ファシリティは、現実を変えられる、“手触り”のある仕事。SmartHR・藤野さんが語る「ファシリティというものづくり」

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“はたらく場所の最適化” を目指すHATARABAが運営する、ファシリティマネジメント担当者のための会員制コミュニティ【FMsalon】のインタビュー企画「ZoomUp」。この企画では、ファシリティマネジメントという仕事そのものや、その魅力、面白さについてお話を伺っています。

今回、お話を伺ったのは、SmartHRの藤野さん。前職では営業としてキャリアをスタートし、その後総務へキャリアチェンジ。以降は一貫して総務・ファシリティマネジメントの仕事に携わり、現在のSmartHRは2社目となります。これまでの歩みと、仕事の醍醐味について伺いました。

―藤野さんのお仕事内容についてご紹介ください。

現在は、オフィスファシリティのメイン担当として、レイアウト変更の計画・実行や、ビルオーナーとの契約・調整、施策の企画・運用などの業務を担当しています。

―ファーストキャリアから、総務やファシリティの仕事に就かれていたのでしょうか。

キャリアのスタートはメーカーの営業職でした。仕事に携わる中で「営業はあまり自分に向いていないかも」と感じていた折、入社2年目に会社の大きな体制変更があり総務へ異動になりました。当時は思うような成果も出せていない状況だったので、総務に「拾ってもらった」という感覚でしたね。

異動してすぐ、全国の営業拠点の契約管理を任されたことが、ファシリティマネジメントとの出会いでした。そこから約10年間、ファシリティに関わる業務を中心に、いろいろな経験をさせてもらいました。

その後、2022年4月にSmartHRへ入社し、現在に至ります。

―ファシリティの仕事の面白さを最初に感じたのはいつですか?

前職時代の本社移転プロジェクトです。入居ビル決定から5カ月で移転するという短期間の大規模プロジェクトで、当時はいちメンバーとしての参画でした。

社内外の様々なステークホルダーと議論や調整を重ねながら、限られた期間の中でプロジェクトを完遂できた達成感は大きく、この仕事をきっかけにファシリティマネジメントへの関心が高まりました。

この仕事を機に任せてもらえる領域が広がったこともあり、自分のキャリアのターニングポイントになったと感じています。

―ご入社当時のオフィスの状況と、そこから現在にかけての変化について教えてください。

入社時には、すでに現在のオフィスが完成しており、設計当初のコンセプトに則った維持・管理から仕事をスタートしました。

現在、オフィスを構築してから4〜5年が経ち、会社の成長・組織の拡大に伴って当初のコンセプトと今の働き方との間にズレが生まれ、使われ方や求められる機能も変化しています。

2021年のオフィス完成当時はコロナ禍の影響で在宅ワークが広がっており、その働き方が今も定着しています。現在の平均出社率は約2割ほど。 社員数は当時の4倍以上に増えましたが、結果的に座席数は足りているという状況です。

一方で、会議室不足や音環境の問題など様々な課題が顕在化しています。現在は、働く人の「声」やオフィスの利活用状況を踏まえながら、そういった課題に対処している段階です。

こういった状況の今だからこそ、「オフィスは何のためにあるのか」をあらためて問い直し、再定義する必要があります。経営層を巻き込みながら、働き方や組織の変化に合わせてより良い環境へ整えていかなければなりません。 

オフィスも会社の成長とともにアップデートしていくべき。 “働きやすさ”からもう一歩踏み込み、“働きがい”を後押しできる場にしていきたいと考えています。

―これまでに、実現できた取り組みについて教えてください。

ハード面では、ニーズを踏まえた会議室の家具変更・Web打ち合わせ用ブースの増設といった施策を行いました。

ソフト面では生成AIがホットな話題ですね。AIを総務でも活用していこうということで、ファシリティ領域への展開も日々模索しています。なかでも、会議室の利用状況を可視化する「会議室マップ」を内製で作れたことは良い体験でした。

