顧客起点で営業やマーケティング活動を戦略的に自動化する新しい成長モデル「インテントセールス」を国内で初めて実現するSaaS『Sales Marker(セールスマーカー)』を開発、提供する株式会社Sales Marker。長らくシェアオフィスを拠点としていましたが、企業の成長、社員数の増加を受け、恵比寿ガーデンプレイスタワーにオフィスを移転されました。
本移転の物件提案、移転完了までを株式会社HATARABAがサポートいたしました。オフィス移転プロジェクトに携われた陳さん、岡さん、髙橋さんにお話を伺いました。(以下、敬称略)
背景・課題
- 急激な成長により、オフィスの規模拡大が必要に
- シェアオフィスでは会議室の手配が難しくなっていた
- コミュニケーションの活性化、カルチャー醸成のことを考えると、そろそろ専用オフィスを設けても良い段階に達していた
ポイント
- 居抜き物件を選ぶことで、移転までのスピードを短縮&コストを抑制
- オープンスペースを設けることで、社内外向けのイベントを開くハードルを低減
- ランドマークタワーに移転できたことで、顧客企業からの印象がアップ。信頼性の向上につながった
会社の成長に伴い、初の専用オフィスへの移転を決断
御社についてご紹介ください。
陳
主にインテントセールスという新しい成長モデルを実現するSaaS「Sales Marker(セールスマーカー)」を開発・展開しています。当社は「全ての人と企業が、既存の枠を越えて挑戦できる世界を創る」というパーパスを掲げており、企業の売り上げを延ばし、持続的な事業成長に寄与することを目指しています。現在では営業のみならず、マーケティング・採用領域などにおいても「インテント×AI」のソリューションを用いたプロダクトを複数開発・展開しており、今年の7月には人の“インテント(意図・関心)”を起点に複数のAI、および社内外の情報ソースを統合し、経営・事業成長の戦略立案から実行までを一貫して支援するマルチAIエージェント「Orcha(オルカ)」を新しくリリースしました。
お三方の自己紹介もお願いいたします。オフィス構築、運用への関わり方についてもご紹介ください。
株式会社Sales Marker 取締役 CTO 陳さん
陳
創業時からCTOを務めており、エンジニアリングという作る部分だけではなく、取締役として、経営戦略や事業戦略にも携わっています。弊社にはコーポレート本部という部署があるのですが、いわゆる総務周りの仕事はCTO室に含まれています。そのため、オフィスDXも移転も、私がずっと統括しています。不動産が個人的にずっと好きで、役員陣で1番私が詳しかったこと、テクノロジーに詳しい人間がやるほうが意思決定が早いという観点から、ずっと私が担当しています。
株式会社Sales Marker CDO 岡さん
岡
CDO(チーフデザインオフィサー)の岡です。ふだんはプロダクトのUIUXデザイン、展示会や名刺といったブランドマーケティングに関わる本部全体を統括しています。前職でもオフィス移転に関わっていた経験がありまして、今回のオフィス移転プロジェクトでもチームのメンバーとして、主にオフィスの内装施工に関わる空間デザインを担当しました。
株式会社Sales Marker CTO室 カルチャー&コミュニケーション部 髙橋さん
髙橋
CTO室のカルチャー&コミュニケーション部に所属していまして、陳の秘書として働いています。オフィス移転プロジェクトでは、主に事務周りを担当していました。
これまでのオフィス遍歴についてご紹介ください。
陳
会社として5期目で、オフィス移転は4回目となります。創業当初は役員4名のみだったため、物理的なオフィスは設けず、バーチャルオフィスを契約して郵便物を受け取る場所として活用していました。
その後、正社員を採用し始めたタイミングで、週に一度専用のワークスペースを確保できるシェアオフィスへと移行。そこからさらに人数が増え、WeWorkに入居をしていました。人数の増加に伴い、半年に1度はWeWork内での拡張移転をし、当初23人部屋だったのが、最後には60人部屋の規模まで拡大。
そして今回、さらなる事業拡大と組織体制の強化を目指し、専用オフィスへの移転を決定しました。
