オフィスにおいて人員が増加する場合や新たな電気機器を導入する際、オフィスの電気容量が不足してしまうと業務に大きな支障が出ます。
また、オフィスを移転する場合にも、候補先のオフィスの電気容量が十分であるかは必須のチェックポイントと言っても過言ではありません。本記事ではオフィスに必要な電気容量の計算方法、確認方法や電気容量が不足する可能性がある際の対応方法について解説します。
・現在のオフィスの電気容量を知りたい
・移転先のオフィスの電気容量を知りたい
・電気容量が不足しそうで対応方法を知りたい
上記課題をお持ちの方はぜひご一読ください。
近年の電気料金値上げに伴い、オフィスの電気代を削減する方法については下記の記事で詳しく解説していますのでぜひ併せて参考にしてみてください。
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オフィスに必要な電気容量はどのくらい?
まず、前提としてオフィスに必要な電気容量の目安について、具体的なシミュレーションも交えて解説します。
【目安は6A~/ 人】一般的な小規模オフィスの計算事例で解説!
一般的に5人程度の小規模オフィスで必要とされる電気容量は30〜40A(アンペア)と言われています。つまり一人あたり 6A程度は必要と考えた方が良いでしょう。
5人のオフィスでは例えば以下のような形でオフィス機器が利用されます。
- ノートパソコン:1アンペア
- デスクトップパソコン:1~4アンペア
- 複合機:15~20アンペア
- シュレッダー:3~6アンペア
上記シミュレーションにおいては最低23A、最大34Aが消費される計算です。
従って、一般に目安とされる下限の30Aでは不足する可能性があります。最大のシミュレーションでも不足することがないように計算しましょう。
特に、従業員が個人で電気機器を持ち込んで利用する(冬場に電気ヒーターを持ち込むなど)可能性も想定されるので、多少余裕を持って計算しておくことが望ましいと言えます。
電気容量については社員の増員や新たな機器の導入、将来的なオフィスの移転時にスムーズにシミュレーションできるよう、表やリストにまとめておくと後が楽です。
現在のオフィスの最大電気容量の確認方法
現在利用しているオフィスで最大電気容量を確認する方法について、2つの方法を解説します。
電力会社からの明細を確認する
電力会社から毎月発行される明細の中に最大電気容量が記載されています。
明細が直接確認できる場合、最も確実で手軽な方法と言えるでしょう。
ブレーカーを調べる
電力会社の明細の確認が難しい場合、オフィスのブレーカーを調べることでも最大電気容量を把握できます。
オフィスのブレーカーでは単相3線式と呼ばれる配線ブレーカーが使われていることが多いです。3線式とは、3つの線がつながれているブレーカーのことで、赤、白、黒などで色分けされているのが一般的です。仮にブレーカーに100アンペアと書かれていた場合、単相3線式であれば、黒と白、赤と白などで電流が回路へつながります。
この場合、このオフィスで使える最大アンペア数は200アンペアということになります。
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電気容量が足りない場合どうする?
