『夢(dream)、アイデア(idea)、情熱(passion)』を軸にした事業展開で、1997年から人材業界を牽引するディップ株式会社。近年は“Labor force solution company”をビジョンとし、「誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現」を目指しています。
2021年には、自社メディアのユーザー層との親和性が高いダンスシーンに着目し、ダンスチーム「dip BATTLES」を発足。日本のプロダンスリーグ「D.LEAGUE(Dリーグ)」に参戦しました。プロダンサーをサポートし、Dリーグで勝てるチームを作るために、同社が取り組んだのが専用スタジオの開設です。
今回、物件情報の提供、ビルオーナーとのスケジュール調整、契約のサポートなどを行いました。
通常のオフィスとは違い、ダンススタジオならではの難しさがあったという本件について、人事総務本部 コーポレートサービス戦略推進室室長で同社のファシリティと総務を一手に手掛ける藤川様、Dリーグ室で「dip BATTLES」のチーム運営を担当する深見様、「dip BATTLES」リーダーのchiharu様にお話を聞きました。(以下敬称略)
背景・課題
- ・ダンサーが安定的に練習できる場所の確保
- ・日本のダンスシーンに向けた発信拠点づくり
ポイント
- ・ダンサーにとって利便性が高く、自社メディアのターゲット層も多い渋谷であること
- ・防音、十分な天井高、本番環境と同じ広さを確保すること
「dip BATTLES」の拠点づくりのため、場所探しがスタート
――皆さんが今回のダンススタジオ開設で担われた役割を教えてください。
藤川
私は、人事総務本部コーポレートサービス戦略推進室の室長として、拠点開設や移転、オフィス改善といったファシリティマネジメント全般を担当しています。今回のスタジオ探しも、物件周りの知見を活かして開設を主導する立場として参加しました。
深見
私は Dリーグ室で、「dip BATTLES」の運営を担当しています。今回は藤川とタッグを組み、ダンサーにとって必要な要素をスタジオに反映する役割を担いました。
chiharu
「dip BATTLES」のリーダーとして現場で感じていることをスタジオづくりに活かしたいと、折に触れて意見を聞いていただきました。Dリーグでも他に類を見ない恵まれた環境で、チームのモチベーションは急上昇しています!
――「dip BATTLES」のスタジオを作る構想は以前からあったのですか。
深見
都内で十分な広さがある貸しスタジオは限られているため、ストレスフリーで使える練習拠点は欠かせません。勝つために、そしてダンサーを支えるために、Dリーグ参戦を決めた2021年当時からスタジオを作りたいとは考えていました。
chiharu
練習場所の確保は、ダンサーがみんな苦労しているところなんですよ。そもそも都内には十分な広さがあるスタジオが少ないので、要件を満たすスタジオの予約はまさに争奪戦です。「今日はここ」「明日はここ」と、日々違うスタジオを転々とするのが常なんです。
私たちも、深見さんをはじめ、スタッフの皆さんが苦労してとってくれた貸しスタジオを使って練習していました。
――ダンススタジオは、オフィスよりも必須条件が多そうですね。
藤川
そうなんです。ダンススタジオの特性上、「音の問題」「天井高の問題」「広さの問題」の3つをクリアする必要がありました。スタジオから出る大きな音が周辺のテナントの迷惑にならないこと、アクロバティックな動きを思い切ってできる天井高があること、本番環境と同じ広さで練習ができること。これがなかなか大変で、かなり苦労しました。
本社移転プロジェクトなどオフィス探しはたくさん経験してきましたが、スタジオを作るのは初めてでしたから、勝手がわからないことも多かったですね。取締役会で承認まで下りた物件がありましたが、隣接するテナントからの申し入れで頓挫するなど難航しました。
――場所は渋谷で考えていたのでしょうか。
深見
代官山など都内の他エリアも候補にあがりましたが、アプローチしたい若年層やダンスとの親和性が高い渋谷にしたいと考えていました。
chiharu
ダンサーも渋谷に集まるんですよ(笑)。レッスンをしたり、衣装を買ったりするのも渋谷が多いです。なので、ダンスシーンへの発信拠点としてもベストですよね。
停滞していた物件選びが、今年に入って一気に進展
――弊社との出会いについて教えてください。
藤川