では、今回のご移転も人数増による規模拡大が理由だったのでしょうか。
陳
そうではあるのですが、今回の移転は決して急いだものではありませんでした。実際、WeWork内で100人部屋への拡張移転の検討も進めていました。ただ、社員数が急増する中で、WeWorkではコスト面の課題が顕在化し、特に会議室不足が深刻化していました。オンライン商談が多い弊社にとって、会議室がないからとオープンスペースで機密性の高い内容を話すのはセキュリティ上の大きな問題です。この状況が、専用オフィスへの移行を考える大きなきっかけとなりました。
弊社は、総務を担う部署を「カルチャー&コミュニケーション」と名付けている通り、オフィスをコミュニケーションを形成する重要な場と位置付けています。専用オフィスであれば、社内外向けのイベントを自由度高く企画・開催できるなど、カルチャー醸成とコミュニケーションの活性化においてメリットが大きいと判断しました。
当初は、100人部屋への拡張移転をした後の次のステップという長期的なイメージで、2024年の春頃から物件探しを始めたという経緯があります。
コストを抑えられる居抜き物件という選択
HATARABAとの出会いのきっかけは、何だったのでしょうか。
HB常世田
2023年5月頃にあったイベントがきっかけでした。私が参加していて、代表の小笠原さんにお会いしました。その後、また別のイベントで陳さんにお会いし、「候補物件をお送りします」とお伝えしました。
HATARABA 須藤
HB須藤
ただ、このときはWeWorkへのご移転が決まっていらっしゃったんです。それでも、「いつかご移転のサポートをしたい」という強い想いがあり、定期的に連絡を取らせていただいていました。
HB常世田
そして、イベントがある際には足を運ばせていただいていました。
陳
お話を聞いてみようと思ったときも、「絶対に外にオフィスを構える」という強い決意があったわけではありませんでした。むしろ「いい機会や提案があれば」というスタンスで、HATARABAさん以外の仲介会社ともゆるやかに情報交換をしていました。
その中でHATARABAさんにお願いすることになったのは、主に二つの理由からです。一つは、非常に熱烈にご連絡をいただいていたこと。そしてもう一つは、弊社のニーズに真摯に向き合い、質の高い物件をご紹介くださる会社だと感じたからです。これが、本格的に専用オフィスへの移転を検討するきっかけとなりました。
当時、どのようなニーズがあったのでしょうか。
HB須藤
当初、御社からいただいたご要望は面積ぐらいでしたよね。エリアについても特定の指定はありませんでした。
陳
出社率の平均が40%なので、それぐらいのキャパシティを考えていました。
HB常世田
あと「居抜き物件が望ましい」というご要望をいただいていました。詳しくニーズを伺う中で、まさにこのタイミングでの内装費への大規模な投資は避けるべきだと判断し、居抜き物件に絞ってご紹介しました。
御社の急成長のフェーズを考えたとき、まずは移転スピードの短縮とコストの抑制を最優先すべきであり、内装にこだわるのは時期尚早だと考えたためです。結果として、この方針が功を奏し、ほぼピンポイントで「恵比寿ガーデンプレイスタワー」にご決定いただけた形となりました。
陳
そうですね。この物件をご提案いただけたからこそ移転したといっても過言ではないと思います。
岡
内見は新築物件から居抜きまでさまざまな物件に行かせていただいたのですが、WeWorkがきれいなこともあり、築年数が古い物件だとグレードダウンに感じてしまうなど、なかなか選ぶのが難しかったですよね。
陳
ご紹介いただいたこちらの物件は、立地もビルのグレードも申し分なく、内装が整っているだけでなく、什器をある程度残していただける点も大きな魅力でした。
私たちは長年シェアオフィスを渡り歩いてきたため、自社で保有する什器や家具がほとんどありません。極端な話、この居抜き物件なら手ぶらで入居し、翌日から業務を始められるという点が、私たちの状況に完璧に合致していました。
さらに、セキュリティ面でも安心して利用できることが確認できたため、迷いはありませんでした。「もうここしかない」と即断できた物件です。
岡
