オフィスの床材にはどんな種類がある? 床材選びの基本を知ろう

一昔前のオフィスでは床にグレーのカーペットを敷くことが多くありました。しかし近年では、機能性や社員の働きやすさ、企業ブランディングといった観点から、さまざまなデザイン性を兼ね備えた床材を使う企業が増えています。オフィスに使われる床材の種類と、おすすめのエリア、決め方について詳しくみていきましょう。

オフィスの床材は3種類

オフィスで使われる床材にはどんな種類があるのでしょうか。よく使われている3種類についてそれぞれの特徴、メリット・デメリットを確認しましょう。

タイルカーペット (広い)

オフィスと聞いて最初に思い浮かべやすい床材はタイルカーペットです。オフィスでよく見るグレーの床材です。表面がループパイルになっています。

○メリット

タイル状なので一部だけ取り外して作業できる
音を吸収してくれるために防音対策にもなる
滑らないので転倒防止になる
軽くて取り扱いやすく、狭い範囲でなら自分たちで床を張り替えられる
静電機能や防汚機能があり耐久性がある
組み合わせて使えるのでデザイン性が高い

○デメリット

汚れたタイルだけを取り替えると、他のタイルと違和感が出やすい
湿気を吸収しやすいので下地との組み合わせが重要になる
摩耗には弱いので定期的に張替えが必要になる

タイルカーペットがおすすめのオフィスエリア

業務用プリンターなどOA機器の下に敷いて使うことが多いため、執務エリアや会議室に向いています。他にも、配線が多いエリアや、音を抑えたいエリアにも使いやすい床材です。

ビニルタイプ (狭い)

土足に対応しているビニルタイプは、表面からクリア層→プリント層→基材の3層で構成されています。クリア層は一般的におよそ0.3mmの厚さになりますが人がよく歩く場所に使われるときは、クリア層を0.3mmより分厚くしたり、特殊コーティングしたりします。金属の薄い層をはさみ、タバコの火などによる焦げに強くしたタイプもあります。

○メリット

タイルカーペットと比べてデザインの自由度が高い
リアルな木目や石目を再現できるのに、本物の素材よりも安価となる
耐摩耗性に優れている
滑りにくく染み込みにくいので水回りにも使用できる
シート型の場合には柔らかいので音が響きにくく、柔らかすぎないので歩きやすい
ノンスキッドタイプは屋外にも張れる
タイル型とカーペット型の2種類があり、タイルカーペットに比べて自由に張れる

○デメリット

剥がれやすい
跡がつきやすいため、長い間、重量物を置きっぱなしにしておくと見栄えが悪くなる

ビニルタイプがおすすめのオフィスエリア

廊下やエントランスなど、人がよく通る場所に向いている床材です。とくに店舗の場合、表面が特殊コーティングされていてワックスメンテナンスがいらないタイプや、靴の踵が当たって黒い筋になる「ヒールマーク」を軽減できるタイプが良いでしょう。

一方、剥がれやすく、上に物を乗せると跡がつきやすいという性質から、備品を長く置いておく倉庫などには向きません。同様の理由から、重いOA機器の下敷きにするのも避けたほうが良いでしょう。

フローリング材 (狭い)

フローリング材は、大理石や木などの天然素材をそのまま使ったり、合板の上に天然素材を貼り付けたりした床材です。また、油や樹脂、コルク材などを混ぜてシート・タイル状に伸ばしたリノリウムもこのフローリング材に含まれます。

○メリット

天然素材は高価なことから総じて高級感を出せる
木ならではのぬくもりや、大理石ならではの重厚感といった存在感が強い
天然木の場合、多少傷がついたとしても、それが逆に味わいとなる
天然木や大理石は傷が目立ちにくいので、重いOA機器を置いても跡が気にならない
リノリウムは抗菌性が高く燃えにくいために病院や学校で使われやすい
環境に優しい素材である

○デメリット

コストがかかる
手入れが大変。天然木の場合は変形の可能性もある(合板の場合は変形しにくい)
大理石は滑りやすい
リノリウムは独特のニオイや模様があるので、内装に合わないこともある
デザインが限られる

フローリング材がおすすめのオフィスエリア

フローリング材は、高級感や木のぬくもりを感じられるところがポイントです。そこで、社員のリラックススペースには合板の木のフローリング材を使用して「ほっ」と一息つけるようにしたり、エントランスを大理石にして企業のブランディングにしたりするといった使い方がおすすめです。ただし大理石は滑りやすいので、水回りや人が多く通る場所に使うのは避けましょう。

床材の選び方

床材はオフィスの印象を左右します。什器をすべてお洒落なものに買い換えなくても、床の色や素材を変えるだけでオフィスの印象を180度変えることもできます。とくに、エリアによって床材を変えることはゾーニングの役割も兼ね備えます。

床材を変えてゾーニングする

パーティションや間仕切りを使わなくても、床の色や素材、デザインを変えれば、自然とエリアが変わることがわかります。見通しや風通しの良いオフィスにするため、パーティションではなく床材でゾーニングするオフィスは近年増えています。

例えば、廊下はフローリング風のフロアタイルを使い、ミーティングスペースにはタイルカーペットを使うなど、床材の色、素材、デザインを変えることで、オフィスの内装にもメリハリが生まれます。

エリアごとに効果的な色の配置

基本的には、「上は軽く、下は重く」を意識した色味配置をすると、開放感のある部屋が作れます。つまり、色によって働きやすく、居心地の良い空間を作れるのです。

○執務エリア
・パソコン業務が多いオフィスならアースカラー(土や大地をイメージさせるブラウン、木や森をイメージさせる緑など)やナチュラルカラーで癒しや心の安定をはかり、ストレス軽減をはかる
・営業などで出入りの多いオフィスなら、頭の切り替えをしやすい寒色系に差し色のビタミンカラーを入れる
・電話オペレーターといった冷静さが必要となる仕事をするエリアなら、空間に落ち着きを与える青系の寒色系の色を配置する

○廊下
・ベージュやブラウンなどのナチュラルカラーを使うことが多い
・最下部になる部分なので、グレーや黒、ブラウンなど重めの配色で開放感をつくる

○エントランス
・活動的で陽気な印象になる暖色系を採用する。外部の出入りが多いオフィスなら爽やかな明るい寒色系でも構わない

○リフレッシュスペース
・アースカラーの床材でリフレッシュ効果を与える
・刺激の強いビビッドな暖色系は避ける。どうしても暖色系を使いたいなら淡いオレンジ程度なら構わない

まとめ

オフィスの床は雰囲気作りやゾーニングといった重要な役割を持っています。また3種類の床材は、エリアによってそれぞれ使い分けることができます。色や素材の効果で働きやすく、居心地の良いオフィス空間を作り上げましょう。

この記事を書いた人

HATARABAコラム編集部

HATARABAコラム編集部によるコラムです。オフィス移転やオフィスづくりなど、『はたらく場所を、もっとよくする。』ためのお役立ち情報を発信しています。

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