電話面談システム「bellFace」を提供しているベルフェイス株式会社。誰でも使える電話を活用しながら、手元のパソコンやスマートフォンにインストールなしで相手の映像を映し出し、円滑なコミュニケーションをサポートできるサービスです。
これまでは組織拡大スピードに柔軟に対応できるサービスオフィスを活用してきた同社ですが、コロナ禍でのフルリモートを経て、約5年ぶりに自社オフィスを構えることになりました。取締役COOの西山様、物件決定後の移転プロジェクトに携わった田村様、移転後のオフィス活用の取り組みを行う松田様にお聞きしました。(以下敬称略)
背景・課題
- ・組織の拡大スピードが読めず、1ヵ所に長く入居するメリットが少ない
- ・フルリモートにより、偶発的なコミュニケーションが取れないことによる課題に直面
- ・出社のしやすさ、顧客に与える印象を重視する必要があった
ポイント
- ・予算を押さえつつ規模/駅チカ/顧客への印象といった諸条件をクリアするため、定期借家物件を選択
- ・コミュニケーションを取りやすいレイアウト/オフィスの使い方に
コロナ禍を経て気付いた自社オフィスのメリット
皆様のふだんの業務内容、今回の移転で担われた役割についてお聞かせください。
西山
私は取締役COOとして、コーポレート以外の業務を管掌しています。オフィス移転は本来私の管轄ではないのですが、個人的にオフィスが好きなのと、経営陣のなかで最も出社することが多そうなため、以前より私がディレクションをしてきました。
松田
ふだんはHRチームの一員として人事の仕事をしています。移転プロジェクトを機に、オフィスレイアウトや契約管理や更新といった業務も担当することになりました。
田村
ふだんは経営企画、経理や財務、広報などを担当しています。今回の移転プロジェクトでは、物件選定までを西山が担当し、内装や引っ越しまでを私が担当しました。松田と私は、オフィス移転に携わるのは初めてです。
今回のオフィス移転の経緯についてお聞かせください。
西山
短期間での成長を求められるスタートアップには、1つのオフィスに3年、5年と長く居続けることが難しいという事情があります。そのため、これまでは状況に応じて柔軟に席を増やしたり解約できたりするサービスオフィス(WeWork)を利用してきました。
リモートワークが使えることで、オフィスの縮小、ほぼ撤廃といった判断もあります。そのあたりはどのようにお考えでしたか。
西山
コロナ禍により2020年3月から2年半、オフィスの席を20席にまで減らし、原則出社なしのフルリモート勤務にしました。リモートワークのメリットを体感した一方で、デメリットがあることにも気付きました。
そのデメリットとは、偶発的なコミュニケーションを取る難しさです。オンライン会議など、リモートでのやり取りは目的のある内容ばかりになってしまいがちで、信頼関係を構築しづらいと感じていました。相互理解は雑談から深まることが多々ありますから。
また、画面越しに顔だけが見える状態ですと、相手の気持ちや体調の変化にもなかなか気付きづらい。元気だと思っていた人が急に体調不良になったり、離職に繋がってしまったりすることがポツポツ出てきたことで、このままではまずいという危機感を抱きました。そのため、やはり偶発的なコミュニケーションが可能となるオフィスワークが必要だと判断したんです。
田村
個人的な経験として、ああでもないこうでもないと話すブレストのような会議は、オンラインと相性が良くないと感じていました。顔を合わせた方が効率が良いだろうなと思うことが多々ありましたね。
松田
採用担当としては、リモートが広がったことで全国各地から採用しやすくなったという利点を感じていました。ただ、フルリモートの場合はその後のオンボーディングに課題がありますね。ある程度レベルの高い人であれば業務に関してはスムーズにキャッチアップしてもらえますが、会社のカルチャーを伝える点で苦労していました。そのあたりは、やはりオフィスに集まれる機会があるほうが早いと思っています。
エリア・規模・駅チカ…諸条件を満たした定期借家という選択