あと、居抜きでなければこのスピード感で移転を完了できなかったとも思います。
HB須藤
ご連絡をした際の返信のスピードが、こちらの物件だけ明確に速かった印象がありました。西側エリアにオフィスのあるお客様が多い我々の強みを活かせたかなと。
HB常世田
他の物件をご紹介する際は、単に情報をお送りするだけに留まっていました。しかし、この物件を提案した直後は、「返信がきた!」と盛り上がっていたんです。特に、Slackでやり取りさせていただけるようになってからは、メッセージ入力中の表示が出るたびに「もうすぐ返信がくる!」と盛り上がったこともありました(笑)。
陳
私のほうでも、お二人の常に迅速なご返信には驚いており、「大丈夫だろうか」と心配になるほどでした。というのも、どうしても私からの内容確認が夜遅くや早朝になってしまうことがあったにもかかわらず、いつもすぐにご対応いただけたからです。
HB須藤
お気遣いありがとうございます。私たちはそれを強みとさせていただいております。
HB常世田
でも、髙橋さんもレスが本当に早くて助かっていました。
髙橋
陳が確認すべき連絡を漏れなくチェックできるよう、拾って渡すことが私の役目なので、すぐ対応するようにしていました。
陳
秘書がピックアップしてくれたものを見るようにしているので、スムーズなやり取りができたのは髙橋のおかげでもあります。
物件をお決めになられたあとの流れはいかがでしたか?
岡
居抜きではあるものの、エントランスを作る必要がありました。
新設したエントランス。シックで落ち着いた印象
岡
あとは執務室との間に壁を設け、来客用の会議室を設けることですね。手を加えたのは、本当にその程度です。コスト低減のために居抜きを選んでいるので、基本的にはそのまま使っています。HATARABAさんには、施工会社のご紹介もしていただきまして、非常に助かりました。仲介会社さんでそこまでやってくださる会社さんがあるんだなと。ありがたかったです。
HB常世田
とても素敵なエントランスに仕上がっております!
HB須藤
エントランスに行き着くまでの廊下の壁面も良かったですね。
岡
エレベーターを降りてからエントランスまでの長い導線を、単なる移動時間で終わらせたくないという思いがありました。そこで、訪れる方に楽しんでいただく工夫として、壁面に弊社の成長の歴史を記しました。褒めていただいて嬉しいです。
壁には会社の歴史が記されている
新オフィスの反響はいかがでしょうか。
岡
立地もいいですし、反応は上々ですよね。
陳
恵比寿ガーデンプレイスタワーというランドマークに移転できたことは、社員のモチベーション向上にもつながっています。お子様がいらっしゃる社員からは、「休日に『お父さん、お母さんはここで働いているんだよ』と話すことができた」など、社内からの喜びの声も届いています。
また、恵比寿駅から外に出ることなくアクセスでき、山手線沿線であるため、全社員にとっての利便性が大幅に改善されました。
さらに、今回の移転を通じて、オフィスを構えるビルが企業イメージに与える影響の大きさを改めて実感しました。ご来社いただいたお客様から「さすがですね」といった好意的なご意見をいただくなど、外部からの信頼性の向上に繋がっています。
HB須藤
一定のデベロッパーのビルは、それ自体が企業の信頼性を示す一種のステータスになっています。「このビルに入居できる会社なんだ」と外部から評価されるため、企業の格付けや信頼度の指標として捉えられる側面があるんですよね。
髙橋
私はお客様をご案内することが多いのですが、「これほど素敵なエントランスは初めて見た」といったお褒めの言葉をいただくことがあり、大変嬉しく思っています。また、広々としたカフェスペースを設けたことで、社外の方を招いたイベントやセミナーを自由に開催できるようになりました。この広さを喜んでいただけている点も大きなメリットです。
外部のイベントスペースを借りる必要がなくなり出費が抑えられたことで、社員も企画しやすくなったと感じています。現在、月に3回はイベントが開催されるなど、コミュニケーションの活性化に大きく寄与しています。
陳
そうですね。毎週のように何かしら開かれています。
