オフィスを移転するときには、内装デザインが重要な鍵を握ります。内装次第で社員の生産性や働きがいの向上、企業のイメージアップなどにつながるからです。
しかし、「理想のオフィスにするには、どのように内装を検討すべきか」「内装工事の工数や費用ががわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、オフィス移転時の内装が重要になる理由や内装を検討する際のポイントを解説します。また、工事の流れやコストダウンの方法もお伝えするので、オフィスづくりの参考にしてください。
オフィスの内装デザインが重要な3つの理由
オフィスの内装は、社内外に大きな影響をもたらします。オフィス移転を検討するならぜひ注力したい事項です。
そもそも、なぜオフィスの内装が重要になのか、具体的な理由を見ていきましょう。
社員の生産性向上やモチベーションアップに直結しやすい
オフィスの内装レイアウトやデザインは、社員の生産性向上やモチベーションアップに直結します。
たとえば、仕事を進める「執務スペース」では、明るく静かな空間で集中して作業ができるため、業務効率を高めることが可能です。カフェのようにリラックスできる「休憩スペース」があると、同僚と会話をしながらリフレッシュができるでしょう。
働きやすさを重視したオフィス空間があると、そこで働くこと自体がモチベーションアップにつながります。
反対にオフィス内の導線が悪い、外からの音が大きくて集中できないような環境だった場合には、社員それぞれが最大限のパフォーマンスを発揮しにくくなる恐れも否定できません。
社内のコミュニケーションが活性化する
内装を工夫することで、社内コミュニケーションの活性化も期待できます。
古くからある日本企業では、部署ごとにまとまって机を並べることが多くあります。この場合には、自席の近い社員同士でしかコミュニケーションが取れず、部署を越えたかかわりが生まれにくいところが欠点です。
オフィス移転を機に、部署ごとにまとめるレイアウトや社員の自席を撤廃するフリーアドレスを導入すると、組織の枠を越えたコミュニケーションが期待できます。
また、部署を問わず、誰でも気軽に雑談できるスペースなどがあると、コミュニケーションが活性化され、新たなビジネスアイデアが生まれる可能性も。古くからのオフィスレイアウトを抜本的に変えていくことも重要です。
会社のイメージ向上に寄与する
オフィスの内装は、会社のイメージに影響を与えます。自社のイメージを反映したデザインやレイアウトのオフィスになっていれば、訪れた顧客・取引先からの印象も高まるでしょう。
また、洗練されたオフィスを社外へアピールすることで、求職者に興味を持ってもらえる可能性もあります。「ここで働いてみたい」という気持ちを喚起できれば、採用活動を有利に進めることも可能です。
オフィス移転での内装を検討するポイント
オフィスの移転時に内装を検討するポイントは3つあります。それぞれ留意しながら、内装のレイアウトやデザインを決めていきましょう。
オフィスを移転する目的を明確にする
まず、オフィスを移転する目的を明確にしなければなりません。なぜなら、移転の目的によってレイアウトや内装が変わってくるからです。
明確な目的がないまま漠然と移転を選択すると、オフィスで抱える課題が解消されず、大きな費用負担だけが残ることにもなりかねません。
特に「他社と同じようにおしゃれなオフィスにしたい」「トレンドに乗って洗練されたオフィスにしたい」など、流行りに影響された内装設計には注意が必要です。果たすべき目的を見失い、内装コンセプトがブレる原因になります。
オフィスの移転を検討するときには、業務効率の向上や組織風土の改善など、目的を明確にしたうえで内装コンセプトに落とし込むことが重要です。
会社のイメージとオフィスの内装を一致させる
自社のオフィスに対して、どのようなイメージを抱いてもらいたいでしょうか。移転時の内装を考える際には、会社のイメージとオフィスの内装を一致させることが重要です。
たとえば、2パターンの内装があると想定してみましょう。
ー木材や観葉植物の緑をふんだんに取り入れた、ナチュラルで温かみのある内装
ー黒をアクセントに使った都会的でモダンな内装
それぞれに感じるイメージは異なるかと思います。
オフィスの内装によって会社のイメージ向上も目指せるため、社風や外部からのイメージと内装デザインにギャップが生じないように設計することが大切です。内装で自社のイメージを体現できれば、信頼感や安心感などを社内外に与えられます。
社員の働きやすさを考慮する
オフィス移転後に行動導線や業務効率が悪くなることがあります。「旧オフィスのほうが働きやすい」といった事態になっては、移転が成功したとは言えないでしょう。
