近年、オフィス内で音楽をかける会社が増えています。オフィスで音楽をかけることでどのような効果があるのでしょうか。さっそくオフィスに音楽を流すことで得られる効果と実施する際の注意点についてチェックしていきましょう。
オフィスに音楽を流すことによる効果は?
仕事効率を上げられるという理由でオフィスに音楽を流す会社が増えています。20代~50代を対象にしたとある調査によると、オフィスで音楽をかけることについて良いと考えている人は、全体の80%以上にのぼるといいます。
そしてそれが仕事の効率化につながると答えた人も全体の80%以上だったそうです。では、なぜ音楽を流すことが仕事の効率化につながるのでしょうか。
マスキング効果
ドライヤーをかけると、テレビの音が聞こえなくなったり、ライブハウスなど騒がしい場所だと、隣の人の声が聞こえにくくなったりします。このように、一定の周波数帯で音が出ると、周波数が同じ音はかき消されます。これがマスキング効果です。このほかにも、エアコンを入れたら時計の秒針が動く音が聞こえなくなるなど、うるさいと感じるほどの音でなくてもマスキング効果は起こります。これは、マスキング効果が音の大小にかかわらず、共通する周波数帯の範囲にある音が打ち消されて起こるためです。
飲食店や商業施設などで音楽を流すのは、このマスキング効果を利用し雑音・騒音対策をするためだといわれています。食器同士がぶつかって起こる音や、店舗の前から聞こえる車の走行音など不快に思う音をかき消し、顧客にリラックスしてもらえるように音楽をかける店舗が多いです。
オフィス内で考えてみると、静まりかえった環境では、席を立つという行為一つとってもイスを引く時の音や机に手をついたときの音、足音などが気になる人もいるでしょう。また、取引先との電話や経営層との打ち合わせなど、全社員に効かせたくないような重要な会話をするときも、オフィスが静かだと誰に聞かれているかわからないという不安と緊張を抱えて話し続けなければなりません。オフィスに音楽を掛けておけば、無駄な緊張感なく過ごすことができるようになるため、社員が働きやすい環境づくりに役立ちます。
集中力の向上・メンタルケア
ある研究では、音楽を流すことによって、生産性向上に役立つという結果が出ています。日頃から何度も行なっている作業は、音楽のある環境のほうがリラックスし集中力が高まると考えられています。例えば、外科医の手術では音楽を聴いた方が良い結果が出るという研究結果が発表されています。また、その際には好みの曲を聴いたほうが良いということもわかっています。
また、音楽を聴くと集中しているときに出る脳波に良い影響を与えるという意見もあります。脳波とは脳の神経細胞から出る微弱電流です。私たちは集中すると、脳からβ波という脳波を出します。β波は脳が活動している周波数帯が12Hz以上だと出ると考えられており、音楽を聴くことでもいい効果を発揮するといわれています。
残業対策
有線ラジオを提供する大手企業「USEN」と東海大学では、オフィスに音楽を流すことで残業対策ができるという考えの下、「音による残業時間削減効果の研究」を進めています。
彼らの研究によると、特定の曲を18時に3分間流し続けたところ、曲が流れたのを合図に終業に向けた最終確認をするという習慣が社員間で浸透したといいます。この会社では結果、24パーセントの残業時間削減を達成したそうです。このように、流す曲によって残業対策ができるというメリットがあります。
オフィスで音楽を流す際の注意点
オフィス内で音楽を流すと、生産性を向上させたり、社員やプロジェクトのプライバシーを守ったりとさまざまな効果が期待できます。しかし、正しい方法で対応しないと十分な効果を発揮できなかったり、法に触れる可能性があったりするため注意が必要です。
ここでは、オフィスで音楽を流す前に確認しておきたい注意点についてご紹介します。
業種による向き不向きがある
音楽を聴くことで仕事の作業効率アップが見込めるのは、その仕事が日頃から慣れている仕事をしている場合のみに限られます。これまで何度も行なっている作業をする際に音楽を聴くとリラックスして集中力を上げることができるということは実験で証明されています。
しかし、新しい仕事を覚えるような時には、音楽はかえって邪魔になるため、音楽のない環境のほうが集中力を高めることが可能です。そのため、ルーチンワークを行なうような仕事には音楽のあるオフィスが向いていますが、そうでない場合は必ずしも音楽を流した方が良いとは言い切れません。
オフィスで流す音楽のマンネリ化
大手企業が実施したアンケートの結果によると、オフィスに音楽をかけてほしいという意見は多いものの、いつも同じ音楽が流れていると飽きるという回答が多く寄せられたそうです。
集中力アップやストレスの軽減を目的に流している音楽がかえってストレスの原因になってしまうリスクがあるので注意が必要です。
オフィス内でも流す場所によっては著作権に触れる
オフィス内で音楽を流す際に気をつけたい法律があります。それが著作権法です。音楽は個人使用の範囲内であれば著作権法に触れませんが、商業スペースで音楽を流すことは、個人使用の範囲内として認められていません。
CDはもちろん、インターネット配信でダウンロードしたものも、もとの楽曲に著作権があるため、ストリーミングサイトの音楽を流すことも認められていません。オフィスや工場など、毎回決まった社員だけが聞くのであれば問題ありませんが、店舗はもちろん、社員以外が出入りする可能性のある場所でも音楽を流すのは違法とされています。来客スペースやトイレ、廊下などで音楽を流してはいけません。
また、コピーしたCDやパソコンに取り込んだ音楽は複製と判断されるため、こちらはどんな場所で流しても著作権法に触れてしまいます。
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オフィスで流す音楽の選び方
オフィスで流す曲はどれでも良いというわけではありません。しかし、特定の人の趣味で決めていいというものでもありません。では、どのような音楽を選べば良いのでしょうか。
オフィスで流すのに最適な音楽のジャンルは?
アップテンポな音楽がオフィス内で絶えずかかっていると、集中力がなくなったり、会議に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。しかし、終業時刻の数分前からアップテンポな曲をかけると早く仕事を終えて帰れるよう社員の意識を高めることができるとされています。
また、バッハやモーツァルトなどの適度に緩急がついたクラシック音楽には、自律神経を整える効果が期待できます。そのため、オフィス内で長時間かける場合はクラシック音楽が向いています。
オフィスへの音楽配信サービス
できるだけコストを抑えたい場合は、インターネット上の無料配信サイトを利用すると良いでしょう。ここでは、おすすめのサービスサイトをご紹介します。
SOUND DESIGN for OFFICE
有線ラジオを提供する大手企業「USEN」が提供しているサービスです。オフィス専用のBGMを選曲して流してくれるため、社員の好みをあれこれ考える必要は一切ありません。サービスはGreenコースとWhiteコースがあり、前者はコーディネーターが、オフィスのコンセプトや環境にあわせオリジナルのBGMプログラムを企画してくれます。
コクヨサウンドマスキングシステム
コクヨサウンドマスキングシステムはマスキング効果を期待した音楽配信サービスです。天井内に反射させるという特殊な方法で音を反響させるため、より自然な形で曲を楽しむことができます。
クーネ
クーネは屋久島や白神山地などの自然あふれる場所で録音された音と、ピアノやギターの優しい音色が調和する音楽を配信してくれるサービスです。ハイレゾ音源という高音質かつ広帯域で録音された音源で、より無意識に音を聞き入れられるよう考慮されています。
まとめ
オフィスで音楽を流すと、集中力がアップし生産性を上げる効果があるとされています。しかし、流す音楽はどんな曲でも良いというわけではありません。作業内容により向き不向きもあるので、配信サービスの利用を考慮しながら導入を検討してください。
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