会議室が埋まっていて予約が取れない、予約されているのに使われていない「空予約」といった”会議室あるある”を解決するために、まずやるべきことは使われ方をきちんと把握することでした。そこで、「マップ上で会議室の状況をリアルタイム表示できたら便利なのでは?」というアイデアをもとにAIとの会話を重ね、GoogleスライドとGAS(Google Apps Script)を組み合わせることで、実用に足るものが出来上がりました。自前である程度の品質までやれることがわかったのは自信にもつながりましたし、シンプルにやってて楽しかったですね。

さらに市販の人感センサーを設置して利用実態を把握できるようにしました。こうしてデータを“見える化”することで、まずは利用者の行動変容を促すことが目的です。今後は、そのデータをもとに会議室数や部屋の種類の最適化を進めていきたいと考えています。

詳しくは、弊社総務のnoteでも紹介しています。
総務がAIを使ったら、簡単に「会議室マップ」をつくれてしまった話
総務がAIを使って、会議室の「リアルタイム利用状況」を見える化した話

会議室マップは、オフィス内のサイネージにも表示されています

―プロジェクトを進めるうえで意識していることを教えてください。

社内ではオンラインコミュニケーションが活発で、日常的に情報共有や意見交換が行われています。そのなかで、オンライン上で意見を気軽に届けられる“目安箱”のような仕組みを設けています。組織が大きくなっても、働く人の「声」が入ってきやすい状態を担保し、それを起点にファシリティ課題の改善・解消につなげていくことが目的です。

自分の中でいま大事にしているのは、「正しさ」との向き合い方です。

自分の「善い」と思うことをそのまま押し付けようとせず、会社やチームにとっての「正しさ」を対話や議論の中で見つけていくこと。組織が大きくなって感覚のズレが生まれやすくなるからこそ、「正しさ」を自分で決めつけないことが大切だと感じています。

―藤野さんにとって、ファシリティマネジメントの仕事の楽しさはどこにありますか。

”手触り”のある仕事ができることです。

自分がIT企業に身を置いているからこそなのかもしれませんが、リアルな環境を変えられることに面白さを感じています。レイアウトや家具など、働く人が実際に使う場を通じて人の行動に影響を与えられる。そのリアクションを感じられることが、仕事の実感につながっています。

オフィスについて考えることは、人について考えること。

だからこそ飽きることがありません。

―考えることが好きなんですね。

好きですね。

最近は「オフィスは非効率な営みを受け入れるための場ではないか」と考えています。短期目線の効率だけを追求すれば、極論オフィスは不要かもしれません。でも、一見それとは結びつかないような非効率な営みの中にこそ、偶発性や余白といった人間らしい価値や、長期目線での成果につながる大きなパワー、そういったものが生まれるポテンシャルがある。

「生産性」という言葉が呪文のように飛び交い、AIによる業務の効率化が進む今だからこそ、あえて“合理的な非効率”に目を向けたい、そしてオフィスはそれを受け入れられる場なのでは、と思っています。

―最後に、藤野さんにとって「ファシリティマネジメント」とは何ですか。

難しい質問ですね(笑)。

ものづくりに近い仕事だと思います。作っていく面白さが絶対にある、手触り感のある仕事。

私はプライベートで音楽(ドラム)もしているのですが、「非効率」や「手触り感」については、オフィスやファシリティマネジメントにも通じる部分がある気がしています。

大変なこと・思うようにいかないことは多いけれど、そのような感覚があるから面白がって続けていられるのかもしれません。

人やものについて考え、現実を変えていく——。そういった“ものづくりの感覚”を味わえるのが、ファシリティマネジメントの面白さだと思っています。

オフィスはどんな場であるべきか、という問いに対する「正しさ」は会社や組織によって異なると思います。ファシリティマネジメントに携わる方々は、ぜひオフィスの可能性を拡張していってほしいです。そしてぜひ、FMsalonの時に見学させてください(笑)。

―藤野さん、ありがとうございました!

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