「日本のポテンシャルを最大化する」という使命を掲げ、インバウンド支援事業を始め、さまざまな事業を展開している株式会社mov。シリーズAまでは社員数20名ほどだったところから、現在は130名以上に急拡大。コスト面も考え、フロアの増床で対応してきましたが、全社員が同じフロアで働ける環境を整えるほうがメリットが大きいと判断し、拠点を集約するための移転が決まりました。本件の物件のご提案を、株式会社HATARABAが行いました。移転プロジェクトに携わったCFOの諸見里様、プロジェクトオーナーを務めた武野様、内装デザインに携わったデザイナーの小林様にお話を伺いました。(以下敬称略)
背景・課題
- 3拠点に分かれたオフィスを集約したかった
- 営業面を考え、渋谷エリアでの移転が希望だった
- 上場後も利用できるオフィスに移転したかった
ポイント
- ネット面積も踏まえてコストを計算し、物件を選定
- 成長スピードを考え、少し広めの物件を選んだ
- ワンフロアにこだわったことで、社内のコミュニケーションが活性化
- 増床の余地があるため、今後の拡大にも対応可能
3つに分かれていた拠点を移転により集約
皆様の業務内容、オフィス移転プロジェクトへのお関わりについてお聞かせください。

左から 小林様、諸見里様、武野様
諸見里
執行役員CFO兼コーポレート本部長として、経営企画、財務経理、法務知財、HR、広報、情シスなどのコーポレート領域全体を管掌しています。今回の移転プロジェクトでは責任者を務めました。
武野
コーポレート部のマネージャーとして、コーポレート部を担当しています。プロジェクトオーナーとして本移転に携わりました。
小林
デザイナーとして、創業初期からmovで働いています。内装デザインを担当し、代表の想いを具現化すべく尽力しました。
あらためて、今回の移転理由を教えてください。
諸見里
3つに分かれていた拠点の集約が目的でした。前のビルも良かったのですが、新館と旧館2つのビルに分かれ、さらに別のビルにも増床して何とかやっている状態になっていたんですね。これはオフィスにコストをかけすぎるのは良くないという経営陣の想いがあったからでもあったのですが、とはいえ同じフロアに全社員がいることによるメリットのほうが大きいのではという議論があったんです。そこで今回、拠点を集約するための移転を決めました。
会社の拡大スピードも見据え、長く使える物件選びを
HATARABAとの出会いのきっかけ、選んでいただいた決め手をお聞かせください。
武野
営業のお電話をいただいたのが最初のきっかけでした。そのときもオフィスを探してはいたため、お話はお聞かせいただいたのですが、お世話になっていた別の仲介会社さんがいたことから、そのときはすぐ「お願いします」という話にはならず。その後、今回あらためて移転プロジェクトを始動させるにあたり、「あのときに営業電話をいただいた会社さんにも声をかけてみよう」と思い、連絡させていただきました。

株式会社HATARABA 西川
HB西川
なぜ弊社をお選びいただけたのでしょうか。
武野
私の決め手はスピーディーな対応ですね。本当にいつもすぐに対応していただけるので、うちの会社に合うだろうなと思いました。
諸見里
私がした質問への的確な回答も好印象でしたね。正直、仲介会社さんからすると、あまり聞かれたくないだろうなという質問もしていたのですが、HATARABAさんはきちんと回答をしてくださる会社だなと。一部しか情報を提供してくれない仲介会社さんもいらっしゃるなか、HATARABAさんは聞いたことに100%答えてくださるのが信頼につながりました。
武野
こちらの「なぜ?」に対し、根拠と共に教えてくださるので、納得感がありました。知見の高さを感じましたね。
渋谷プロパティータワーに決まるまでの経緯についてお聞かせください。
武野
まず、営業に行くときやお客様に来ていただく際の利便性を考え、渋谷エリアを希望していました。渋谷プロパティータワーは、西川さんからのご紹介で内覧させていただきましたね。それまでは別のビルが有力候補だったのですが、プロパティータワーを見て、「絶対にこっちがいい」と思いました。
HB西川
弊社は渋谷に拠点がある会社として、渋谷の物件情報を1番持っている仲介会社だと自負しています。求められている100坪前後くらいの規模の物件があまりないとおっしゃられたと聞き、「そんなことはない」と思い、情報を揃えました。なかでも、プロパティータワーだけはご覧いただきたかったので、「ここだけは」とご提案しました。

武野
視野を広げていただけて感謝しています。ワンフロアで入れる物件であり、ネット面積(テナントが実際に使える面積)を踏まえて考えると、候補だったビルと単価に大差がないこと、ビルランク的にもプロパティータワーのほうが有名だということを整理して諸見里に話し、役員会で決議しました。
諸見里
物件が決まるまで1ヵ月という、本当にスピーディーな進行でした。当時の社員数は60人だったので、先に有力候補となっていたビルの規模でもいけるだろうと思っていたんです。プロパティータワーはちょっと広いのではないかなと。ただ、結果的にはここでも手狭になりそうな気配が漂ってきているので、こちらに移転して正解だったなと思います。
HB西川
御社の成長スピードをお聞きしていると、別候補のビルでは足りなくなるだろうと思っていました。プロパティータワーは単価も特段高いわけではありませんでしたし、スタートアップ企業にとってやさしい普通借家契約だったことも、おすすめした理由でした。
諸見里
社員のみなさまが働きやすい環境を整備するために、内装にこだわりたいので、一定期間後に出ていかなければならなくなる定期借家契約はもったいないんですよね。普通借家契約が代表の思想ともマッチしていたなと思います。あとは家賃の支払いが始まる時期の調整をしていただけたのもありがたかったです。内装を作るのに半年ほど要するのですが、早期に家賃の支払いがスタートすると、前のオフィスと新オフィスの双方の家賃を支払う期間が長くなってしまい、負担が重くなりますので。
あと重視していたのは、上場後まで入れるオフィスであることでした。プロパティータワーであれば同じフロア内での増床もできるので、長い目で見て良い判断だったと思います。
社員が快適に働ける場づくりを内装デザインで実現
内装のこだわりについてはいかがでしょうか。
諸見里
社員のみなさまに働きやすい、出社したいと思えるような環境を提供したいという代表の想いから、これまでも内装づくりにはこだわってきました。限られたコストで納得のいくオフィスを作るため、今回も小林が代表の思想を形にしてくれています。

