コロナ禍によるリモートワークの推進などの影響もあり、オフィスをDX化する企業が増えてきています。業務の一部をDXツールが担うことによって、業務効率化や生産性向上が期待できます。
しかし、「どの業務をDX化したら良いのか分からない」「自社に最適なツールを選べない」といった課題を抱え、思うように導入が進まない企業様の声も少なくありません。
そこで本記事では、オフィスのDX化が求められている背景や導入の具体例、メリットなどを解説します。
・DX化を検討するにあたり何から着手すればよいかわからない
・どの業務をDX化すればよいのかわからない
上記のような課題をお持ちの方はぜひご一読ください。
オフィスのDX化とは?
オフィスのDX化とは「オフィスにおけるデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」のこと。DX化によりオフィスで抱える課題を解決し、業務効率化や社員の生産性向上、オフィスの環境改善を図ることができます。
実は、日常業務の35.5%は雑務だと言われています。特に総務・人事・経理などのバックオフィス部門においてはこの傾向は顕著です。誰でもできる業務はDXツールで自動処理することによって、これまでかけていた工数の削減が期待できます。
オフィスのDX化が求められる背景
オフィスのDX化が求められる背景として、以下の4つが挙げられます。
日本におけるDX推進の急務化
日本企業のDX化は、米国に比べて遅れを取っています。
独立行政法人 情報処理推進機構の「DX白書2021」によると、DXに取り組んでいる日本企業は約56%、米国企業は約79%でした。
このように、日本と米国企業の状況を比較すると大きく差が開いています。このままでは日本企業が国際競争で不利になる可能性があるため、デジタル技術による競争力の強化が現在国をあげての課題となっています。
労働人口減少による生産性向上の必要性
少子高齢化の影響を受けて、日本の労働人口は減少し続けると予測されています。すでに人材確保に対する課題を抱えている企業も多く、今後は人材の確保よりも業務の自動化による対策の方が現実的とされるかもしれません。
今後の人口減少を踏まえ、デジタル技術の力も活用した業務改善が重要です。
働き方改革による業務形態の転換
働き方改革により、社員が働き方を自由に選択できる仕組みが広がっています。
ーリモートワーク
ー時差出勤
ーフリーアドレス
ーABW など
柔軟な働き方ができる企業では、オフィスに出社するかどうかも社員自身で決めることが求められます。そのためにはどこからでも仕事ができるようにオフィスのDX化を図り、働く環境の整備・改革が必要です。
コロナ禍でのリモートワーク需要増
新型コロナウイルスの感染拡大により、対面での業務が制限され、リモートワークが急速に普及しました。ウィズコロナの広まりを受けて、出社での業務に戻した企業もありますが、感染拡大状況によっては再びリモートワークが推奨される可能性もあるでしょう。
突然、状況が変わっても業務の進行ができるよう、環境を整備しておくことが重要です。
オフィスのDX化の具体例
オフィスをDX化、業務の自動化といっても具体的にどういった業務において適用ができるのか、具体例を以下5つ、解説します。
経費精算の自動化
多くの社員にとって雑務の代表格である経費精算の自動化には「経費精算システム」が有効です。経費精算に必要な領収書の提出や申請、承認などがシステム内で完結します。
システムの導入によって、紙ベースでの申請書作成や承認作業などにかかる工数を削減可能です。
中には会計ソフトと連携し、経費精算の内容を元に自動で仕訳するものもあるので、経理担当者の業務削減に貢献します。
書類の電子化
業務に必要な各種書類を電子化し、クラウド上に保管することが可能です。ペーパーレス化が実現すると以下のようなメリットが得られます。
ー紙や印刷コストの削減
ー書類を保管するスペースの削減
ー重要書類を紛失するリスクの低減
また、クラウド上での保管によって検索性が向上するため、必要な書類を探しやすくなります。機密性の高い書類は、関係者しか閲覧できないように制限することも可能です。
スマホ内線化による社外への電話転送
「クラウドPBX」というシステムを使えば、オフィスの電話機能がスマホで使えます。たとえば、以下のことが実現可能です。
リモートワーク中に会社宛にかかってきた電話をスマホで受け取る
出張先から会社の固定電話番号を使って発信する
スマホ同士を内線化し、業務連絡をする
どこにいてもスマホがあればオフィス電話の発着信ができるため、わざわざ電話番をする社員を出社させる必要もありません。
