リクルートの九段下オフィスを見学。      ~FMsalonオフィスツアーレポート2023.11~

株式会社HATARABAでは、ファシリティ担当の方に向けた会員制サロンFM salonを運営しています。
本記事は、2023年11月8日(水)に株式会社リクルート(以下、リクルート社)の九段下オフィスで行われたオフィスツアーの様子についてのレポートです。

FMsalonご参加企業

今回は、以下の企業のファシリティ担当者にご参加いただきました。
【参加企業】
freee株式会社
GO株式会社
スマートニュース株式会社
ディップ株式会社
ナイル株式会社
株式会社i-plug
株式会社MIXI
株式会社Voicy
株式会社ココナラ
株式会社サイバー・バズ
株式会社ジーニー
株式会社マイクロアド
株式会社マクアケ
株式会社ユーザベース
株式会社ラクス
合同会社DMM.com

リクルート九段下オフィスについて

まずは、リクルート社のワークプレイス統括室 ワークプレイス統括部 部長の古川様より、リクルート社のオフィスの変遷や現状についてお話を伺いました。

ワークプレイス統括室 ワークプレイス統括部 部長の古川様

九段下オフィスは2021年4月にオープン。オフィスビルは築60年ほどで、同社が創業したのは1960年と、偶然にも同じ年数の歴史を紡いできた存在です。地上7階、地下2階、5棟に分かれているのが特徴で、その面積は3500坪とかなりの広さで、過去には大学が入っていたこともあります。

長年、自由に使えるオフィスを探していたリクルート社。当社の紹介でこのビルに出会い、獲得した直後にコロナ禍に突入しました。社会状況が激しく変わるなか、「オフィスは一体何のためにあるのか」という議論を重ねたそうです。

九段下オフィスではタッチレス・コードレス・ウォールネスの3つをコンセプトとし、5棟すべてを同じように使うのではなく、機能を分散させることにしました。社員用ロッカーや会議室に関しても、どの棟にも入れるのではなく、あえて集約させています。

九段下オフィスに属しているのは2500名。22年度全国平均出社率は約4割です。ただ、所属はあくまでも従業員個々の住所に過ぎず、働く場所に制限はありません。どのフロア・どのオフィスでも可とし、自宅やオフィス関係なく、パフォーマンスを発揮できる場所を、個人・チームが自律的に選択できるのが同社流です。

「NEWオフィススタンダードへの提言」を柱に、「チーム・アクティビティ・ベースド・ワーキング」「ワーカーの活力を養うウェルビーイング拠点」「何も触れずに過ごせるオフィス」「地域社会・地域環境との共生」と4つの施策を立て、サーカディアンリズムの導入やエレベーター・あらゆる扉の自動扉化、ランニングステーションの導入など、該当するさまざまな仕組みを採り入れました。

リクルート社 九段下オフィスツアースタート!

2グループに分かれ、1時間ほどで九段下オフィスの見学ツアーを行いました。

南館7階

ツアーはオフィスについての説明を受けた南館7階からスタート。

一角には、オフィスのある九段下エリアの歴史に触れられるパネルが掲示されています。

武道館や靖国神社が臨めるロケーションが九段下オフィスの特徴。築60年の古ビルのため、窓を開けられるのもこの物件ならではの魅力です。

古ビルのため、天井が低く柱が多いという特徴も。そこで天井は抜き、配線は床を上げずにしけるフラットケーブルを採用しました。フラットケーブルは新しいものではなく、昔からあるもの。30年前に廃れたものの価値に目を付け、採用しました。

カーペットの下に仕込まれたフラットケーブル

動かせる・変えられるのが九段下オフィスの特徴。什器や家具は動かせるものが基本で、電源の場所にとらわれず仕事ができるよう、モバイルバッテリーが備えられています。

壁が少なく、カーテンやパーテーションで必要に応じて空間を仕切れるようにしています。

非接触の仕組みを採用

コロナ禍に入ったころに作られたオフィスのため、非接触も九段下オフィスのキーワードの1つ。自販機の取り出し口はふたをあえて外しています。

フロアの照明も触れずにオンオフを切り替えられる仕様。

左のパネルは手を近付けるだけで反応する非接触タイプです。

エレベーター内のパネル。こちらは後付けで付けられるため、既存エレベーターを非接触対応させることができます。

南館6階

扉の前にある台にタッチすることで自動扉が開く仕組みです。

タッチ場所は改札機と同じ角度に作られています。非接触の観点から採り入れられた自動扉の仕組みですが、車椅子の人も出入りしやすくなったほか、荷物を持ちながらでも出入りしやすくなりました。

南館2階

ブレストと呼ばれるエリアです。床はコンクリートをむき出しにしています。空間を仕切っているのは、ホワイトボード兼目隠しです。いくつもある柱に備え付けることで、柱を目立ちにくくする効果も。

テーブルの天板はビート版に使われている素材製で、脚から簡単に取り外せる仕様。力のない女性でも軽々と移動させられます。実際に参加者からも「軽い!」と驚きの声が上がっていました。

大会議室が並ぶエリア。床材はサイザルで、ポリカーボネート+真鍮で障子をイメージしたスライド式の仕切りを設けました。密室ではないため、天井にはサウンドマスキングを設置しました。