西村さんが新卒のころから、物件の紹介などのお付き合いはありました。また、御社が主催するFMsalonというファシリティ担当者が集うコミュニティにも参加させてもらっています。ただ、これまではお仕事のご縁はなかなかありませんでした。
弊社:西村
実はこのスタジオ開設の話も2年ほど前にご相談いただいていたのですが、スタジオに必要な要件を満たす物件がなかなか見つかりませんでした。先ほど藤川さんが仰っていた3点に振動の問題も加味すると、上層階は難しい。何より、Dリーグの本番環境と同じ広さを確保できるスタジオとなると、都内で見つけるのは至難の業でした。
藤川
当初は、通行人に見えやすいように地上階を考えていましたから、より難しかったですよね。
弊社:西村
たまに居抜きで良さそうな物件が出てきても、オーナーさんがショップを希望していることが多かったですね。今回の物件は新築で、「大手企業に入ってほしい」と思ってくださっているオーナーさんだったことが奏功しました。
1階にダンサーやラッパーに人気の「New Era®︎」のキャップを展開するコンセプトショップ『THE CAP(ザ・キャップ)』の東京旗艦店が入っており、ダンススタジオと親和性が高いこともオーナーさんには好感触でしたね。
藤川
そこからは、西村さんが非常にスピーディに、かつ柔軟に立ちまわってくれました。上場企業であるので、意思決定に際して取締役会の決議が必要です。限られたスケジュールの中でうまく条件を取りまとめ、オーナー様との間を取り持ってくれたおかげで、dipBATTLESにとってまたとない環境を手に入れることができました。
勝つために、徹底的に本番環境を再現
――スタジオのこだわりもぜひ教えてください。
深見
広さだけでなく、床を本番環境と同じリノリウムにしたのは大きなこだわりポイントですね。足元の環境まで再現することで、本番でもかなり踊りやすくなると思っています。
また、広さを活かして、チーム練習スペースの他、個人練習できるスペースも設けました。カーテンで仕切ることで、パラレルでも集中して技術の向上に時間を使ってもらうことができます。
chiharu
私たちは、曲作りや振り付け、衣装決めなども、チームで相談しながら自分たちでやっています。チーム内はもちろん、衣装などの発注先の方と気軽にミーティングできるスペースがあるのはとても助かりますね。
深見
見えない部分ですが、鏡の裏に衣装やグッズ、備品等の保管スペースを設けました。これまでは毎回倉庫に保管していましたが、連絡して届けてもらう必要がなくなり、管理しやすくなっています。
福利厚生や、次世代に向けた発信の場としても活用したい
――今後のスタジオの活用に関して、構想をお聞かせください。
深見
「dip BATTLES」のメンバーは、ダンスのバックボーンを含めて非常に個性が豊かです。シンプルな内装にしたのは、彼らの個性を引き立てたかったから。この場所から、「dip BATTLES」にしか作れないダンスと、新しいダンスシーンを生み出していきたいです。
chiharu
スタジオができて、個人練習をするメンバーが増えました。毎日、場所取りに苦労することなく練習できる環境に感謝して、絶対に優勝を狙っていきたいです。
同時に、空いている時間にダンスのレッスンをしたり、応援してくれている皆さんとコミュニケーションをとったりしながら、ダンサーを目指す次世代に向けて情報を発信できる場所としても活用できたらと思っています。
藤川
当社は若い従業員が多く、「自分たちもプロにダンスを習いたい」という声も聞くので、福利厚生に活用しても面白いかもしれません。
いずれはスタジオ内の空きスペースでグッズ販売なども行っていきたいですね。
弊社:西村
ありがとうございました。ダンサーを目指す人たちの憧れのスポットになることを願っています。「dip BATTLES」も全力で応援します!ぜひ、優勝を勝ち取ってください!
会社概要
- 会社名・チーム名
- ディップ株式会社・プロダンスチーム「dip BATTLES」
- スタジオ所在地
- 渋谷区宇田川町36-1 SANWA SHIBUYA B1F
- dip BATTLES
- https://home.dleague.co.jp/teams/t2ls/
- 取材
- 2023年8月
- 企業URL
- https://www.dip-net.co.jp/
- 従業員数
- ディップ株式会社
2,925名(2023年4月1日現在の正社員)
※契約・アルバイト・派遣社員除く
取材・文:藤巻 史 撮影:竹井 美砂子