設立からわずか5年で社員数140名へと急成長を遂げた株式会社Yaaha。TikTokをはじめとするショート動画広告に特化し、「TikTok for Business Agency Award 2026」でトリプル受賞を果たすなど、業界でも異彩を放つ存在です。そんな同社が直面したのは、66坪の旧オフィスに100名以上がひしめき合うという「物理的な成長の壁」でした。一時は営業赤字という逆境に立たされながらも、なぜ215坪への拡大投資を決断できたのか。同社代表の秋山社長に、経営戦略としての移転の舞台裏を詳しくうかがいました。(以下、敬称略)
背景・課題
- ・66坪に100名以上が在籍。会議室不足と深刻な物理的混雑が事業成長を阻害していた
- ・急激な人員増に対応し、採用ブランディングと生産性を両立する空間が不可欠だった
- ・移転検討中に一時的な営業赤字に直面。投資判断のスピードと確実性が求められた
ポイント
- ・社長自らが15件以上の内見を行い、経営判断としてトップダウンで迅速に意思決定
- ・徹底したコスト交渉と信頼関係により、価値ある物件を破格の条件で確保
- ・「出社したくなるオフィス」を掲げ、撮影スタジオの内設により業務効率を最大化
マンションの一室から本格オフィスへ。成長が予測を上回った5年間の歩み
―まずは、創業からのオフィスの歩みと、今回の移転を決断した経緯を教えてください。
株式会社Yaaha 秋山社長
秋山
当社は2021年、小さなワンルームマンションからスタートしました。2年後、別のマンションに移り、さらに1年後、本町にある66坪のオフィスに移転しました。当時は社員数が20名程度で、これだけあれば十分だと思っていたんです。ところが、そこからわずか2年で140名まで増え、66坪に140名がひしめき合う状態になってしまいました。
―140名が66坪というのは具体的にどのような状況だったのでしょうか……?
秋山
とにかくもう無理やり人を詰め込んでいるような状況で、私自身はそういう混沌とした雰囲気もベンチャー企業らしくて嫌いではなかったのですが、物理的にさすがに人が入らなくなりました。会議室も2つしかなく、常に撮影やミーティングで埋まっていて、わざわざ外部のレンタルスペースを借りに行くという非効率なコストも嵩んでいました。そして2025年の夏、もう限界だと感じて、佐藤さんに広さ150坪〜300坪という条件で物件探しを依頼したんです。
想定外の営業赤字と計画縮小の迷い。逆境を乗り越えて貫いた攻めの経営判断
―物件探しを進める途中、非常に苦しい時期もあったとのことですが……。
秋山
そうなんです。内見を進めている真っ最中に、創業以来初めて単月で営業赤字を記録してしまったんです。急激な採用拡大に売上の伸びが一時的に追いつかず、人件費が重くのしかかったことが原因でした。正直、あのときはかなり弱気になってしまって、佐藤さんには「やっぱり半分程度の広さに規模を縮小して家賃を抑えよう」と本気で計画のトーンダウンを相談しました。
HB佐藤
秋山社長から急に「条件を半分に下げたい」というご連絡をいただいたときは、プロジェクトの根幹に関わることなので緊張感が走りました。けれども、Yaahaさんの事業ポテンシャルや当時の採用ペースを見れば、今ここで守りに入って狭いオフィスを選べば、半年後には確実にまたパンクすることは目に見えていました。
秋山
その後、移転プロジェクトを一時休止し、必死で現場に向き合った結果、2か月後には過去最高の黒字を出すことができ、「やっぱり広いところへ行こう」と再決断できました。あのまま弱気になって狭いビルに行っていたら、今頃また移転先を探す羽目になっていたと思います。
経営戦略としての物件選定。120点の条件を形にしたパートナーの執念
―15件以上の内見を社長お一人で回られたそうですが、物件選定の基準はどう定めていましたか。
秋山
オフィス移転は経営戦略そのものです。多数決で決めるようなものではないと考え、私一人で主要なビルを網羅しました。選定の基準は広さ、立地、コスパです。当社の平均年齢は25歳で、採用ターゲットもその世代。その若い世代の優秀な人材を大阪全域から集める必要があります。ですから、立地は、御堂筋線、中央線、四つ橋線が通る交通の要所である本町が良いと考えました。
―最終的にHATARABAをパートナーに選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
秋山
圧倒的なレスポンスの早さと、私が希望していた非現実的とも言える条件を決して否定せず、形にしようとしてくれた執念です。私は「グレードが高く、広くて、かつ格安」という、市場にはまず存在しない120点の条件でした。他社は「さすがにこの条件は難しい」と判断したのか、だんだん連絡が来なくなっていったんですが、佐藤さんだけは違って。最後まで諦めずに、あの手この手で動き続けてくれました。
HB佐藤
秋山社長の理想は確かに高かったのですが、Yaahaさんのような勢いのある企業が入居することは、ビルオーナーにとっても資産価値を高めるメリットになります。そのメリットをオーナーにしっかりご理解いただけるよう粘り強く交渉を重ね、結果として、双方にとって良い形で契約を実現することができました。
ワンフロアに宿る熱量。300名体制の実現に向けた飛躍の拠点
フリースペース側から見たオフィス。カウンターの奥が執務スペース
―新しいオフィスに移ってから、組織にどのような変化がありましたか。
秋山
215坪のワンフロアに全員が揃うことのインパクトは絶大です。以前は入りきらないメンバー30〜40名を徒歩3分の別ビルに逃がしていましたが、それだけで致命的なコミュニケーションエラーが生じていました。今は全員の顔が見えるし、コミュニケーションも気軽に取れる。この物理的な距離と、そこから生まれる熱量が、ショート動画という変化の速い業界で勝ち抜くための最大の強みになっていると思います。
―今後の展望をお聞かせください。
秋山
今期中に170名、近い将来には300名体制を目指しています。この新しいオフィスはフリースペースも含めると240席超のキャパシティがありますが、私たちの成長スピードを考えると、おそらく数年で手狭になるでしょう。そのときはまた佐藤さんに、さらに大きな夢を託せる物件を探してもらいたいです。
―ありがとうございました。
右)HATARABA 佐藤
会社概要
- 企業名
- 株式会社Yaaha
- 移転先
- 大阪府大阪市中央区本町3-4-16 SYNASIA本町ビル11階
- 設立日
- 2021年12月1日
- 従業員数
- 143名 ※アルバイトを含む(2026年6月現在)
- 坪数
- 約215坪
- URL
- https://yaaha.co.jp/
- 取材日
- 2026年6月
取材・文:西川知子 撮影:中畑凛