オフィスの「事業用定期借家契約」とは?普通借家契約との違いや再契約の実態を解説

オフィス移転や拠点開設を検討する際、「定期借家契約」という言葉に不安や疑問を感じたことはないでしょうか。事業用の定期借家契約は、再契約の必要がある手間から敬遠されがちな契約形態ですが、近年のオフィス市場では主流となり、都心のハイグレードビルでも多く採用されています。

一方で、普通借家契約との違いを正しく理解しないまま定期借家契約を結ぶと、将来の移転リスクや想定外のコスト負担につながるため注意が必要です。

本記事では、定期借家契約の基本的な仕組みやよくある誤解、普通借家契約との違いを整理しました。企業に適した契約形態や判断のポイントを解説します。

一目でわかる!「普通借家契約」と「定期借家契約」の違い

オフィスの賃貸契約は、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。ここでは、それぞれの仕組みと違いをまとめました。

普通借家契約とは?

普通借家契約は、借主の継続利用を前提とした契約です。契約期間が満了しても、原則として更新され、借主が利用を希望する限り同じオフィスを使い続けられます。貸主から契約を終了させる場合には、建物の老朽化や再開発など合理的な理由がなければ解約できません。

このように、借主の権利が強く保護されている点が普通借家契約の特徴です。そのため、安定した拠点運営や所在地の継続性を重視する企業に適した契約形態といえるでしょう。

定期借家契約とは?

定期借家契約は、契約期間の満了時に契約が一度リセットされる形態です。普通借家契約のような自動更新はありません。期間終了後にオフィスを利用する場合は、貸主と改めて合意を交わす再契約が必要です。再契約は義務ではないため、条件が合わなければ契約は終了し、退去となります。

契約期間や賃料条件を柔軟に設定しやすい定期借家契約は、市場相場を反映しやすいことがメリットです。こうした背景から、近年のオフィス市場では定期借家契約が主流となり、短期利用や事業変化を見据えた企業を中心に選ばれています。

普通借家契約と定期借家契約の違い

普通借家契約と定期借家契約のどちらを選ぶかによって、オフィスの使い方や将来的な移転計画にも影響が及びます。ここでは、両者の主な違いを表でまとめました。

項目普通借家契約定期借家契約
契約期間2〜5年程度が一般的1〜5年程度
更新あり(自動更新または更新契約)なし(期間満了で終了)
再契約概念なし合意があれば再契約可能(※保証ではない)
中途解約原則不可(特約あれば可)契約内容により可
賃料改定更新時や市場変動によって発生再契約時に条件変更されることが多い
借主の保護度高い(借主有利)低い(貸主優位・市場原理反映)

普通借家契約と定期借家契約は、企業の成長フェーズやオフィス戦略によって適した選択が異なります。契約の特徴を理解し、事業計画や将来像に合った契約の選択が大切です。

定期借家契約のよくある誤解と実態

定期借家契約の契約内容や運用方法は一律ではありません。ここでは、定期借家契約についてよくある誤解と実態を解説します。

よくある誤解①|定期借家契約は急に追い出される?

定期借家契約は、契約途中で退去を求められるのではないかと不安に感じる方がいます。しかし実際には、その心配はほとんどありません。

定期借家契約は、あくまで契約期間の満了時に退去の可能性がある契約です。契約期間中に一方的に追い出されるものではありません。むしろ貸主側も継続を歓迎するケースが多く、契約期間が明確に定められているため、事業計画に合わせてオフィスを活用しやすい点も、定期借家契約の特徴といえるでしょう。

よくある誤解②|定期借家契約は更新できない?

定期借家契約は、国土交通省により更新がないと定められているため、一度きりの契約だと思われがちです。しかし実際は、契約期間終了後に条件を改めて再契約が行われるケースが多くあります。貸主にとっても、企業が継続して利用することは、空室リスクや募集コストを抑えられるメリットがあります。

そのため、契約期間で過度に構える必要はありません。更新の有無にとらわれず、再契約の可能性や条件が変わるポイントをあらかじめ把握し、納得できる形になるよう調整することが大切です。定期借家契約は、再契約を前提に交渉できる契約と捉えるとよいでしょう。

参照:国土交通省「定期借家制度

よくある誤解③|定期借家契約は中途解約できない?

