製造業や、水道やガス・電気など重要インフラのオペレーションテクノロジー(OT)領域に向けたサイバーセキュリティ製品を提供しているTXOne Networks Japan合同会社。日本法人の本社オフィスを虎ノ門ヒルズステーションタワーに設けました。物件のご提案、内装会社を決めるコンペの支援を株式会社HATARABAが行いました。オフィス移転をご担当された日本法人の代表執行役員社長 近藤様、業務執行役員 ビジネス戦略担当 兼マーケティング本部長の今野様にお話を伺いました。(以下敬称略)
背景・課題
- ・サービス内容を伝えられる「イノベーションハブ」スペースを設けたい
- ・お客様やパートナー企業とのコラボレーションを促進したい
- ・象徴的なビルへの入居を希望していた
ポイント
- ・オープンスペースをTXOne Innovation Hubとし、デモスペースを用意
- ・東京タワーを望む虎ノ門ヒルズステーションタワーの物件に入居
サービス・ソリューションについて伝えられる場を設けたい
貴社の事業についてご紹介ください。
今野
製造業や、水道やガス・電気など重要インフラのオペレーションテクノロジー(OT)領域に対し、サイバーセキュリティ製品を提供しています。台湾に本社がある日本法人で、日本法人の設立は2022年4月、会議室1室からスタートし、WeWorkを経て今回の新オフィスとなります。
今回の移転理由についてお聞かせください。

TXOne Networks Japan 合同会社 代表執行役員社長 近藤様
近藤
WeWorkの契約期間が2年だったことから、次のステップをどうするのか検討していまして、台湾本社側とも話をしていました。そこで話題に上ったのが、今後の市場についてでした。OTのセキュリティは今後さらに重要性が高まる領域ですので、我々は非常に重要なことをやっているといえるのですが、理解してもらいづらい事業なんですね。どういった事業をやっているのかをわかっていただくためには、サービスやソリューションが目に見える、「イノベーションハブ」と呼ばれるような施設が必要だと考えました。
イノベーションハブの必要性を信じられるきっかけとなったのが、1年半前に新しく作った台湾オフィスです。台湾オフィスにはお客様にソリューションのイメージを伝えられる場があり、非常にわかりやすいなと感じたんですね。来社されたお客様とも良いディスカッションが行われていて、日本オフィスにもこうした場を設けたいというのが移転の大きな決め手です。WeWorkの契約期間が残り1年となったタイミングで、具体的に動き出しました。
HATARABAとの出会いのきっかけは何だったのでしょうか。
HB西川
PR TIMESで御社の資金調達リリースを拝見し、HATARABAから電話をいたしました。そこから今野様におつなぎいただきました。
今野
ちょうど内見し始めた時期でして、「WeWorkを特別価格で契約できます!」とおっしゃられたんですよね。正直なところ、怪しい電話だなと思いました(笑)。
近藤
冗談かと思いましたよね(笑)。

TXOne Networks Japan 合同会社 業務執行役員 ビジネス戦略担当 兼マーケティング本部長 今野様
今野
オフィスの選び方や業界用語をイチから教えていただけたのがありがたかったですね。初期メンバーは5人ほどで、人事やオフィスマネージャーもいない時期でしたから、オフィスについて知識のある人間がいなかったのです。オフィスに関して何かあれば相談できるパートナーがいることは大変心強く、今回も引き続き相談したいと思いました。
近藤
HATARABAさんはチームの一員としていてくださる印象があり、今回の移転に際して、他社に変更する、比較検討するといったことは特に考えませんでした。自然に相談できる関係性を築けていて、今回も親身にしていただいたと感じています。
虎ノ門ヒルズステーションタワーの物件に決めるまでの流れ、HATARABAの提案や支援について振り返っていただけますか。
近藤
もちろん金額も考えなければならないのが現実ではあるのですが、金額以前にインパクトのある物件に入るようCEOから指示を受けていました。その国ごとに、イメージに合った場所にオフィスを構えるようにしているんです。

HATARABA西川
HB西川
フラッグシップになるようないいビルをご希望でしたよね。内見されたのは、虎ノ門ヒルズステーションタワーと渋谷タワーの2件でした。
近藤
渋谷も新しいインパクトがあるという意味では悪くはありませんでした。オフィスフロアだけを見れば、むしろあちらのほうが良かった部分もあるかもしれませんが、会社として合うのは虎ノ門エリアかなと判断しました。
虎ノ門エリアはエンタープライズが本社を構えるビジネスの中心地の1つであり、オフィス移転をする土地としてニュース性もあります。あとはオフィスから東京タワーが見えること。オフィスから見える景色もコンセプトとして重視していたポイントだったんです。

