ダイレクトマーケティング支援をメインに、グループ経営を行っている株式会社ファインドスターグループ。自主独立を重んじ、会社ごとに意思決定を行うのが特徴のホールディングスです。グループ会社のうち5社が入っているオフィスを、12年越しに移転することになり、移転プロジェクトを始動。スムーズな物件選定に至れた理由、新オフィスへのこだわりについて、移転プロジェクトに携わった取締役の川瀬様、総務の齋藤様にお聞きしました。(以下敬称略)
背景・課題
- ・執務スペース、会議室ともに不足。十分な広さのオフィスに移転したかった
- ・ベンチャー支援を行う会社として、念願だったインキュベーションスペースを設けたかった
- ・インキュベーションスペースを設けるにあたり、オフィスの雰囲気を立ち寄りやすい明るいものに刷新したかった
- ・700坪2フロア、できるだけ真四角な物件、かつ駅近で予算内に収まるオフィスを希望していた
ポイント
- ・事前に社内で優先順位のすり合わせ、意思決定に必要な条件の洗い出しを行っていたため、スピーディーな契約が可能。そのスピード感が好条件の物件契約につながった
- ・内装予算を差し引いて移転予算を計上していたため、内装にも手を加えられた
- ・フロアごとに役割を分け、効率的に働けるよう仕組みを整えた
執務室・会議室不足により、12年ぶりの本格的な移転プロジェクトを始動
皆様の業務内容、今回の移転で担われた役割についてお聞かせください。
川瀬
グループ全体のコーポレート支援の管轄役員をしています。オフィス移転プロジェクトでは責任者を務めましたが、実際には齋藤さんがメインで動いてくれました。
齋藤
総務の責任者を務めています。前のオフィスに移転したタイミングで新卒採用の面接を受けていたので、移転を進めるのは初です。ベンダー様とのやり取り、社内アナウンスといった実務周りを担当しました。
川瀬
そもそも、前のオフィスにいた期間が12年もあったんですよ。私は前回の移転はメンバーとして経験していますが、大規模な移転はほぼ全員初体験でした。
12年という長期に渡り入居されていたオフィスから、今回の移転することになった背景や目的は何だったのでしょうか。
川瀬
シンプルにキャパシティの問題ですね。執務スペースが埋まってきてしまって、もうこれ以上は新入社員の席がないという状況だったんです。2022年の年末頃に役員会で移転の話が決まり、年明けから動き始めたら、思いのほかスムーズに決まりました。
齋藤
会議室が圧倒的に足りず、面接やWEB会議をしようにも予約が取れない状況だったんです。あと、来客用の会議室も足りていませんでした。
12年過ごされているなかで、オフィスのリニューアルはされていたのでしょうか。
川瀬
していましたね。前回の移転時は、オフィスにそこまで予算をかけない方針だったんです。ただ、採用面を考えるとどうかという話になり、見映えを良くするためのリニューアルをしました。過去に大きなものが2度くらいですね。
移転プロジェクトはどのように進められたのでしょうか。
川瀬
グループ会社にオフィス移転を経験したことのある責任者がいたので、その方に加わってもらい、私と齋藤さんと3人で基本的に進めていった感じです。
齋藤
不動産業界の出身で、グループ会社の移転経験もあり、デザイン面の知見も持っているという方だったので、非常に心強かったですよね。
川瀬
ええ。カーペットの色や家具など、内装に関しては基本的にその人が考えてくれたので、私たちはほぼノータッチです(笑)。
優先順位の整理、契約条件のすり合わせがあったからこそ、スピーディーな意思決定ができ、物件探し開始から2ヵ月以内の決定に
今回の物件選びで優先した条件についてお聞かせください。
川瀬
現実的な話として、やはりコストが1番でしたね。あとは利便性。駅からのアクセスのしやすさにはこだわりがありました。前のオフィスは水道橋エリアでしたが、移転に当たって同じエリアでといった強い希望は特にありませんでした。
弊社:新井
候補を上げる段階では田町エリアが上がっていましたね。とはいえ、おっしゃる通り、予算重視でエリアは広げてもらって構わないというお話でした。
齋藤