定期借家契約は原則として、契約期間中の途中解約はできません。条件によっては、定期借家契約に「中途解約条項」を設け、一定の柔軟性を持たせることが可能なケースもあります。

例えば「契約開始から1年以上経過後、6か月前の解約予告で解約可能」といった条件が挙げられます。成長フェーズにある企業や、増床・縮小の可能性がある企業は、こうした条項を交渉時に盛り込むことで違約金のリスクを抑えられるでしょう。契約前に自社の事業変動や将来計画を整理し、それを前提に解約条件を契約内容に落とし込むことが重要です。

普通借家と何が違う?定期借家のメリット・デメリット

定期借家契約は、普通借家契約とは仕組みが異なり、メリットとデメリットがはっきりしています。ここでは、普通借家契約と比較しながら、定期借家契約ならではの利点とリスクを整理しました。

メリット①|好立地・ハイグレード物件が選べる

近年、都心部のハイグレードビルや人気エリアのオフィスでは、定期借家契約を採用するケースが増えています。定期借家契約だからこそ市場に出ている優良物件に出会える点はメリットといえるでしょう。

普通借家契約では条件が合わない好立地・高スペックのオフィスも、定期借家であれば検討対象に入ることがあります。採用力の強化や企業ブランドの向上、来客時の印象づくりなど、立地やビルのグレードを重視する企業にとって、選択肢が広がる点は大きな魅力です。

メリット②|賃料が比較的抑えられる/交渉余地あり

定期借家契約は契約期間が定められているため、賃料を抑えた設定や条件交渉がしやすい傾向です。市場状況や入居期間によっては、フリーレントの付与や内装工事費の一部負担など、初期費用を軽減できる条件が提示されることもあります。

こうした交渉余地の広さは、移転コストを抑えたい企業や、限られた資金を事業成長に振り分けたい成長フェーズの企業にとって魅力となるでしょう。金銭面での柔軟性を活かせる点は、定期借家契約ならではのメリットです。

ただし、マーケットによってはこの通りではないこともあります。

メリット③|企業成長フェーズに合わせた柔軟な契約期間設定

定期借家契約は、あらかじめ契約期間が定められているため、今後組織体制や事業内容が変化しやすい企業と相性の良い契約形態です。「3年後の人員増加を見据えて拡張予定」「5年間だけ都心に戦略拠点を置きたい」「プロジェクト期間限定のオフィスが必要」といったケースでも、無理のない契約設計ができるでしょう。

普通借家契約のように長期利用を前提とせず、事業計画に合わせて期間を区切れる点がメリットです。段階的な成長戦略に合わせて、将来の移転や再編を前提とした柔軟な経営判断ができます。

デメリット①|更新保証がない

定期借家契約は、契約満了後に自動更新される仕組みがなく、再契約が保証されていない点がデメリットです。貸主の意向や建物の活用方針が変わった場合、条件が合わず再契約できないケースもゼロではありません。

そのため、同じ拠点で長く事業を続けたい企業にとっては、将来的に移転が必要になる点が不安要素になります。一方で、安定した入居は貸主にとって空室リスクの低減につながるため、再契約で継続されるケースが多いのも事実です。リスクと実態の両面を理解したうえで判断しましょう。

デメリット②|事業計画と契約年数のギャップリスク

定期借家契約は契約期間が固定されているため、事業計画や採用計画と契約年数が一致しないリスクがあります。例えば、想定以上に事業が成長して契約期間中に増床が必要になった場合や、反対に事業環境の変化により縮小や撤退を判断せざるを得なくなった場合には、柔軟な対応が難しいでしょう。