今野
HATARABAさんにお願いして助かったなと思ったのは、英語での資料作成です。おかげで、本社に対してスムーズに説明できました。
HB西川
今野様からご要望を受けて作成いたしました。外資のお客様も担当していますが、英語の資料を求められる機会はあまりないので、貴重な経験でした。
今野
B工事やC工事など、不動産業界ならではの専門用語を適切に英訳することは素人には難しいので、本当に助かりました。
HB西川
ステーションタワーは稼働率が高く、あまり空きがないなかで、ご希望されたこのビルの契約を取れて良かったなとも思っています。分割区画を取るのが結構難しいんですよ。
近藤
本当によく空いていましたよね。
HB西川
ビル側と良い関係性を築けているため、ざっくばらんにお話できたのが大きかったです。今野様から「ステーションタワーがいいかもしれない」とご連絡をいただいた時点で森ビルさんにお話をしました。デベロッパーのパートナー選びも非常に重要だとあらためて感じています。
コンペサービスを活用し、内装業者を決定
内装づくりに関してはいかがでしょうか。
近藤
HATARABAさんに内装会社を紹介していただき、コンペを行いました。
HB西川
弊社のオフィス移転コンサルティングの一環として提供している、コンペのサービスをご利用いただきました。お客様にとってよりよい内装構築のパートナーをご紹介することはもちろんですが、同時にお客様の工数削減も担っています。内装会社からの問い合わせ対応の代理や、業者との調整や連絡窓口を弊社の担当者が担い、今野様や近藤様は弊社担当者とのみやり取りすればOKという形です。
近藤
業者とのやり取りを一手に引き受けていただけるので、非常に助かりました。
HB西川
そう言っていただけて光栄です。選ばれた内装会社さんは、ご提案内容がダントツに良かったとお聞きしています。
近藤
コンセプトが良かったですね。弊社がイメージしているイノベーションハブに近く、ニーズをきちんと落とし込んでいただいている提案でした。他の案はニュース性が感じられませんでしたね。
今野
内装作りにあたっては、コストの制約が1つの課題となるなか、少しでも良いオフィスにできるよう尽力しました。コスト面ばかり考えて素材やデザインを決めていくと、見た目のクオリティが著しく下がってしまいます。イメージをパースに落として伝えることで、抑えるところとこだわるところを決めていきました。イノベーションハブにあるデモスペースは、裏側からメンテナンスできるような工夫も行っています。

アール型にこだわったエントランス

TXOne Innovation Hub

右側の壁は開閉式で、デモ機器のメンテナンスができる仕組み
近藤
執務室は、コミュニケーションが取れるよう、さまざまなタイプの椅子や机を用意しました。契約期間である5年は入居し続けると仮定すると、今後ますます席が増えていきます。オフィス内に人が集まれるような場所を設けることも意識したポイントです。




移転後の反響はいかがですか?
近藤
イノベーションハブの反響がいいですね。これまでは展示会でしか見られなかったデモをいつでも見られるようになったため、パートナー企業の方からも「使わせてほしい」と打診を受けており、「自分たちのイベントで使ってもらって構わない」とお伝えしています。企画の共催など、協業的な話も出てきていますね。
WeWorkではデモはできませんし、会議室の使用に関しても自社オフィスほど自由に使えるわけではありません。自社オフィスに移転したことで、お客様を呼びやすくなったと感じています。
今野
イノベーションハブの壁面には、弊社のマスコットキャラクターであるグリフォンを描きました。おかげで、インパクトのある空間になったと感じています。

次のステップは地域拠点作り
オフィスに関する今後の展望をお聞かせください。
近藤
このオフィスを構えたのは第一段階であり、地域拠点をどう作っていくのかが次のステップになります。その流れで、日本本社がどうあるべきなのかを考える必要があるでしょう。森ビルは3年経てば別の森ビルとも契約ができるのがメリットなので、成長スピードによっては拠点を増やすこともできます。3年経ったタイミングで、状況を振り返りながら次の計画を立てていきたいです。
今野
お客様、パートナー、業界団体とのコラボレーションを生むためにTXOne Innovation Hubと名付けました。半導体や自動車産業などは、政府も後押ししている日本経済を支える基盤となる産業です。我々はサイバーセキュリティという領域でその日本経済を支えていけるような存在を目指しています。TXOne Innovation Hubを使い、微力ながらも経済推進に貢献できる会社を目指していきたいです。
最後に、HATARABAへのご感想をお寄せください。

今野
協力して我々のために尽力してくださる様子が印象的でした。西川さんは駆け引きをしない、いい意味でコミュニケーションに裏表のない方だと感じています。こちらのメールに対して必要であれば電話でフォローしてくださるなど、丁寧かつこまめな連絡をしていただきました。ありがとうございました。

近藤
今回の移転で他社比較をしなかったのは、それぐらい自然な関係性を弊社と築けていただいていたからなのかなと思います。本来はビジネスライクな感じがあるのがふつうですが、そういった感じを一切受けなかったんですね。フランクに接していただけるのが、弊社にとっては非常に良かった。
持ってきてくださる案も直球勝負で、そこが付き合いやすく良かった点だなと。まだまだお若いですから、どうぞその気持ちを忘れずに年を重ねていってほしいです。地域拠点の話もありますので、ぜひいろいろな提案や情報を持ってきていただけるとうれしいですね。

HB西川
近藤様がおっしゃられたように、私の営業スタイルはお客様の年齢を問わず、私服でフランクに真っ向勝負で、それが取り柄だと思っています。近藤様も今野様も素晴らしい実績と経歴の持ち主でいらっしゃるのですが、そういった方が相手でもお会いしたときはラフなスタイルでお話いたしました。不動産分野の知識に関してはこちらがプロであり、しっかりストーリー立てて伝わるような提案を心がけました。インプットしようという姿勢でお聞きくださり、感謝しています。
あとはやはり、二人三脚でこのビルの入居に至れたのが大きなポイントでしたね。我々としても感謝してもし切れないです。今後も、ぜひよろしくお願いいたします。
会社概要
- 会社名
- TXOne Networks Japan合同会社
- 移転先
- 東京都港区虎ノ門2丁目6-1虎ノ門ヒルズステーションタワー32階
- 設立
- 2022年4月15日
- 移転後坪数
- 約230坪
- 企業URL
- https://www.txone.com/ja/
- 取材
- 2024年12月
取材・文:卯岡 若菜 撮影:竹井 美砂子