会議室・フリーアドレス座席の可視化
「入退室管理システム」や「座席管理システム」を活用すると、リアルタイムでオフィスの利用状況を可視化できます。フリーアドレスやABWなど、社員が働く席を自由に選択できるオフィスを導入している場合は、特に効率化が可能です。
ー誰が出社しているか
ー社員がどの席で仕事をしているか
ー会議室は使われているか
人の手を使って確認すると手間がかかりますが、システムが自動で可視化してくれるため、把握に必要な時間を削減可能です。
クラウド勤怠管理
勤怠管理が、クラウド上で行うツールの活用によりリモートワーク中でも、出退勤の打刻や有給申請・承認などの作業が可能です。
長時間残業や打刻忘れなどについてアラートを出してくれるので、勤怠担当者の負担軽減につながります。
また、給与計算システムなどと連携すると、勤怠情報を元にした給与計算も容易です。
オフィスをDX化するメリット
オフィスをDX化すると、さまざまなメリットが得られます。ここでは以下5点のメリットについて解説します。
コスト削減
人の手によって作業していたことがツール上でできるようになれば、さまざまなコスト削減が実現します。
ー業務工数に充てていた人件費
ー紙や印刷コスト
ーオフィス面積
ー賃料や光熱費などの固定費
単に紙のコスト、印刷コストなど物品のコストが削減できるだけでなく、業務効率の向上により残業代などの人件費も削減が可能です。
加えて、DXを推進することによりこれまでとはオフィスの位置づけや求められる機能が変わるため、オフィス面積の削減(縮小移転など)も可能です。オフィスの規模を縮小できることにより、オフィス賃料という大きな固定費が削減できるほか、光熱費の削減も期待できます。
生産性向上
DXツールが作業の一部を担うことで、社員は本来やるべきだったコア業務にリソースを割けます。
優先度の高い業務を中心に進める社員を増やし、組織全体の生産性向上を目指すことも可能です。
労働環境の改善
ツールによって業務が効率的になると、これまでの作業時間を削減できます。限られた時間内で業務が終わり、長時間労働の削減が可能です。
長時間労働を削減できれば、社員のワークライフバランスを整えられます。職場でのストレスを減らし、モチベーション向上などにも効果が期待できるでしょう。
テレワーク・リモートワークの推進
オフィスのDX化が進むと、常に社員がオフィスにいなくても業務を進められる環境が整うためテレワークやリモートワークも促進できます。
テレワーク・リモートワークを導入・促進は多様な働き方ができる企業という対外アピールにも繋がり、採用が有利になる可能性もあります。
情報の一元管理
業務に必要な書類や顧客情報など、すべてクラウド上でまとめて管理します。社内情報へアクセスしやすくなり、共有事項や周知などもスピーディーに実施できます。
仮に担当者が突然退職した場合でも書類はクラウド上に残っているため、業務進行がストップすることもありません。
オフィスをDX化する際の注意点
オフィスをDX化すると多くのメリットが得られます。しかし、注意点もあるため、導入前に確認しておきましょう。
DX化をゴールとしない
オフィスのDX化は、あくまでも手段であり、ゴールや目的ではありません。DX化を自己目的化してしまうとコストをかけた分の成果が得られない恐れがあります。
オフィスのDX化をする際には、自社に導入する目的を明確にすることがなによりも重要。DXを導入することで、どの課題を解決したいのかまず明確に定めましょう。
導入目的を社内に共有する
経営層ばかりがDXを推進しても、社員にまで浸透していなければ協力を得られません。反対に、経営層からDX化の理解が得られず、計画を進められないこともあるでしょう。
いずれにせよ、自社にDXを導入する目的を共有し、理解してもらうことが重要です。共通認識を持ったうえで、社内全体で進めていくとスムーズな導入ができます。
導入にあたりサポートを行う
DX化により従来の業務の変化・消滅や、業務フロー変更に伴う学習コストの増加に不満を感じる社員がいるかもしれません。このような社員に対する対策を実施しておかないと、社員満足度が下がったり、DX化してもこれまでと同様の業務フローを続けるといったこともあります。
業務フロー変更に伴い一時的に社員の負担が増えることが想定される場合はサポートとして、以下の取り組みを実施するのがおすすめです。
ー説明会や社内研修の実施
ー運用マニュアルの作成
ー分からないことを確認できるヘルプデスクの設置
社員の不満をあらかじめ取り除くことで、DX化の推進が加速します。
成功の鍵を握るオフィスDX化の手順
