「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、生活者向けの症状検索エンジン「ユビー」、医療機関向けのサービス「ユビーメディカルナビ」を展開しているUbie株式会社。会社の規模が拡大するにつれ、ビル内にオフィスが点在。組織運営に限界を感じていたといいます。
前オフィスビルの契約満了を機に、コミュニケーションに重きを置いたオフィス作りに着手。創業地であり、ヘルスケアスタートアップが多い日本橋エリアでの物件探しをお手伝いいたしました。
同社の総務を担当し、本移転プロジェクトをリードした相澤様に、同社の働き方やオフィス移転プロジェクトについてお聞きしました。(以下、敬称略)
背景・課題
- ・規模拡大に伴い繰り返した増床。組織運営面からも限界に
- ・更なる事業成長を目指すには組織間コミュニケーションが必須
- ・創業地かつヘルスケアの集積拠点である日本橋エリアでの物件探し
ポイント
- ・組織ごとに物理的に集まれるスペースの確保と拡張性を見越したオフィス
- ・コミュニケーションスペースの設計はあえて各組織へ
- ・黎明期から知るパートナー。物件ニーズへの共通理解があった
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旧オフィスビルの契約満了を機に、オフィス移転プロジェクトを発足
――相澤様の業務内容、今回の移転で担われた役割についてお聞かせください。
相澤
2021年の冬に弊社の1人目の専任総務として入社しました。当時の弊社はまだまだカオスな状態でして、社内ルール作りなど、総務としての仕事の整理を手掛けていたのですが、2022年に入ってすぐにオフィス移転プロジェクトがスタート。そのプロジェクトのリードをしています。
弊社のバックオフィスは階層式の組織ではなく、役職名はありません。何かプロジェクトがあるときに、メンバーがリードという形で引っ張っていくスタイルで、私はいわゆる総務のメンバーとして、オフィス移転のリードをしたという形です。
――働き方、オフィスの使い方についてご紹介ください。
相澤
管理部門組織のUbie Corporate(現Ubie Accelerator)、プロダクト & 事業開発組織Ubie Discovery(現Ubie Product Platform)、医療機関向け事業 スケール&サクセス組織のUbie Customer Science、製薬事業 コンサルティング&ソリューション組織のUbie Pharma Innovationと4つの組織に分かれておりまして、働き方は組織によって異なります。
基本は出社・リモートワークのハイブリッドで、組織にもよりますが「月に1回や3ヵ月に1回はオフィスで物理的なコミュニケーションを取りましょう」という感じですね。全社ミーティングもオフィス出社を推奨しています。
とはいえ、移転前のオフィスはかなり手狭だったため、全員が一堂に会するのは難しかったという現実もありました。
――オフィス移転プロジェクトが立ち上がったのは、フロアのキャパシティが理由だったのでしょうか。
相澤
そうですね。事業の成長に合わせて人員が増えた結果のオフィスのキャパシティ不足が大きな理由です。
前のオフィスはアクセスも良く、賃料もリーズナブルだったので、できれば可能な限り入居し続けたいというのが本音でしたが、従業員が増えるにつれ、積み木のようにあちこちのフロアを重ねて借りている状況に、組織運営的に限界があるとも感じていました。
居抜きで借りたため、壁が立っている箇所もあり、思うようなフロア設計もできない状況だったんです。これは契約満了を機に次のステップにいくべきだなというのが会社としての判断でした。
創業地・日本橋にこだわった物件探し
――移転に当たって、優先された要素についてお聞かせください。
相澤
まず強い思いがあったのは、「コミュニケーションを取れるスペースを設ける」ということでした。これまで、弊社では組織間コミュニケーションをあえて取らない運営をしておりまして、それぞれが自分たちの業務に集中することに重きを置いてきました。Slackのワークスペースも別にしていたくらいなんですよ。
しかし、従業員数が200人を超えてきたこれからは組織間コミュニケーションも一定重要だと考え、新オフィスでは横断的なコミュニケーションの取りやすさを考慮しました。
弊社:長倉
日本橋というエリアも重視されていましたよね。
相澤
そうですね。日本橋は弊社創業地であり、製薬会社が多いエリアです。ヘルスケア関係のスタートアップが集っているという特徴もあり、その地の利は移転後も活かしたいという譲れない思いがありました。
――今回の物件選び、担当とのやり取りのご感想をお聞かせください。
相澤
私はお付き合いとしては1年弱になりますが、もともと御社とはかなり前からの付き合いだと聞いています。
弊社:長倉
そうですね。初めてお伺いしたのは5~6名規模、30坪50坪くらいの時代でした。その際の移転はすでに決まってしまっていたため、その次の移転からお付き合いをいただいています。
相澤
まさに黎明期から知っていただいているため、弊社のことをイチから説明する必要なく理解していただいています。どのような物件を求めているかもスムーズに共有できたため、今回も大変助かりました。
弊社:長倉
10数件は物件を見に行きましたね。日本橋エリアにこだわりがおありであることは前提の上、新富町など日本橋以外のエリアの物件もご紹介しています。その上で、「やはり日本橋エリアが適している」と最終判断をいただきました。
――現在のオフィスの決め手は何でしょうか。
相澤
バランスの良さですね。日本橋エリアにありながら複数の駅を利用できること、広さ、フロアの拡張性の3点が決め手でした。
――移転プロジェクトにおいて難しかった点はどこですか?