弊社との出会いについて、お聞かせください。
西山
付き合い自体はかなり長く、新井さんが2016、7年頃に当時の拠点だった渋谷オフィスに飛び込み営業をして名刺を置いていかれたのがきっかけです。その後、お電話がきて、お話をしたという流れでしたね。テレアポは基本的に断っているんですが、名刺を見ていたからか、そのときは取り次いでもらったんですよ。
弊社:新井
たまたま、当時ご移転に悩まれていたタイミングでしたね。
西山
そうですね。当時印象的だったのは、「一度お話を」という具体性のないものではなく、「隣のビルにこれぐらいの広さの物件があるので見に行きませんか」というお話だったこと。結局、そのときは同ビル内で拡張ができたため、お願いすることはなかったのですが…。
その後も継続的に提案をいただいていたのですが、お願いできたのは今回が初めてでした。ただ、弊社から率先して相談するのは御社だけなんですよ。そろそろ依頼をしたいという気持ちが強く、今回は決め打ちでお話をさせていただきました。
弊社:新井
そのように言っていただけて光栄です。御社とのお付き合いも長く、困難な状況にあった時も知っているので、非常に思い入れがあります。応援している気持ちも含め、お力添えができたらといつも思っていました。
今回、物件の選定で重視したポイントはどこですか?
西山
従業員が出社にストレスを感じない駅チカの物件であること、金融機関のお客様が多いことから丸の内に出やすいエリアであること、お客様が来社するにあたって安心感を持てるビルであることですね。これまではターミナル駅である渋谷か新宿でなければ嫌だとこだわっていたんですが、今回はもう少し広げて、恵比寿、浜松町、田町、新橋エリアにも選択肢を広げました。
新井
「気軽に入れる居酒屋があること」も第一におっしゃっていました(笑)。働く方々の事をちゃんと考えていることが良くわかる条件だなと思いました。
西山
そうですそうです(笑)。周囲にふらっと「飲みに行こうか」いうところがあるといいなと(笑)。このビルのすぐ近くには残念ながらあまりないんですが、駅の反対側にはありますので満足しています。例えば、これが永田町だと周囲にそういった居酒屋は一切ありませんからね。
あと、規模感は出社を週に2回とした際、従業員数の6、7割が出社しても座れるくらいのスペースを希望しました。80〜100席はほしいなと。
移転までのスケジュール感はいかがでしたか。
西山
話をし始めたのが2022年の6月末で、年内には入居したいと希望していました。
弊社:西村
入居時期と予算、規模、エリアと、いろいろと条件を重ねていくと、なかなか適した物件が見つからなかったことを覚えています。とにかくいろいろなパターンをご紹介しようということで、内装付きのセットアップオフィス、フリーレント期間の長い物件、建替が決まっているために賃料が格安になっている物件などをご紹介させていただきました。
西山
セットアップは今回求めている規模より席数が少ないところが多かったですね。入居可能期間に縛りがある物件は、賃料が安くなって良いなと思いました。どのみちスタートアップは何年も同じ規模のオフィスに居続けられないものですから。今回の物件は3年の縛りと、期間的にもちょうどいいなと思いました。
弊社:新井
この物件をご紹介したのが9月中旬頃です。我々も「おそらくここになるだろうな」と思っていましたが、いかがでしたか?
西山
一目ぼれでしたね。浜松町という東京駅にすぐ出られる立地が良かったですし、駅からオフィスまでの道が屋根付きの通路になっているため、雨に濡れないで出社できるのも良いです。
西山
あとは東芝ビルディング(浜松町ビルディングの旧称)という知名度の高さですね。過去を知っている人たちに「懐かしい」と言っていただく機会が多いです。社食があったり、フリースペースやカフェがあったり、昼寝スペースがあったりと、ビル自体も非常に魅力的なんですよ。窓からの風景も良いですし、広さも希望にぴったりでした。
物件が決まったあと、大変だったことはありますか?
