“はたらく場所の最適化” を目指すHATARABAが運営する、ファシリティマネジメント担当者のための会員制コミュニティ【FM Salon】のインタビュー企画「ZoomUp」。この企画では、ファシリティマネジメントという仕事そのものや、その魅力、面白さについてお話を伺っています。
第1回目にお話を伺ったのは、人材業界を牽引するディップ株式会社(以下、ディップ)の藤川淳さん。藤川さんは、人事総務本部コーポレートサービス戦略推進室で、オフィス移転や拠点開設、オフィス改善といったファシリティ全般を担当されています。
ファシリティマネジメントの仕事を一言でいうと?
”会社の未来を創る”仕事ですね。
オフィスをつくっているのではなく、会社の未来を創る仕事だと思っています。
いつから『会社の未来を創る仕事』を意識しはじめたのでしょうか?
学生時代に人間工学や安全工学を学んでいて、椅子の座り心地や傾斜についてなど、家具系のことには当時から興味がありました。
あとは、運転をしていて見やすい標識はどれだろう?とか気になりました(笑)。それが今のオフィスのサイン設置とかに役に立ってたりします。
同じファシリティだと、家具メーカーや内装会社への就職という選択肢もあるんですが、より専門性を高めたい、ニッチな業界に挑戦してみたいと考えて就職を決めました。
あまりたくさん採用をする部署ではなかったので、新卒時代の同期は5名でした。
前職でも同じようなお仕事をされていたのでしょうか?
今の、ディップで2社目となりますが、前職でも同じような仕事をしていました。
大手電機メーカーの子会社で、1999年に入社をしました。新卒で配属されたのはファシリティの中でも情報通信に特化した部署でした。構内PHSを推進する部署で、工場などにアンテナを設置して内線をPHSで受け取れる仕組みを作っていました。構内PHSの存在自体を知らない方も多いかもしれないですが(笑)
その後、ファシリティ全般を徐々に担当するようになっていきました。工場やオフィスビル建築にも携わり、約17年ファシリティに関する仕事をやってきました。
2016年1月に現在のディップに転職をし、それからずっとオフィス、ファシリティ関係の仕事をしています。同じ部署には私を含めて10名のメンバーがいます。
印象に残っているプロジェクトについて教えてください
ディップにきてからだと、現本社である【六本木グランドタワー】へのオフィス移転は面白かったです。1フロア約3,000平米(約950坪)あるのですが、経営層や関連部署などもいる中で「良いオフィスをつくろう」と一丸となって組織化してつくりあげていく過程はやりがいがありました。オフィスの内装やレイアウト、コストのことなど経営層と直接やり取りをさせてもらえた事も非常に大きかったです。
本社を移転してから8年ほどたちますが、メンバーが今でもオフィスを大切に使ってくれてますし、テレビやドラマの撮影などでも使われていることも嬉しいです。
エントランスで全社朝礼や動画の配信なども行っていますが、最初からそういった用途を見越してつくったわけではなかったんです。コロナ渦を経て、働き方やオフィスへの需要が変わっていく中でも、そういった需要にマッチした空間をつくれていた事は本当に良かったです。
エントランスはこだわったポイントの1つでした。実際に昔ディップで使われていた、パソコンやマウス、携帯電話などが化石のように埋め込まれているんです。そこには、これからのディップがさらに飛躍するようにという想いが込められています。
こういったアイデア出しなども部署のメンバーと一緒に考えました。それを、設計会社さんに形にしてもらいました。
ファシリティは専門性の高い分野ですが、どういったところで知識を得るのでしょうか?
まずは場数を踏むことが必要だと思います。経験できることはたくさんあるので、それに積極的に手をあげ、業務を推進していきながら学んでいきました。
2つ目は情報収集をすることですね。たとえば、家具メーカーさんは家具の知識を、設計会社さんはデザインの知識を、オフィス仲介さんはオフィス移転の情報などを持っているので、そういった会社さんから確実に情報を収集しています。
そして収集した情報を社内で展開することによって、段々と頼られる存在になっていくのだと思います。
FMチームのメンバー育成についてはどのようにされていますか?
場数を踏まないと分からない事も多いので、なるべくプロジェクトを任せるようにしています。「自分がやった方が早いな」という仕事でも、実際に経験させてみるようにしています。注意すべき点だけ伝えておいて、方向性がブレないようにだけ見守っています。
子供が2人いるんですが、その部分はわりと子育てと共通することが多いなと感じています。(笑)
昔は、ファシリティ系の現場だと「俺についてこい」タイプの職人堅気の人も多かったんですが、私の場合は、同じ目線で同じ目標に向かって一緒に考えてくようにしています。
仕事をすすめる中で気をつけているポイントがあれば教えてください
経営層と現場との間で板挟みになるような場面があるのですが、「それは頼られている証拠だ」と思うようにしています。この事は、チームメンバーにもよく伝えています。
その上で重要度と緊急度などを考慮し、どの事象から解決すべきなのかを考えるようにしています。自チームだけで進めるのが難しい場合は、他のチームのメンバーから客観的に意見をもらったりもしています。
なるべく経営の判断には応じるようにしていますが、そこにもっていくまでのやり方を場合によっては変える必要があるんです。同じ結果にたどり着くにしても、違う切り口の方が成功する場合もあります。
なので、社内の横の関係性づくりは非常に大切にしています。
ファシリティ担当として、今後成し遂げていきたいことはありますか?
私たちの部署は、経営に直結するチームだと思っています。オフィスを作るのではなく、会社の未来を創る仕事だと思っています。そのためにも、”コーポレートサービス戦略推進室”の名前の通り、組織に直結した経営戦略を立てられるような部署にしていきたいです。
社員が増えていく中で適したオフィス環境の提供や、時流に沿った働き方の提案を私たちから発信できるような部署を目指していきたいです。
そして将来的には、オフィスに社食やジムをつくったりして、「オフィス=自宅に負けないような場所」にして、出社をしてもしなくても「楽しく働けるような場づくり」をしていきたいですね。
最後に、これからファシリティ担当を目指す方に一言お願いします
できるだけ忙しく、活気のある環境に身を置く事をオススメします。
決して楽なことばかりではないと思いますが、そういった環境に身をおいた方が成長も早いと思いますし、何より楽しいと思います。