こちらも楽々開閉できます

2階からはちょうど目線の高さに外の緑が見えます。

壁面は元のコンクリートを綺麗にならしたものなのだそうです。

スロープは傾斜を緩やかにしたのだそう

中央棟2階

壁に囲まれた空間は、周りの壁をガラス窓にし、塗装で真っ白にすることで明るい印象に。中は社内コンビニになりました。

できた当初は専用アプリを入れ、ゲートを出るだけで自動決済される仕組みを採用していましたが、現在はQRコード決済の仕組みに変更されています。

休憩や飲食に使えるエリアに面した場所には、オールジェンダートイレがあります。隅や裏ではなく、オープンな場所にあることで、みんなが利用しやすくなっています。

中央棟1階

コンビニエリアの下には、キッチンがある大きな部屋があります。室内から外にかけて床をレンガにすることで空間に広がりをもたせ、明るさとぬくもりのある雰囲気になりました。特に通路部分は裏動線でしかなかった場所のため、レンガ敷きにすることで活かされた形です。

ドアの前には貸切予約状況が記されています。ツアー当日も貸切利用中でした。特に夜は懇親会などで予約が埋まりやすいのだそうです。

交流場にもなる女子トイレ

1階にある女子トイレ。洗面台を円形にすることで、居合わせた人とコミュニケーションが生まれやすくなりました。

北館1階

北館1階にはランニングステーションと呼ばれる部屋があります。入ったところにはランニングマップがありました。オフィスから出てすぐ皇居マラソンルートに入れる立地を活かしたロッカールームです。

北館1階の屋外スペースは、キッチンカーが2台くる憩いの場にもなっています。キッチンカーには近隣の方が買いに訪れることもあるのだとか。

南館3階

密室が少ない九段下オフィス。機密性のある話をする際は、テレカンブースを使用します。テレカンブースはオフィス内に70台あるそうですが、高い稼働率で利用されております。

こちらも天井まで仕切られている中小会議室。透け感のあるカーテンを2重重ねして開閉することで、圧迫感なく視線を遮れるようになっています。

なお、テレカンブースや会議室など、予約が必要なスペースは、予約開始後5分経っても入室がない場合、空室に切り替わるようになっているのだそうです。空予約を防ぐための仕組みです。

こちらも非接触の仕掛け。既存の仕組みを使うことで、鉄製の扉を自動扉化しました

こちらはテーブルに備えられた、置くだけでスマホを充電できるスポットです

南館1階

サイン類がドットデザインなのは、パンチングを使ったこちらのサインに合わせたため。印象的なサインです。

エントランスにあるテーブルは、脚がなく天井から吊り下げるタイプの変わったもの。脚がない分、椅子の配置に制限がありません。

2階から見た1階エントランス。ケーブルでテーブルを吊り下げています。1階エントランスを始め、各所に配置されている警備員が椅子に座って仕事をしているのも印象的でした。提案時は「仕事をしているように見えない」と警備会社から懸念を示されたそうですが、今では警備員の働き方改革として受け入れられているそう。「もっと業界全体に広がれば、警備員の人手不足の解消にもつながるのでは」と想いを話してくださいました。

オフィスツアー後の質疑応答

ツアー後には、質疑応答が行われました。

Q この物件に出会った経緯を教えてください。
A 10年ほど前から自由に構築できるオフィスを探していました。立地や賃料も含めて意思決定できるビルはなかなか見つからない中、この物件を紹介してくれたのが株式会社HATARABAでした。築古ビルであり天井が低いなどマイナスな部分もあったが、それを含めて新しい挑戦が出来るこのビルの選びました。

Q 各棟に必要なものを揃えるのではなく、ゾーニングしたとのことですが、従業員からは「すべてのフロアにほしい」と言われることもあるのではないでしょうか。どう従業員に伝えていきましたか。
A コロナ禍という時代背景も後押しになりました。タッチレス・コードレス・ウォールネスの3つが構想としてあったなか、特にタッチレスはコロナ禍により「いいよね」と思われていたのが大きいと考えています。また、新しいことに挑戦していくことを後押しする社風のため受け入れられました。

Q パートナー会社との関わり方を教えてください。アイディアはパートナー会社から出していただいたのでしょうか。
A オーナー様は建て替えを視野に入れていたこともあり、大きな内装変更に対して寛容な判断をしてくださったことが大きかったですね。構築を一緒に進めるパートナー会社様には、実現したい状態を伝えて共感してもらうことが大切と思っています。その状態を実現するためのアイデアは、自社から出したものもあれば、パートナー会社様から出てきたものもありますね。

Q いくつか拠点があるなか、本社でしかできない機能はなんでしょうか。
A 他の拠点と機能の違いはほとんどありません。「どこでもできる」が今の当たり前です。リモートワークが国内で言われるようになったのは2017年ですが、弊社は2015年頃から働き方改革を進めており、リモートワークの導入に挑戦してきました。その流れで人事制度やファシリティも変えており、今に至っています。オフィス構想の中で、改めてオフィスの役割を「集まるための場所」と定義し、進めてきました。

◆座談会

質疑応答後は、グループに分かれて座談会を行いました。ファシリティを当社(HATARABA)の従業員が務め、自社がオフィス作りに抱えている課題や解決できた課題などを自由に話し合いました。

「会議室が足りない問題」について、リクルート社の「空予約を防止する仕組み」といった解決策、「会議室利用を有料化し、部門課金することで無駄な予約を抑制する」といった各社の試行錯誤がシェアされたほか、「部署を超えたコミュニケーションをどう活発化させるか」「移転をする際、どの程度まで先を見据えたか」など、さまざまな課題や自社の取り組みが紹介されました。

FM salonでは、引き続きコンセプトに共感頂ける方や、高難易度のファシリティナレッジをお持ちの方をお招きしております。

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文:卯岡 若菜 撮影:原 哲也

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