田村
通常、物件が決まってから移転までに6ヵ月くらい時間をかけるそうなのですが、今回は3ヵ月ほどしかなかったため、とにかく時間がないことが大変でした。新井さんたちにPM会社をご紹介いただいたのですが、スムーズに動いていただけて感謝しています。
どういった点にこだわられたのでしょうか。
田村
偶発的なコミュニケーションが取れることがオフィスの狙いでしたから、ミーティングスペースや雑談がしやすいスペースをなるべく増やすように心がけました。デスクがあるのは執務スペースの半分ほどと、かなり余裕を持たせています。あとはリユースの家具を使うなど、コスト面でのメリハリも意識しました。
松田
移転までは田村のフォローがメインだったため、私は移転後の今の取り組みに力を入れています。移転前は従業員から何か声が上がることはあまりなかったのですが、移転後はどうすれば働きやすい場になるかを考えて要望を出してくれる従業員が増えたと感じていますね。せっかく出社するなら楽しもうよということで、加湿器を増やしたりウォーターサーバーを置いたり、パターゴルフを置いてみたりと、居心地が良くなるよういろいろな工夫をしています。
西山
私もサンドバッグを吊るしてほしいという要望を上げています(笑)。
新オフィスのお気に入りスポットはどこですか?
松田
ドラですね。若手メンバーが受注した際に叩いたら非常に盛り上がったんです。久々にスタートアップ感を味わえたなと思いました。
西山
ドラはいいですよね。従業員が表彰時や受注時に鳴らしたいと言い始めて置いたものですが、私も気に入っています。「おまえ、何ドラ?(何回目のドラ)」とコミュニケーションも生まれているんですよ。私は先ほど気に入っているポイントをだいぶ話してしまったのですが、挙げるとすればサウナのある田町に近いことですね。ビジネス仲間とのサウナコミュニケーションを取りやすいんですよ。
田村
私はハイカウンターが気に入っています。コミュニケーションを取りやすいのはもちろん、立って仕事ができるのも良いです。ずっと座っていると腰が辛いんですよね(笑)
スタートアップのフェーズに合わせた物件提案力に期待
弊社サービスへのご感想、期待することがあればお聞かせください。
西山
これまで、移転を検討していない時期でも物件情報をご紹介いただいてきました。新井さんも西村さんも非常にバランスが良いですよね。がつがつ営業されすぎると鬱陶しく感じてしまうものですが、かといって控えめすぎるのも良くない。お二人が持ってくる物件情報には「おっ」と気になるものが含まれているので、何かあれば相談をしようと思えました。粘るときには粘る姿勢も、同じく営業をする立場として好印象でしたね。
スタートアップの成長支援をするという志がある素晴らしい会社だと思っています。今後もその会社のフェーズに合った提案力を追求していっていただきたいです。
西村
ありがとうございます。成長を加速させられるオフィスを見つけていきたいです。
弊社:新井
数年後のご移転でも力になれるよう、他社事例も含めて共有を続けてまいります。
今後の展望についてお聞かせください。
松田
総務の業務経験が浅いため、情報を仕入れながら弊社らしさをオフィスに入れていきたいです。その「らしさ」の言語化も今後の課題ですね。在宅よりオフィスのほうが働きやすいと感じてもらえる環境づくりに注力していきたいです。
田村
個人的に、次は丸の内エリアか八重洲エリアに移転できたらなと思っています。数年後に向けてがんばっていきたいです。
西山
全社イベントを積極的にやっていきたいですね。今もビジネスグループが部門ごとにピザ会などイベントを開き始めているんですが、全社でも何かやりたいなと。従業員の半数を占める開発チームはビジネスチームとは文化が違うのですが、異なる文化を持つチーム同士が交流することで生産性向上にも繋げられるのではないかと思っています。
【無料相談】オフィスの移転やオフィスの課題。無料相談はこちら
会社概要
- 会社名
- ベルフェイス株式会社
- 移転先
- 東京都港区芝浦1-1-1浜松町ビルディング
- 移転後坪数
- 約180坪
- 企業URL
- https://corp.bell-face.com/
- 取材
- 2023年1月
取材・文:卯岡 若菜 撮影:原 哲也