当初お伝えしたのは、2路線で駅近、700坪で2フロアという面積、賃料、あとは築年数と物件の形も希望をお伝えしました。できるだけ真四角で内装を考えやすい物件をというのがこちらの希望だったのですが、そうするともう候補が3、4件くらいに限定されましたね。
弊社:新井
そうですね。700坪2フロアという条件を満たすビル自体が少ないので、自然と候補が絞られました。
川瀬
柱が真ん中にあるから使いづらそうだと判断したり、「これなら3フロアになってしまいますね」ということで見送ったりした物件もありましたね。
齋藤
予算面については、内装にも予算を割きたかったので、そこから逆算した金額を移転費用として提示しました。
川瀬
オフィスに対する価値観は会社のフェーズによって変わってくると思っています。40、50名規模のベンチャーマインドの強い時期は、内装のおしゃれさより駅からの近さを求める人が多いと思うんですよね。また、身の丈の合わない物件に移転したことで業績が悪化したという話を耳にしたこともあり、企業体力、財務体制、会社のステージ次第で必要なオフィスは変わってくると思います。
今回、弊社オフィスが内装にも予算を割こうと思ったのも、インキュベーションスペースや昨今の採用動向を考えた際に、今の弊社にとって必要だと判断したからなんです。実際、以前の弊社であれば、今のオフィスの内装は「お金をかけすぎ」だと怒られてしまったんじゃないかと思います(笑)。
齋藤
移転に高い費用をかけた結果、内装費用が残らなくなってしまい、オフィスの雰囲気がイメージと違った、とならないようにしたいよねという話がありました。こうしたこちらが出した条件で探していただき、これなら移転できそうだと思えた物件が3、4件ぐらいでしたね。これで決まらないなら一旦延期して、一部移転や会議室を執務スペースに変えて当座をしのぐことも考えていました。結果、この物件をご紹介いただけたことで、無事に移転となりました。
三田NNビルに入居が決まるまでの経緯についてお聞かせください。
弊社:新井
すでに他社からも申し込みが入っていて、4社で取り合っている状態でした。結果、御社が入居できたのは、スピード感があったからだと思います。実は先方から内見も間に合わないだろうと断られていたのですが、2フロアの契約を希望していること、取締役も内見に来られることをお伝えしたことで、内見を認めてもらえたという経緯がありました。とにかく本当に意思決定が早い印象が強いです。
川瀬
おっしゃる通り、弊社は意思決定が早く、ちゃぶ台返しもしないことが特徴なんです。事前に話し合った条件に合致してさえいればGOサインを出せる状況を整えていました。
弊社:三上
予算感も含め、「この条件で契約可能なら決めます」と明確に意思決定がなされているのは、交渉をする側としても助かる部分ではありました。
弊社:新井
内見後にお電話をし、あらためて希望賃料を出していただきました。その際、2通りの金額で出していただきましたね。
川瀬
そうですね。交渉に挑戦してみていただきたい金額と、この金額なら少なくとも契約を進めるという妥当な金額とを提示しました。結果、挑戦価格で契約締結となりました。
移転プロジェクトを進めていくなかで、印象に残っていること、大変だったことはありますか?
川瀬
移転が正式に決まったのは2022年末でしたが、その前の8月には移転話が浮上し始めていて、検討自体はしていたんです。新井さん三上さんとはその時点でお会いしていたのですが、その後も熱心に来ていただいていましたよね。
弊社:三上
こちらが先走り過ぎてしまい、「ちょっとお待ちください」とお話がありましたね(笑)
川瀬
まだこちらで話が詰められていない状態だと、優先順位が変わってしまって振り回してしまうと思ったんですよ。夏から半年ほどで優先順位を検討した上で、年始から正式に動き始めたという流れでした。あと覚えているのは、三上さんとお約束していた内見の日の雪ですね。雪の中、物件を見に行ったことが印象に残っています。そして今回も、昨日(インタビューの日の前日)都内に雪が積もるという(笑)。三上さん、雪男なんですかね。
弊社:三上
私も「また雪だ」と思っていました(笑)。齋藤様はいかがですか?