広々としたカフェスペース。休憩やイベントの実施など汎用性の高い空間
社員が主体的に出社する、社内カルチャーの強化につながるオフィスづくりを
オフィスや働き方に関する今後の展望をお聞かせください。
髙橋
カフェスペースも完成したので、このスペースを使った出社したいと思ってもらえるような施策を打っていきたいです。スクリーンを下ろせるので、映画パーティーなんかができたらなと思っています。
陳
必ずしも出社しなければ働けないわけではないこの時代に、「なぜオフィスを構えるのか」はカルチャーづくりやコミュニケーションの活性化を図るためだと考えています。部署内や部門間でのコミュニケーションを活性化させ、自由な発想を促したかったんですね。そのため、出社は必須ではないものの、週に1回は来てもらえたら嬉しいですし、月に1度は全社会も行っています。
しかし、私たちは社員に義務感から出社してほしいわけではありません。 「言われたから行く」という姿勢では、コミュニケーションが前向きに取られず、働くためだけの場所になってしまいかねないからです。
目指すのは、社員が主体的に「オフィスに行きたいから行く」「コミュニケーションを取りたいから行く」と思えるきっかけづくりです。オフィスを単なる「働く場」ではなく、「仲間がいるから話に行きたい、一緒に働きたい」と思える「選ばれる場所」にしていかなければなりません。
今後事業がさらに成長し、このオフィスも手狭になる日が必ず来ます。その際、組織の規模が拡大しても、社員一人ひとりの帰属意識を高く保つことが重要です。強いカルチャーを維持し、組織作りを進める上で、このオフィスをその中核となる拠点として最大限に活用したいと考えています。
岡
施工のテーマは「成長」で、モチーフが矢印でした。出社してもらうことで会話をし、ふだん業務で接することのない人とも話すことで、人は成長していくのではないかと思っています。個々の成長は、事業の成長に紐づくでしょう。成長を軸にコミュニケーションをもっと活性化していきたいですね。社員が急激に増えていくなか、経営陣は毎月1度、歓迎会に参加しているんです。本当にさまざまなバックグラウンド、業種の方が入ってきてくれて、話を聞いていると面白いですし、刺激や気付きになるんですよ。他の既存社員も、ぜひ新たな仲間と話すことで、互いに高め合ってもらえたらと思っています。
今日はありがとうございました。最後に、株式会社HATARABAと、営業担当2名へのご感想をお聞かせください。
髙橋
繰り返しになりますが、お二人はいつでもすぐ返信をくださり、本当に親身に向き合ってくださったと感謝しています。次の移転の話もそろそろ持ち上がってきますので、次回もぜひお力添えください。
岡
オフィス施工の際に業者をご紹介いただいたあとも、親身にやり取りをしてくださいました。本来のスコープではない部分まで伴走してくださったことに感動しましたし、助けられました。次回もぜひ、気軽に相談に乗っていただけると嬉しいです。
陳
今回の移転は、物件をご紹介いただいてから1〜2週間とかなりのハイスピードで進みました。その間、こちらの質問や要望に本当に応えていただき、一定の信頼関係を築けたと感じています。私は立場上、いろいろな業者さんとお話する機会が多いのですが、HATARABAのお二人は圧倒的に弊社のことを知ってくださっていると感じましたし、ベンチャー企業の移転支援のご経験が豊富なこともあり、我々よりも我々の現在の立ち位置、今後の成長が見えているところがあったなと思います。将来のことも踏まえて一緒に考えていただいたと感じていますので、良きパートナーとして、次の移転でも支援いただけると嬉しいです。
会社概要
- 会社名
- 株式会社Sales Marker(セールスマーカー)
- 移転先
- 東京都渋谷区恵比寿4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー32F
- 設立
- 2021年7月29日
- 従業員数
- 374名(取締役4名+業務委託を含む)
- 移転後坪数
- 約280坪
- 企業URL
- https://corp.sales-marker.jp/
- 取材日
- 2025年9月
取材・文:卯岡 若菜 撮影:竹井 美砂子