相澤
先ほどもご説明したように、弊社コーポレート部門は階層式の組織ではありません。そのため、部長が許可を出して押印すれば次に進めるという一般的な流れでは、情報が正しく伝わっていかないのです。横並びのチーム内に情報を提供し、順々に決めていかなければならないのは、今の弊社の規模ではなかなか骨が折れることだったなと思います。
弊社:長倉
プロジェクトを進める上で、相澤様が社内調整に苦戦されている様子はこちらにも伝わっていました。
正しい情報を必要な方々へ必要なタイミングでお伝えし、都度承認を取りながら進めていくというのは、非常に骨の折れる事だったと推測します。
社内の方々と上手にコミュニケーションを重ね、従業員の方も巻き込みつつ、それぞれが自分事としてオフィス作り、組織作りに関わっていることが感じられる、見事な立ち回りだったと思います。
相澤
この規模での移転は最終的な決裁権を持つ代表も初めての経験でしたからね。物件選定においては、社内プレゼン用の資料や比較表を作って決めていきました。長倉さんたちには数字面の情報をまとめていただくなど、かなり手伝っていただき、助けられました。
物件を決めてからのオフィス作りに関しても社内メンバーに要望を聞いていったのですが、寄せられたものがマストなものから理想的なものまで本当にさまざまで。「ダーツを置きたい」「どこでもドアを置いてほしい」など、かなりユニークなものもありました(笑)。それら1つ1つの要望すべてに返答し、進めていきました。
そのような雑談に潜在的なニーズがあると考えたため、各組織のスペースにコミュニケーションスペースを設置し、その設計は各組織に任せました。こちらが担当したのは消防法の観点や、衛生観点、そのほか安全性の確保くらいで、組織によってはカードゲームエリアを作ったり、ミーティングエリアを拡張したり、時計や家具を選定したりと、自由にスペースを作っています。
相澤
コミュニケーションスペース以外の部分については、事業拡大の際の拡張性をかなり意識しました。床面の配線はやり直さないで済むように事前に引いておき、壁をあえて増やさず、机をすぐに増やせるような状況を維持しています。また、購入する家具は腰のラインくらいまでの高さのものにし、背を超える高さのものは買わない判断もしました。大きなものは動かすのが大変ですから。
――あらためて、弊社の対応についてご感想をお聞かせください。
相澤
前オフィスビルの契約満了時期が決まっていた上、可能であればできるだけ早く移転先に入りたいという弊社の希望に対し、真摯に対応いただきました。早く対応いただける内装会社もご紹介いただき、感謝しています。次の移転でも、弊社の情報をキャッチアップしていただき、スピード感についてきていただけると嬉しいです。
弊社:長倉
ありがとうございます。終盤は夜遅くに連絡を取り合ったこともありました。こちらこそ、密に連携させていただき感謝しています。今後もコミュニケーションラインを途絶えさせることなく、お力になれる情報提供ができるよう尽力いたします。
地に足をつけ、事業にしっかり目を向けている環境作りを
――移転後の反響はいかがですか?
相澤
「随分、整理されたね」と言われますね(笑)。従業員からの問い合わせも思っていた以上に少なく、わかりやすい動線を作れたのかなと思っています。新オフィスを使い始めてから「Web商談場所がもっと必要だ」と意見をもらい、場所を用意するといった対応もしました。このように、今後も意見が出てくれば、可能な限り反映させていきたいと思っています。
――FMサロンにもご参加いただきましたが、今回のオフィス作りのお役に立ちましたか?
相澤
総務の交流の場は貴重なので、とてもありがたいなと思いました。株式会社メルカリのオフィスを見学したのですが、ゴミ捨てエリアが集約されている理由が「移動によるコミュニケーション機会の創出」だとお聞きし、なるほどなと。弊社の新オフィスにも一部採り入れています。従業員にもゴミ箱削減の理由を説明することで納得してもらえました。
【FMサロンイベントレポート】新たな価値を生みだすメルカリの新オフィス。
――今後の展望についてお聞かせください。
相澤
弊社は事業成長中で、今は地に足をしっかり付けているフェーズです。移転プロジェクトチームでは、裏テーマとして「質実剛健」を掲げていました。ふわふわしないよう足をしっかりつけ、事業に目を向けていける環境作りが、今やりたいことですね。
会社概要
- 会社名
- Ubie株式会社
- 移転先
- 東京都中央区日本橋堀留町二丁目4番3号
日本橋堀留町2丁目ビル 6F - 従業員数
- 200名 (2022年4月現在)
- 企業URL
- https://ubie.life/
- 取材
- 2023年5月
取材・文:卯岡 若菜 撮影:原 哲也