設計やイベント運営などに精通した外部専門家と連携すると、より効果的かつ持続可能な施策を実現できます。自社だけで企画・運用を進めると、施策が属人化し、視点が偏るリスクがあります。

専門パートナーは、他社事例や最新トレンドを踏まえ、ハード・ソフト両面で最適な提案を行うとともに、効果測定や改善の継続的な伴走が可能です。これにより、プロジェクトの精度とスピードが向上し、確実な成果につながるでしょう。

ウェルビーイング×コミュニティ施策を両立したオフィス事例

ウェルビーイングとオフィスコミュニティを両立させた空間づくりは、従業員の心身の健康と組織の活性化の両方に寄与します。ここでは、出社促進と交流の促進に成功しているオフィス事例を紹介し、具体的な工夫や効果を解説します。

出社が楽しみになる!人が集まるオフィスづくりの秘訣(株式会社コドモン 様)


株式会社コドモン様は、従業員数の増加と多様な働き方に対応するため、五反田に新オフィスを開設しました。新オフィスのテーマは「人が自然と集まり、思わず話したくなる空間」です。動線やレイアウトを工夫し、偶発的な対話が生まれるような工夫が盛り込まれています。

フリーアドレス席とファミレス席を組み合わせ、デスクを縦横に交差させることで、歩くだけで他部署の人と目が合い、話しかけやすいような設計になっています。また、地方メンバーとの交流を促すために導入した「Office Journey」制度は、会社の価値観や文化がわかりやすく、チーム全体に一体感をもたらしています。

移転後の従業員からの反響では、「出社時に他部署のメンバーと話す機会が増えた」という声もあるそう。株式会社コドモンの移転プロジェクトは、快適さとコミュニティの両立を実現した好例といえるでしょう。

働き方の多様化と“象徴”としての空間を求めて。偶発的な対話が生まれるオフィス作り|株式会社コドモンの移転事例

快適さと交流を両立する、オフィスのウェルビーイング施策(株式会社ナハト 様)

株式会社ナハト様の新オフィスは、ワンフロアに間取りの工夫やガラスを使うことでオフィス全体に一体感を出し、色や音の工夫でメンバーがエネルギッシュに誇りを持って働ける場所となっています。

執務室内には軽食・飲料の自販機や、20時以降は1本まで無料のお酒を配置し、カジュアルな会話や交流を促進しています。また、新入社員向けにランチ支払い用のクレジットカードを配布し、先輩を気軽に食事に誘える制度を設けることで、コミュニケーションの自然なきっかけ作りを実現。

リラックス・健康・交流といったウェルビーイングへの配慮と、気軽な「1杯から始まる対話」によるコミュニティ活性の両立を実現した事例です。

【HATARABA運営メディア IBASHO.】「こんな元気な会社もありなんだ」と知ってほしい。メンバーが誇りを持って働けるオフィス。ナハトの新オフィス見学ツアー

まとめ

これからのオフィスは「働く場所」にとどまらず、人がつながり、知識や価値を共創する場へと進化していくことが求められます。オフィスコミュニティの形成は、一朝一夕には実現せず、空間設計(ハード)と仕組み・文化づくり(ソフト)の両面から取り組む戦略的なプロジェクトです。

一人ひとりが心地よく、主体的に関われる環境を整えることが、出社の意欲を高め、結果として企業全体のウェルビーイング向上にもつながります。戦略的かつ継続的な取り組みこそ、これからのオフィスづくりにおける成功の鍵といえるでしょう。

HATARABAでは、これまで数多くの企業様のオフィス移転をお手伝いしてきました。そのノウハウや具体的な成功事例を、分かりやすいマンガ形式の資料にまとめています。まずは情報収集から始めたいというご担当者様は、ぜひこちらをご覧ください。

この記事を書いた人

HATARABAコラム編集部

HATARABAコラム編集部によるコラムです。オフィス移転やオフィスづくりなど、『はたらく場所を、もっとよくする。』ためのお役立ち情報を発信しています。

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