オフィスの電気容量が既存の利用方法で上限に近い場合や予定している増員に伴い不足する可能性が高い場合、何らかの対策を講じる必要があります。
特にシステム開発や、映像、ゲーム開発会社では電気容量が上限を超過し、電力が遮断された場合業務に非常に大きな支障が出てしまいかねません。
電気容量が不足しそうな場合の対策について解説します。
容量(契約アンペア)変更を行う
オフィスのリソース拡大が軽微な場合や、最大電気容量が不足する懸念があるため念の為対策しておきたい程度の場合などは、容量(契約アンペア)の変更により解決できる場合もあるでしょう。
ただし、容量変更には時に大がかりな工事が必要となる場合があり、オフィスビルの構造やオーナー・管理会社との兼ね合いで確実に実施できるとは限りません。容量変更を選択肢の一つとして検討したい場合、必ず管理会社に確認、相談し実施の可否を確認することをおすすめします。
空き回路を利用して配線する
10人以下程度など、小規模なオフィスであればすでに設置されている回路から電気を取れば十分なことも多いでしょう。
一方、規模の大きなオフィスだとそれだけでは足りないことも。そうした場合、どの機器やコンセントにも割り当てられていない空きの回路があれば、空きの回路を使いテナント内にケーブルを配線する形で対応することも可能かもしれません。
この場合、建物の構造を調べて、天井裏に配線するのか、またはコンセントからの配線を、壁に這わせるなど、設計方針を決定する必要があります。
内覧時に部署や機材の配置をイメージし気にしておくとよいでしょう。
オフィス規模拡大に伴い不足する場合は移転も視野に
社員や利用する機器の増加に伴い電気容量が不足する場合、現在のオフィスのキャパシティが会社の規模と一致してない可能性が考えられます。
電気容量の不足もオフィスを移転するタイミングの指標となりえるので、電気容量の不足が心配な場合はオフィスの拡大移転を視野にいれた方が良いかもしれません。
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転居先のオフィスの電気容量・電気系統の確認すべきポイント
オフィスの移転を検討する際に、候補先のオフィスの電気容量や電気系統において確認すべきポイントや方法を解説します。
転居先の最大アンペアを確認する方法
移転前のオフィスでは電力会社から明細を受け取ることはできません。そのため、検討段階で管理会社に確認する、内見時にブレーカーを直接確認するといった方法で事前に想定している電気容量に十分か、将来的な拡大に備えられるか確認しておきましょう。
そのためにも、オフィスの完成図をイメージし、必要な電気容量を把握しておくことも重要です。
電気系統や回路の数の確認も重要
また、オフィスビルの場合ブレーカーが落ちた時に全ての電気機器が利用できなくなることのないよう、分電盤により回路が分けられているのが一般的です。
1つの回路は通常20アンペアとなるよう設計されているため、そこにコンセントをつなぐなどして電気を利用する場合には、その回路の合計が20アンペアを超えてしまわないようにする必要があります。
1つの回路がどこにどのようにつながっているかを確認することで、電気機器を置く場所を変えなければならないこともあるでしょう。
例えば、2つ口のコンセントが3つある場合、全てが1つの回路とつながっている場合には合計で20アンペアを超えないようにしなければいけません。
一方、回路が分かれている場合、回路ごとに20アンペア以下にすればよいということになります。
なお、どのコンセントがどの回路につながっているかは不動産会社の担当者の方、管理会社でも全ては把握しきれていないことが多いです。
分電盤を見れば記載があることもありますが、記載がない場合は、現場で簡単に確認できる方法として、分電盤の回路のスイッチを入れたり切ったりしながら確認する方法があります。
なお、複合機やサーバーを置く場所では、電気ヒーターなど消費電力数の大きい機器を使うとブレーカーが落ちてしまうことがあるため、単独の回路を使用するなど工夫したほうがよいでしょう。特にサーバールームは24時間冷却が必要になるため、単独の回路を使用できるように配慮しましょう。
親ブレーカーと子ブレーカー
分電盤には親ブレーカーと子ブレーカーがあります。
親ブレーカーとは全ての回路を総括するブレーカーのことで、子ブレーカーはそれぞれの回路を担当します。1回路は20アンペアで設定することが一般的であることをお伝えしましたが、通常ブレーカーが遮断される条件は「125%(25アンペア)使用時で1時間以内」となります。
つまり20アンペアを超えただけでは遮断されません。
わからない場合は専門業者に相談
オフィスビルの電気系統の構造によっては自社で把握するのが難しい場合やオーナー・管理会社が把握しきれていない可能性もあります。少しでもご不安に感じられた場合、専門業者に相談するのも一つの手段です。
想定しているオフィスの利用用途で電気容量が不足していた場合、もしくは少しの設備増強や人員増で不足してしまった場合、業務に支障が出る可能性や従業員の就労意欲が低下する可能性もあります。
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まとめ
オフィスの電気容量についてお伝えしました。オフィスの運用において、電気容量が不足してしまうと業務に大きな影響を与えかねません。
現在契約中のオフィス、移転先のオフィスの電気容量や電気系統を正確に把握すると同時に、普段の業務においてどの程度の電気容量があれば十分なのかを把握することが大切です。
ぜひ、今回の記事を参考にオフィスの電気容量について改めて情報を整理してみてください。
また、現在のオフィスでは電気容量の不足が想定される場合、オフィスの移転も前向きに視野に入れるべき選択肢です。お気軽にお気軽にご相談ください。