社員の働きやすさを考慮し、どのような空間が必要になるのか検討します。たとえば、次のような空間を取り入れてみてください。
ー執務スペース
ー集中スペース
ー会議スペース
ーオンラインミーティング用ブース
ーリフレッシュコーナー など
必要となる空間をピックアップし、レイアウトを考える際には、行動導線にムダがないか、業務効率化が図れるかといった視点も必要です。
オフィス移転に伴う内装工事の流れ
オフィス移転時の内装工事は、どのように進行していくのでしょうか。ここでは大きく4つのステップに沿って、内装工事の流れを解説します。
内装コンセプトとレイアウト候補の決定
まず、内装コンセプトを決定します。内装コンセプトとは、会社のビジョンやブランドイメージ、社員の働き方などを考慮して、設計・デザインの方向性を表したものです。
内装コンセプトを早期に決めておくことで、デザインやレイアウト設計がブレずにおこなえます。コンセプトがないままスタートすると、途中で方向性が変わり、工事開始時期が遅れるといったことも起こるでしょう。
内装コンセプトが定まったら、どのようなオフィスにしたいのかレイアウト候補を決めていきます。
必要となるスペースをどう配置したら業務効率や導線が良くなるのかを考え、暫定でレイアウト案を固めていきましょう。
内装業者の選定・決定
内装工事には、デザイン設計と施工の2つがあります。
デザイン設計と施工ができる業者を別々にする場合は、それぞれとの打ち合わせ時間が多くなり、工数や進捗管理が複雑になりやすい点に注意しなければなりません。
できるだけスムーズに内装に関する計画を進めていくなら、デザイン設計と施工をまとめて依頼できる業者を選定するのがおすすめです。同時に内装工事後のアフターフォローの有無にも注目して選んでいきましょう。
当社では、内装設計・デザイン、工事に至るまで、ワンストップのトータルサポートが可能です。オフィス移転に関する実績や知見もありますので、移転に伴う内装業者をお探しの際は、ぜひご相談ください。
業者と内装デザインやレイアウトの打ち合わせ
内装コンセプトに基づいて決めたレイアウト案をもとに、業者から図面や内装デザインを作成してもらいます。できあがった図面を見ながら細かいところを調整し、レイアウトとデザインを決定しましょう。
打ち合わせの期間は、およそ1~2ヶ月です。
施工開始・施工検査・引き渡し
内装デザインやレイアウトが決まったら、必要となる費用を確認しましょう。問題なければ契約し、工事に入ります。工事に要する期間はオフィスの面積にもよりますが、1〜2ヶ月程度が一般的です。
工事が始まったら業者に任せきりにせず、計画どおりに進んでいるか適宜確認すると良いでしょう。万が一、図面との相違点が見つかった場合は、早期の段階で改善を指示できます。
施工検査は、工事が完了したあとに図面どおりにできているか確認する工程です。補修の必要な箇所がなければ引き渡しされ、オフィスの引っ越し準備に入ります。
オフィス移転に必要となる内装工事費の相場
オフィス移転先の立地や面積によりますが、一般的には一坪あたり10万~30万円程度が相場。たとえば、50坪のオフィスなら500万~1,500万円程度になる計算です。
この費用の中には、さまざまな工事が含まれます。
ーボード工事
ー間仕切り・建具工事
ー電気・水道・通信設備工事
ー空調設備工事
ー消防設備工事 など
実現したいオフィスへの理想が高く、細部までこだわりを反映させる場合、工事する箇所も増えます。そのため、全体で必要となる費用も高くなりがちです。
費用の兼ね合いで細かいこだわりをすべて反映しきれないこともあるため、優先順位をつけて内装デザインに取り入れましょう。
内装工事費を抑えてオフィスを移転する方法
オフィス移転時の内装工事には高額の費用がかかります。そのため「できるだけ費用を抑える方法はないか」と頭を悩ます方もいるのではないでしょうか。
そこで、内装工事費を抑えながらオフィスを移転する具体的な方法を5つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
オフィスに必要なスペースを見直す
内装コンセプトに合わせた設計やデザインは重要ではありますが、そもそも自社に最適なスペースや面積を実現できているのかを確認・見直すことも大切です。
自社のオフィス状況に合わせた空間になっていないと「社員ごとに自席を用意したものの、あまり使われていない」「活用しきれていないデッドスペースがある」といったことも起こります。