小林
行動指針である「Simple,Powerful,Speedy」を意識し、派手な造作にするのではなく、働きやすくシンプルなオフィスを作りました。今回こだわったのは「白」ですね。居抜きの状態では壁がクリーム色に近い白だったのを、あえて指定の白に塗り直しました。天井も抜いたあとに白く塗装しています。
白は専務取締役の菊池が「凸と凹、それぞれ異なる能力で特化している人が集まってくるのっていいよね」と話している言葉から選んだ色なんです。光の三原色、赤・緑・青を掛け合わせると白になることから、白をベースにすることで、いろいろなカラーの人を迎えるという会社の想いをオフィスで表現できるのではないかと。
人はいろいろな色を持ち込んでくるため、オフィス自体を無彩色にしておくことで、空間の雰囲気を作るのは社員であるという余白を作りたいという狙いもありました。

諸見里
余談ですが、造作に当たって天井を抜く話に関しては、数字を管理するCFOという立場もあり、最初私は悩みました笑。ただ、代表が「社員が働きやすい環境を構築する観点で、」という強い意志を持っていまして、最終的に天井を抜く方向で意思決定しました。
小林
天井を抜いたらどうなるかのイメージ画像を合成して作ったりもしましたね。「中長期視点でみんなが快適になるなら投資をするべき」という代表の想いは強くて、「今回もぶれないな」と感じました。
諸見里
「この投資で社員が中長期目線で快適に働けるようになるなら実行すべき」と言われました。結果、間違いなく天井を抜いて正解でした。ザ・オフィス然とした雰囲気ではなく、広々と開放感のあるオフィスになったと思っています。
武野
フリースペースを設けられたことで、休憩やランチ、カジュアルなコミュニケーションが取れる場ができたことも移転して良かったなと思う点ですね。
小林
集中できる場とリラックスできる場とを使い分けられるよう、床の色を塗り分けるという工夫をしています。白と黒を基調に、木目やグリーンを使うことで、クリーンルームみたいに無機質な空間ではなく、アトリエのような雰囲気を目指しました。


武野
ワンフロアになり、話せる場もできたことで、移転前にはなかなか話す機会のなかった人ともカジュアルに話せるようになりました。

会議室

社員のためにお菓子や飲み物を常備
上場を見据え、より一層の企業価値の向上を目指す

あらためて、HATARABAと営業担当へのご感想をお寄せください。
諸見里
視野が広く、さまざまなネットワークもお持ちで、こちらの選択肢を広げてくださったと感じています。視野の広さに関しては、オフィスに限らないというのも大きいですね。
会社としてどう判断するのがいいのかという提案までしていただけたので、いい意味でオフィス仲介という感じがしなかったです。今後、移転や増床の話が出てきたときには、真っ先に西川さんに相談したいと思っていますし、これからも定期的に情報を提供してくださるとうれしいです。
人気の居抜き物件の提案がもっと増えると、スタートアップの生態系自体がいい方向にいくのではないかとも感じました。いい条件の居抜き物件は、内々のやり取りで決まってしまって、なかなか市場に出てこないなと感じますので。スタートアップ全体に対してもがんばっていただきたいなと思います。
武野
非常にスピーディーかつコミュニケーションが取りやすく、信頼のおける方だなというのが西川さんの印象です。また、HATARABAさんの本社へ伺った際、社員の皆さんが明るくご挨拶してくださり、活気のある良い雰囲気を感じたので、御社の文化でもあるのかなと思いました。

諸見里
いい意味で営業感がないといいますか。フットワークも軽いですよね。
武野
ええ。フランクにやり取りいただけるので、こちらからも相談がしやすいです。
HB西川
ありがとうございます。ただ、フットワークについては武野さんも相当軽かったですよ。今回の物件を契約できたのは、最終的に何分何秒を争う動きを迅速に取っていただけたからだと思っています。
武野
オーナーさんにご納得いただけたのは、西川さんがきちんと弊社の情報を把握して説明してくださったからだと思います。他の仲介会社からは、あまり財務や事業計画について深く聞かれることがなく、「きちんと説明していただけるのだろうか」と思ったこともあったんです。
HB西川
マネタイズの方法を含め、何の数字なのかを理解していなければきちんとした説明ができないんですよね。決算書を読み込めるメンバーが揃っているのは、弊社の強みかもしれません。武野さん諸見里さんは会計士でいらっしゃるので、こちらが聞きたい数字をすぐ的確にお出しいただけて助かりました。
武野
そこは弊社の強みですね。今回のプロジェクトを通して、ご提案の裏側に膨大なデータがあるのも魅力だと感じました。ぜひ今後もよろしくお願いいたします。

会社概要
- 会社名
- 株式会社mov
- 移転先
- 東京都渋谷区東1-32-12 渋谷プロパティータワー10F
- 設立
- 2015年9月1日
- 従業員数
- 130名(2025年5月時点)
- 移転後坪数
- 約150坪
- 企業URL
- https://mov.am/
- 取材
- 2025年1月
取材・文:卯岡 若菜 撮影:竹井 美砂子