こうしたリスクは、変化のスピードが速い企業ほど注意が必要です。ただし、契約に中途解約条項を組み込むと、一定のリスクは軽減できます。将来の事業変動の幅を見据えたうえで、契約条件を設計することが重要です。

普通借家・定期借家どちらを選ぶべき?タイプ別診断

普通借家契約と定期借家契約は、企業の成長フェーズや経営方針によって適した選択が異なります。ここでは、企業のタイプ別にどの契約形態が向いているかを整理しました。

従業員増減が大きい企業は「定期借家」が有利

急速に事業を拡大している企業や、採用計画が流動的な企業では、必要なオフィスの面積を見通すことが難しいものです。こうした場合、長期利用を前提とする普通借家契約よりも、契約期間が明確な定期借家契約が適しています。

中途解約条項を契約に盛り込むことで、成長スピードに合わせて移転や拡張のタイミングをさらに調整しやすくなるでしょう。「今の規模に合ったオフィスを確保しつつ、次のステップに備える」という柔軟なオフィス戦略を描ける点は、定期借家契約ならではの強みです。

採用強化・ブランド発信なら「定期借家」が選択肢を広げる

採用力強化やブランド発信を目的にオフィスを活用する場合、定期借家契約は有効な選択肢となるでしょう。全拠点で一斉に新しいコンセプトを導入するのではなく、まずは定期借家でモデル拠点を設け、働き方や空間設計を試験的に運用できます。

モデル拠点の利用状況や運用上の課題、従業員や来訪者の反応を検証することで、効果を具体的に把握できます。成功事例として実績が蓄積されれば、他拠点や他部門への展開に向けた説得材料となり、社内の合意形成もスムーズに進められるでしょう。

長期安定を求めるなら「普通借家契約」がおすすめ

組織規模や事業内容が安定している企業にとっては、普通借家契約が適しています。普通借家契約には更新権があり、貸主側から契約を終了させるには正当事由が必要となるため、将来的な拠点喪失リスクが低く、安心感が魅力です。

また、定期借家契約のように契約満了ごとに再契約や条件交渉をする必要がなく、移転コストや事務的な手間も抑えやすくなります。長期的な事業計画やブランド拠点の維持を重視する企業にとって、普通借家契約は安定性を優先できる契約形態といえるでしょう。

まとめ

オフィス契約で大切なことは、自社の成長フェーズや事業計画に合った条件で契約できるかどうかです。定期借家契約と普通借家契約には、それぞれ異なる利点とリスクがあり、仕組みを正しく理解すれば、どちらも企業戦略に活かせる有効な選択肢となるでしょう。

オフィスの契約内容や将来の拠点戦略に少しでも不安を感じたら、ぜひHATARABAにご相談ください。多くの企業のオフィス移転や契約交渉を支援してきたHATARABAは、実績とノウハウが豊富です。企業ごとの状況を客観的に整理し、最適な契約形態や条件設計を一緒に考え、納得のいく意思決定ができるよう伴走します。まずはお気軽にご相談ください。

無料相談・お問い合わせ

この記事を書いた人

HATARABAコラム編集部

HATARABAコラム編集部によるコラムです。オフィス移転やオフィスづくりなど、『はたらく場所を、もっとよくする。』ためのお役立ち情報を発信しています。

一覧に戻る

お客様に
「最高のオフィス移転体験」を

オフィスのことでお困りごとがあれば、
お気軽にご相談ください。

採用情報

株式会社HATARABAでは「人は財なり」の考えのもと、会社は第一に社員の為にあると考えて創業されました。
努力できる社員が報われる会社であり、社員の夢を実現できる会社でありたい。
そんなHATARABAで、働いてみませんか?

採用サイトはこちら

お問い合わせ

お客様に最高のオフィス移転体験を
無料相談・お問い合わせなどお気軽にご相談ください。

03-5464-1315

平日 9:00〜18:00

              お問い合わせフォーム

×
ページの一番上へ