移転後のオフィスにムダなスペースがあって有効活用できていない状態では、せっかく行動導線やレイアウトを考慮したうえで工事を実施しても効果が減少してしまうでしょう。
そこで、自社に必要となるスペースを洗い出し、適正面積のオフィスを選ぶことも重要です。そうすると内装工事費用のほか、月々のテナント料などの削減にもつながります。
オフィスの面積を有効に活用するには、フリーアドレスやABWの形態にする方法もあります。フリーアドレスのメリットについては、以下の記事にてまとめていますので、あわせてご一読ください。
また、自社オフィスの課題を明確にしたうえで、適正面積のオフィス選び・内装設計などをしていきたいとお考えの方には、「オフィス移転コンサルティング」がおすすめです。
現オフィスの現状分析や移転先のコンセプト設計、物件選定、内装構築、アフターフォローまで丸ごと支援できます。気軽にご相談ください。
内装に使う素材を変更する
「内装を設計したあとの見積りが予想していたよりも高かった」などの場合には、レイアウトやデザインはそのままに、使っている素材をグレードダウンさせる方法もあります。
たとえば、壁紙や床材、照明などの種類を一段階下げられないか確認してみましょう。そのうえで耐久性や機能性なども考慮しながら、再度、検討してみてください。
小さなコストダウンですが、複数箇所で見直しができれば大きな費用削減につながります。
内装デザインを変更する
工事にかかる費用が予算オーバーする場合は、内装デザインを変更しなければならないこともあります。過度な装飾により予算がかかっているケースもあるため、当初の目的と照らし合わせて確認しましょう。
変更すべき箇所はオフィスの状況により異なりますが、間仕切りや建具は必要最低限に留める、個室の会議室を減らしてワークスペース内に打ち合わせできるコーナーを設置するなどの方法が有効です。
また、内装工事費ではありませんが、オフィスのレイアウトによって移転後に支払っていく電気代にも影響を与えます。
オフィス内に間仕切りをつくり、個室空間が多くなる場合には、それぞれの部屋や廊下などにエアコンを設置して運転させる必要も出てくるでしょう。空調効率が悪いレイアウトにすると、電気代が高くなる原因にもつながります。
移転後のランニングコスト削減も意識して、内装レイアウトやデザインを決めることが大切です。
セットアップオフィスを利用する
「セットアップオフィス」とは、内装や什器などが用意された状態で貸し出される物件のこと。すでに内装ができている状態で入居できるため、ゼロから計画・設計し、工事をするよりもコストを抑えられます。
セットアップオフィスが空いている場合は、期間を設けずにすぐ入居することも可能です。本来であればかかるはずだった工事期間を短縮できます。
内装工事が施されている分、自社が抱いているオフィスの理想を完全に実現できない欠点もありますが、移転時の経済的・時間的コストを削減できるのは大きな利点です。
セットアップオフィスのメリットや探し方の詳細は、以下の記事をご覧ください。
居抜き物件を活用する
居抜き物件は、前テナントで入居していた事業者が内装や什器をそのままにして退去した物件です。内装や什器がある状態で入居できること、内装工事に期間がかからない点はセットアップオフィスと共通しています。
ただし、セットアップオフィスの形式は広く普及していないため、件数が少なく希望条件の物件が見つからないケースも。そういったときに居抜き物件から探すとスピーディーです。
入居前に空調設備の動作や建具に不具合がないかなどの確認は必要になりますが、オフィス移転時のコスト削減に大きく貢献する方法です。
「居抜きオフィスを活用したい」「どのような物件があるのか見てみたい」という方は、「HATARABA居抜き」をご利用ください。エリアや必要な坪数などの条件を指定して、居抜きオフィスを検索できます。
まとめ
オフィス移転時の内装における検討ポイントや流れ、コスト削減方法を解説しました。
オフィスの内装は、社員の生産性向上やコミュニケーション活性化など、さまざまな影響を与えます。そのため、オフィスを移転する際には目的を明確にしたうえで、社員の働きやすさ、自社に必要とする空間を考慮したレイアウト・デザインの設計が重要です。
とは言うものの、オフィスの移転には内装の計画のほかに物件の選定や契約など、さまざまな工数がかかります。「どこから手をつけるべきか」「業者とのやりとりに時間がかかる」など、進め方に悩むこともあるでしょう。
オフィス移転に関する困りごとは、ご相談ください。オフィスの要件定義や物件選定、内装の設計・施工、アフターフォローに至るまでトータル支援が可能です。
まずは、現状で感じている課題や悩みを気軽にご相談ください。