齋藤
今回はグループ会社5社が移転するプロジェクトと、社内で誰も経験していない規模の移転だったため、スケジュール感を含め、認識がずれないよう注意するのが大変でした。スピード感を大切に進めていかなければならないとお聞きしていたので、月1回の取締役会での情報共有や確認、取締役会前にHATARABAさんに確認しておくべき事項の整理をしておくなど、進行方法や優先順位の整理に気を使ったプロジェクトだったかなと思います。
川瀬
結果、1月から動き始めて2月中には物件が決まりました。事前に優先順位や条件をすり合わせていたため、あとはそこと照らし合わせるだけで意思決定を進められたと感じています。
新オフィスのこだわりについてご紹介ください。
齋藤
弊社がベンチャー支援に力を入れていることもあり、インキュベーションスペースを設けたい、いろいろな人が集まりやすいオフィスにしたいという希望がありました。それを考慮すると、内装の雰囲気も明るいもののほうがいいということで、「ふらっと立ち寄りやすい雰囲気で」というのが全体的なイメージでしたね。
川瀬
以前のオフィスは黒基調の内装で、暗くて堅い印象でした。新オフィスでは会議室の壁もガラス張りにし、壁や床の色も明るい印象になるものを選んでいます。
弊社:新井
今回訪問してみて、以前とはかなり雰囲気が変わったなと思いました。
川瀬
そうだと思います。今回は思い切って真逆の雰囲気をイメージしていますからね。
川瀬
あと、移転した時期がコロナ禍の経験後だったため、コロナ後の働き方に合わせて考えられたのも良かったです。コロナ後にはWeb会議やリモートでの商談が増えたのですが、前のオフィスはそういった働き方に対応できていなかったため、Web会議のために6人用会議室を予約して1人で使うといったスペース的にもったいない使い方をせざるを得なかったんです。3人用や1人用の個室を作ることで、用途に合わせて使い分けられるようになりました。
齋藤
無駄を嫌う社風のため、フロアも役割を分けて効率的に働けるようにしました。15階はインキュベーションスペースとホールディングス、来客用会議室とし、19階はグループ会社の執務室、社内用会議室としています。会議室名も、社内用はアルファベット、来客用は数字と、視覚的に分かるようにしました。
川瀬
ただ、実際に動かしてみると、よりよい運用に改善できそうな点も見えてきています。例えば来客用会議室は空いているが社内用会議室が埋まっているといった場面が発生しているので、条件付きで来客用会議室の使用を許可したりしています。
従業員の生産性を高められるオフィス活用を
今後オフィスを通じて実現していきたいこと、今後の展望についてお聞かせください。
川瀬
会社のフェーズによってオフィスの価値観は変わりますが、仕事をする場所であることには変わりありません。隣に会議室があるからすぐに移動できるとか、こもりたいときにこもって仕事ができるとか、従業員の生産性が上がるオフィスにしていきたいですね。従業員の生産性が上がれば、会社の業績にも寄与できると思っています。
齋藤
みんなが生産性高く働けるようになれば、移転コストはペイできるという考えの元、移転プロジェクトを進めたので、同じく生産性高く働ける場として整えていきたいと思います。
また、ホールディングスとしてずっとやりたかったインキュベーション機能を本格的に持つのは初めてなので、そこも挑戦だなと思います。代表が「いろいろな人が集まって化学反応が生まれる」と言っていまして、そういう場を作っていきたいなと。三田はベンチャーのイメージがあまりないエリアですから、「三田のベンチャーといえば」と想起されるものを作っていきたいですね。
あらためて、株式会社HATARABA、営業担当へのご感想をお聞かせください。
川瀬
「最高だった」の一言に尽きます。こちらの要望を交渉していただき、本当にありがたかったです。密にコミュニケーションを取っていただけたので、進めていくなかで「あれ?」という食い違いが起きることもなく、本当にスムーズでした。
本当は6月中に物件を決めて、半年で内装を作ろうと思っていたんですよ。それが2月に決まったものですから、オフィス移転に関しては4ヵ月ほどやることがなくなりました(笑)けれど、結果として、6月以降オフィス移転に集中できる土台をその4ヵ月の間に整えることができたので、早くに物件を決めることができて本当に良かったです。苦労したことが特に思い浮かばなかったのですが、それは非常に良かったことの表れだと思います。
齋藤
最初からこちらのニーズを汲んだ提案をしてくださっていた印象が強いです。そのため、こちらの希望に合うこれ以上の好条件、好物件はなかったと思えます。結果、コストを限りなく下げていい物件に入れました。これが「もう1件見てから」と言っていたら間に合わなかっただろうと思います。
川瀬
本当にオフィスがお好きなんだなと思いましたね。だからこそ物件にも詳しく、交渉も安心してお任せできたんだなと。
齋藤
業界知識だけではなく、弊社についても深く理解してくださっているからこその提案力だと思いました。
川瀬
不動産会社は堅い社風のところが多いですが、HATARABAさんは柔軟性がありますよね。その社風が弊社の風土と文化にマッチした部分も大きかったと思います。ベンチャーと一緒に成長している会社だと感じました。移転相談があった際は、HATARABAさんをお勧めしたいと思っています。
弊社:三上/新井
ありがとうございました!
会社概要
- 会社名
- 株式会社ファインドスターグループ
- 移転先
- 東京都港区芝4丁目1-23 三田NNビル 15F、19F
- 従業員数
- 848名(グループ連結。 役員、契約社員、アルバイト ・パート含む)
※2023年12月1日時点 - 移転後坪数
- 約660坪
- 企業URL
- https://findstar-group.co.jp/
- 取材
- 2024年2月
取材・文:卯岡 若菜 撮影:竹井 美砂子