有効にオフィスDX化を実現する手順を5つのステップに分けて解説します。
業務の棚卸を実施
前述の通り、DX化はゴールや目的ではありません。自社における現状の課題を洗い出し、何をDX化によって解決したいのか明確に定めます。
具体的に業務の内容を挙げどこにコストや工数がかかっているのか一覧にすると、課題発見のヒントとなります。
目的・規模に応じた最適な事業者・ツールの選択
DXを導入する目的によって選択すべきツールが異なります。「必要な機能が揃っているか」「目的や課題を達成できるものか」といった視点を持って、事業者やツールを選びましょう。
すでに導入しているツールとの連携可否もポイントです。
また、ツールの導入後にトラブルが発生することもあります。サポート窓口が設置されていると、万が一のトラブルがあったときも安心です。
導入可能な補助金の策定、申請
ツールの導入や必要機材の購入などには費用がかかります。「大きなコストがかかるためにDX化ができない」という企業には、補助金の活用がおすすめです。補助率や上限額などは補助金事業により異なりますが、導入の大きな助けになる可能性があります。
オフィスのDX化は国をあげた課題であるため、導入には様々な補助金を活用が期待できるため、ぜひ活用できる補助金を探してみてください。
オフィスに活用できる補助金・助成金については関連記事で詳しく解説しています。
オフィスのDX化で活用できる補助金
オフィスのDX化に活用できる補助金は時期や地域(自治体が実施する場合)によって異なりますが、代表的な補助金の事例を紹介します。
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
・IT導入補助金
・事業再構築補助金
たとえば「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」では「デジタル枠」が用意されており、生産性向上に必要な設備やツールの投資などを支援しています。
それぞれの制度についての詳細や具体的な補助金額などは、該当のホームページにて最新情報をご確認ください。
導入
目的を明確にし、目的や自社の規模にあわせたツールを選定後、可能であれば補助金を申請の上で実際にツールの導入を行います。
社内体制や業務フローを見直し、ツールを導入したあとの作業の流れを明確にしておくとスムーズに開始できます。
また、導入にあたっては事前の説明やアフターフォローなどの社員向け対応も重要です。
効果検証
導入後、効果が出ているのか定期的に確認します。ツールの導入によって、新たな課題が見つかることもあるため、「業務が滞っていないか」「余計な工数が発生していないか」といった視点も含めた効果検証が重要です。
新たな課題が出てきた場合は、それを改善する取り組みも必要になるでしょう。
また、導入の効果が定着するまでに期間を要する場合もあるため、定期的な効果検証を続ける中での判断が求められます。
オフィスのDX化を検討するなら
DX化に取り組むにあたって考え方や手順を解説しましたが、実際に実行するにあたっては課題の抽出や、ツールの選定など多くの課題を抱えるケースも多いのではないでしょうか。
当社ではオフィスのDX化について、下記のような支援を行っています。
DX導入の無料相談や他社事例の共有
オフィスの移転・構築を支援した知見を活かして、DX導入のご相談もお受けしております。オフィスの移転予定はなく、現状のまま、もしくは既存のオフィスのリニューアルでDX化を推進したい場合のご相談も可能です。
既存のオフィスの課題の抽出についても専門的な知見から支援させていただきます。
オフィスツアー(株式会社ビットキー)
当社では実際のオフィス構築事例を先方オフィスにてご担当者様とともに案内・解説する総務・オフィス構築担当者向けオフィスツアーを定期開催しています。
中でも、株式会社ビットキーにおけるオフィス構築事例はオフィスのDX化を検討するにあたり様々なヒントをご提供できますので、ぜひご参加ください。
まとめ
オフィスのDX化が求められている背景や導入の具体例、メリットなどを解説しました。
オフィスのDX化を進めるツールには様々なものがあります。しかし、DXはあくまでも手段の一つ。「どのツールを導入するか」より「自社にDXを導入して、どの課題を解決したいのか」といった目的を明確にすることがより重要です。
ぜひ、前提として解決したい課題を明確にした上でDX化の検討を進めてみてください。
当社では、DXの実施判断や導入サポート、アフターフォローを支援しています。DX導入の無料相談も実施していますので、ぜひ気軽にお問い合わせください。